普段、自分が「1時間いくらで働いているのか」という時給換算価値をどれだけ考えているだろうか。自分の1時間あたりの時間価値を知り、自分の時間をどこに使えばより大きな成果を得られるのかを常日頃から考え、選択を積み重ねられているのが理想の状態だ。
1. 「時間価値」の測り方
時給制の人ならば時間価値の基準は明快だ。また月給いくら、年棒いくらとして給与を受け取っている人は、「1日あたり」で除算した額が時間価値といえるだろう。ただ、労働時間だけが人生のすべてではない。そう考えると、自分が1カ月に得た金額を1日24時間×30日(720時間)で除算した額が、現在のあなたの時間価値といえるだろう。
どうだろうか、予想より高かっただろうか。低いときは、時間価値を上げる工夫を考えてみたい。
よく「時は金なり」といわれるほど、時間は大事なものだ。世の中には成功する人も失敗する人もいるなかで、皆に与えられた時間は均等に24時間。周囲を見てみると、「短期間でこんな結果を残せるのはなぜだろう」と羨望の対象になる人がいるが、突き詰めていけば時間の使い方が極めて上手、つまり時間価値が高いと言える。
給与等、報酬を受け取る人ならば給与額を上げることが時間価値の上昇に繋がる。バブル時代のように「24時間戦えますか」の時代ではないので可能な限り、短い時間で給与額を上げる意識をしたい。自営業や経営者ならば、1カ月の売上が時間価値を測る目安だ。
不動産や証券で資産運用している人はその事業所得も、ベンチャー企業の経営者ならば出資額も含めたい。すべて総合的に纏めて「1カ月でいくらの金額を生み出したか」だ。たとえば専業主婦・主夫の人も、自身の時間を使って家族の豊かな生活を実現しているので、家族の売上をもとに自身の時間価値を算出できる。
2. 高齢化、スマホ時間による時間価値の減少を防ぐために
時間価値を維持するためには報酬面だけではない。1カ月あたりの時間価値を人生すべてに拡大すると、高齢化で定年後の時間が増えることも時間価値を左右する。ただ、現代は定年後も様々な場面で「働く環境」があり、セカンドキャリアとして独立起業で成功をする人も多い。生涯現役の時代、どうせなら天寿を全うする前日まで時間価値を生み出していたいものだ。
この時間価値の大敵がスマートフォン(スマホ)である。1日10分20分、なんとなく使っているスマートフォン。もちろん効率的に情報収集をしている人は多いが、反対に「何気なく」使っている人も一定数要るといわれる。
1日のちょっとした時間まで効率性を求めてしまうのは息苦しくもなるものだが、時間価値を上げたいと考えている人は見逃しがちな注目の部分だ。スマホを使う時間を減らすか、使ってリラックスした分を他の部分で補完するかは、それぞれの人が自身のタイプに合わせて判断するとよいと思う。
3. 時間価値を高めるためのキャリアチェンジ
実際に時間価値を算出したとして、思ったより低い数値が出た場合はどうすればいいのか。スマホの利用時間を管理してもいいが、思い切って「キャリアチェンジ」を検討するのもひとつの方法だ。
ひとつの会社に長く「我慢して」勤めれば右肩上がりで給与レートが上昇していく時代は既に過去のものとなった。たとえば20代の若者が40代になっても50代になっても時間価値が変わらないものとなれば、あまりお勧めできる展望ではない。その時は、思い切った転職や、独立起業もひとつの選択肢だ。
とはいえこの時の妙は、先行投資の考え方が必要となること。独立を例にとってみても、最初の一定期間は「下積み」の期間が生じる。その分を控除して、事業が軌道に乗ってからの時間価値を考えるほどの余裕は不可欠だ。
また、当然だが事業はすべてが成功するわけではない。そのリスクとも向き合うことが大切だ。ただ、現在独立して時間価値を稼いでいる人たちは、そのような期間を踏まえて今日の立ち位置を築いている。
工藤崇(くどうたかし)
FP-MYS代表取締役社長兼CEO。FP-MYS:http://fp-mys.com/
ファイナンシャルプランニング(FP)を通じ、Fintech領域のリテラシーを向上させたい個人や、FP領域を活用してFintechビジネスを検討する法人のアドバイザーやプロダクト支援に携わる。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居。執筆実績多数。
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