(本記事は、小池修氏の著書『日本一社員が辞めない会社』ぱる出版、2018年3月10日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【『日本一社員が辞めない会社』シリーズ】
・(1)「日本一社員が辞めない」会社の社長が教える「本当の退職理由」とは?
・(2)社員のやる気も結果も変わる「山分けインセンティブ」の中身とは
・(3)「信頼されないリーダー」がやりがちなコト 社員が辞めない会社づくり4つのポイント
・(4)「高離職率」の介護業でも社員が辞めなくなる「3つのK」とは?
・(5)なぜ「辞めさせたい社員」を継続雇用した方が良いのか?「強い組織」のつくり方

日本一社員が辞めない会社
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

全社員との年4回の社長面談でわかった社員のホンネ

今でこそ社員の定着率が上がり、安定しましたが、創業当時は社員定着率がなかなか上がらず、本当に苦戦しました。

そこで、創業3年目のころから、3か月に1回のペースで、すべての社員と30分程度の面談を行うようにしました。

この面談を通して、私は社員が辞める本当の理由がわかったのです。

その理由は、家庭の事情を除けば、だいたい次の3つに集約されます。

(1)(有給)休暇が取れない
(2)嫌いな人(上司)がいて、認めてもらえない
(3)自分の将来が見えない

実際、当社の社員の中にも、これらの理由で辞めていった人がたくさんいました。したがって、離職者を減らし、定着率を上げていくためには、これらの問題を早急に改善していく必要があるといえるでしょう。

【保存版】2019年、知らないと損する「お金のはなし」
相続対策に失敗した「元富裕層」の悲惨な末路

今の若者たちは(有給)休暇が取れるのが当たり前

私の若いころは、有給休暇はあったけれども使わないのが当たり前でした。

しかし、今は時代が変わり、有給休暇は当然の権利なのだから、取れるのが当たり前。取れないなんてあり得ないという感覚になっています。

つまり、有給休暇を取らさないとブラック企業と言われることにもなりかねないのが、今の時代なのです。

私の感覚では、先に挙げた3つの退職理由のうち、休暇を取りたい時に、(有給)休暇が取れないことが、今の社員にとって、最もネックになっていることの一つではないかと思っています。

したがって、まずは休みの問題を何とかすることが、会社にとっては先決課題といえるでしょう。

そうしなければ、いくらほかの手を打ったところで、まるで底に穴の開いたバケツに水を注いでいるかのように、いくら人を採用しても、どんどん辞めていってしまうのです。

職場の人間関係は退職の大きな引き金になる

転職サイトの「リクナビNEXT」が、転職経験者に「退職理由の本音とタテマエ」を聞いたおもしろいアンケート結果があります。

それによると、退職理由の本音のトップ3は次のようになっています。

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)

このようにトップ3に人間関係に関することが2つもランクインしていることからもわかるように、職場の人間関係に対する不満は、社員にとって非常に深刻な問題なのです。

大企業のように、定期的な人事異動で上司が代わるような職場であれば、それまでの辛抱ということで我慢できるかもしれませんが、上司を含めた職場のメンバーが変わることが少ない小さな会社の場合は、そのストレスは非常に大きく、辞めたくなるのも無理はないといえるでしょう。

したがって、社員の定着率を上げるためには、小さな会社ほど職場の人間関係の改善に社長自らが取り組まなければいけません。放っておけば自然に解決するような問題ではないからです。

社員は会社の将来より自分の将来が大事(当たり前!)

「このまま今の会社にいても、明るい未来が見えない」、「この会社にいたら、自分のやりたいことができない」といった理由で辞めていった社員も、過去に何人かいました。

このような理由で辞めていく社員は、どちらかというと優秀な社員であることが多いので、会社にとってはダメージが大きくなります。

ですので、会社としては、こういう人財の流出はできるだけ避けたいところです。

では、優秀な人財を流出させないためにはどうすればいいのか?

かつて私がサラリーマンをしていたころは、「会社のために働く」という考え方の人が何人かはいたものですが、今はほとんど見かけなくなりました。

特に今は時代が変わり(昔もそうだったかもしれません)、若い人たちは、会社の将来より、自分の将来を一番に考えます。

したがって、優秀な人財の流出を防ぐには、会社のビジョンと社員の夢のベクトルを一致させることです。

夢のベクトルを合わせることは、優秀な社員の定着率を上げる効果的な方法であることは確かです。

実際、当社の社員の中にも、この方法によって退職を思いとどまって、活き活き働いている社員が何人もいますので、その効果は実証済みといえるでしょう。

給料が退職理由の決定打になることは少ない

先ほど挙げた3つの退職理由のほかにも、「給料が安い」といった不満を口にする社員もいます。

しかし、給料については、業界平均を大幅に下回っていなければ、これが退職理由の決定打になることは少ないというのが、私の実感です。

なぜなら、それを承知で入社してきているからです。

転職することで月の給料が今より5万円くらい上がるのであれば、転職する人もいるでしょう。

しかし、転職しても1万円そこそこしか上がらないのであれば、給料に対する不満だけが原因で転職する人はいないといってもいいと思います。

なぜなら、転職した場合、また一から職場の人たちと人間関係を築いていかなければいけないからです。

実際、これは大きなストレスになりますので、現在の職場で人間関係がうまくいっているのであれば、1万円のためにあえて冒険したくないという人が多いのです。

だからといって、社員の給料を改善せずに放置しておいていいかというと、そういうわけではありません。

給料に対して不満を感じている社員がいるとしたら、その社員のモチベーションを落とさないためにも、きちんと対応すべきでしょう。

ちなみに、当社では社員の給料に対する不満を解消するために、さまざまな工夫をしています。

小池修(こいけおさむ)
リハプライム株式会社代表取締役。早稲田大学法学部卒業後、不動産会社の営業マンを経て、上場企業(フィットネスクラブ)の役員まで上りつめる。しかし、2010年、両親がほぼ同時に倒れ、介護が必要になったことを機に2011年4月に埼玉県さいたま市にデイサービスの1号店をオープン。その後、デイサービスのFCを全国展開しつつ、訪問看護ステーションや介護タクシー、福祉用具販売などの事業も次々に展開。さらに2018年1月にはシニア向け美容室を併設したカフェ「茶の間」をオープン。同時に、離職率50%が当たり前の介護業界で、定着率96%を達成し、業界の注目を集めている。

【保存版】2019年、知らないと損する「お金のはなし」
相続対策に失敗した「元富裕層」の悲惨な末路

【無料eBook】時短と生産性向上を両立させる働き方改革7つの方法