日常の生活の隅々にまでIT企業によるネットワークが張りめぐらされた今、ITを制する者が世界を支配することは公然の事実となっている。覇権をめぐり野心あふれる起業家たちが日々熾烈な争いを繰り広げるIT業界はドラマの舞台として実に魅力的だ。IT業界やベンチャー企業をテーマとする海外の映画・ドラマ作品を紹介する。

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(画像=PIXTA)

明日の覇者を夢見る起業家たちは、夢を形にするには何をしなければならないのか、私たちに身をもって教えてくれる。スタートアップに興味のあるビジネスパーソンは大いに触発されるだろう(本文敬称略)。

Facebook誕生の裏に隠された人間ドラマ 『ソーシャル・ネットワーク』(映画)

世界を席巻するFANGの一角としてFacebookの存在感は増すばかりだ。本作はもともと学生向けの交流サイトだったFacebookの誕生秘話を描く。

2003年、ハーバード大学の学生マーク・ザッカーバーグはガールフレンドにフラれた腹いせに、女子学生のルックスの格付けサイトを立ち上げる。サイトは爆発的な人気を博し、ザッカーバーグは敏腕プログラマとして学内の有名人となる。

そんな彼に、学生同士の交流サイトの制作依頼が舞い込む。ザッカーバーグはこれをヒントにソーシャルネットワーキングサイト「Facebook」を思いつくが—

ひらめいたビジネスプランを形にするためには、いくつもの障害を乗り越えていかなければならない。資金集めなどハード面だけでなく、人間関係での葛藤もその一つだ。アイディアは誰のものか? ビジネスパートナーでもある親友と意見が対立したら? ザッカーバーグだけでなく、ベンチャーを興す者すべてが通る道だ。スタートアップ大国アメリカでの起業の進め方は日本のビジネスパーソンにも参考になるだろう。

日本公開年:2011 監督:デヴィッド・フィンチャー 出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク

カリスマ起業家の栄光と転落『スティーブ・ジョブズ』(映画)

カリスマ創業者が世を去って早6年。今なおアップルは“ジョブズ亡き後の”という枕詞をつけて語られる。 本作はアップル創業から屈辱の追放を経て、再びアップルに帰還するまでを描く。主人公を演じるのは、若き日のジョブズによく似た風貌を持つアシュトン・カッチャーだ。

溢れるほどのアイディアと才覚を持てあまし、東洋思想に傾倒していた若き日のジョブズ。自宅のガレージから始まったアップルは1997年に発表したAppleIIにより華々しい成功を収める。一躍時代の寵児となったジョブズは革新的な製品を次々と世に送り出し、カリスマの名を欲しいままにする。一方、冷酷な独裁者として君臨する彼に耐えきれなくなった仲間たちは一人また一人と離れていき、ついにジョブズは自らが生み出したアップルを追われることになる。

ジョブズの情熱的で破天荒な生き方は、後に続く者の人生を変えるほどの魅力がある。カリスマの人生の一端に触れた者は鼓舞されずにはいられないだろう。

日本公開年:2013 監督:ジョシュア・マイケル・スターン 出演:アシュトン・カッチャー、ダーモット・マローニー、ジョシュ・ギャッド