(本記事は、バフェット太郎氏の著書『バカでも稼げる「米国株」高配当投資』ぱる出版、2018年5月7日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

バカでも稼げる「米国株」高配当投資
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

【『バカでも稼げる「米国株」高配当投資』シリーズ】
(1)「急騰間違いなし」の有料情報は不要 多くの著名投資家が推奨する投資先は?
(2)日本人が株式投資でお金持ちになれなかった理由とは?
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8~16銘柄への分散投資がカルピスでいう「おいしい薄め具合」

バカでも稼げる「米国株」高配当投資
(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

バフェット太郎は10銘柄に分散投資していますが、ダサい投資家ほど1~2銘柄に集中投資したり、50~100銘柄と行き過ぎた分散投資をしたりするものです。

そもそも資産運用において分散投資は基本中の基本ですから、1~2銘柄に集中投資するということは正気の沙汰じゃないし、虎の子の投資資金でギャンブルするようなものなので、どんなに自信があってもやるべきではありません。

たとえば、過去数年間を振り返って見ても、日本の個人投資家のあいだで、(1)エネルギー株(2)バイオ株(3)小売株(4)IBM株が注目を集めていました。それぞれの終焉理由や下げ幅を確認してみます。

(1)エネルギー株
高配当が狙えるとして注目されましたが、原油価格の暴落を受けて、コノコフィリップスやキンダー・モルガンなどの石油株は、それぞれ直近の高値からマイナス61.92%安、マイナス70.68%と大暴落したことに加えて、配当も減配したことで、配当を期待していた投資家たちは慌てて損切りに走りました。

(2)バイオ株
長期的な利益成長が見込めるとされるも、大統領選挙の年、薬価引き下げ問題を受けてバイオ株ブームが終焉。これでギリアド・サイエンシズは高値から一時マイナス46.25%と暴落し、ベイビー・バフェットと称されるウィリアム・アックマン氏が集中投資していたカナダの製薬会社バリアント・ファーマシューティカルズに至っては高値からマイナス96.83%と紙屑同然まで大暴落しました。

(3)小売株
バリュエーションが割安として自称バリュー株投資家たちが投資していた百貨店大手のメーシーズやスポーツシューズショップ大手のフット・ロッカーはアマゾン・ドットコムの躍進を受けて、高値からそれぞれマイナス74.61%、マイナス63.08%と大暴落しました。

(4)IBM株
「バフェットが投資している」という理由で集中投資していたような投資家たちは、13年の高値からマイナス43.68%と暴落する中で狼狽売りに迫られ、ゼネラル・エレクトリックに集中投資していた投資家も高値からマイナス46.32%と暴落したことを受けて、自分の証券会社の口座を見ることすらできなくなった投資家も散見されました。

このように、特定の銘柄やセクターに集中投資することがいかに危険なことかがわかると思います。

それでもFAAMG株など特定の銘柄やセクターが上昇すると、経験の浅い未熟な投資家たちは「あの時アマゾンやアップルに集中投資していれば……」と嘆くわけです。妄想をするのはタダだし損をすることもありませんが、安易に集中投資すれば必ずしっぺ返しをくらうのが株式市場です。

とはいえ、個人投資家の中には1銘柄に集中投資して成功した投資家がいるのも事実です。

しかし、それは銘柄分析に優れていたわけでも先見の明があったわけでもなくて、たまたま予想が当たっただけの「まぐれ」です。その証拠に、一握りの銘柄に集中投資を繰り返してお金持ちになった投資家はほとんどいません。

それに株式投資というのは、どんな優良株でも10年に一度は30~50%くらいは暴落するものだし、誰でも予想が外れることはあるんだから、幅広いセクターや銘柄に分散投資し、バランスを保ちながら堅実な運用を心掛けなければならないんです。

では、どれくらいの銘柄に分散投資すればいいの?っていうことなんですが、個人投資家にとって8~16銘柄程度が最適ゾーンになります。

分散投資を例えて言うならカルピスのようなもので、カルピスを原液のまま飲めば味が濃すぎておいしくないし、水を足し過ぎればシャビシャビになっておいしくない。

カルピスをおいしく飲むにはちょうど良い量の水が必要です。

分散投資の場合、それが8~16銘柄になるというわけです。

しかし、ダサい投資家ほどリスクの低減効果を無視して1銘柄に集中投資し、保有銘柄が暴落するとパニックに陥って狼狽売りをしたり、株価が10~15年くらい経たないと回復しない株を「割安で絶好の買い場だ」と勘違いしてさらに買い増す凍死家になってたりするのです。

また、中にはリスクの低減効果が無くなっていることにも気づかず、気になった銘柄を手当たり次第に50~100銘柄くらい買いまくって、一人で悦に入ったりする投資家もいます。このような過剰な分散投資はポートフォリオの管理が難しくなることに加えて、売買手数料がかさむなどのデメリットが大きくなります。

たとえば、時価評価額が2000ドル(約20万円)の株50銘柄(計10万ドルのポートフォリオ)を保有したとします。

この時、1銘柄だけ買い増そうとした場合、その他の銘柄と乖離しないように200ドルだけ買い増そうとすると、手数料は5ドル、手数料率が2.5%と割高になります。

一方で手数料が割高にならないように1200ドル分買い増した場合、手数料率は0.45%になりますが、買い増した株の時価評価額は1.6倍になるので、たった一度の買い増しでポートフォリオにおける主力銘柄になってしまいます。

そこからさらに同じ銘柄を買い増そうとすれば、その他の銘柄との乖離率がさらに大きくなるので、買い増したくても買い増せないですし、乖離を無視して買い増せばその1銘柄にポートフォリオ全体が振り回されかねません。

また、50~100銘柄も分散投資してしまうと次第に管理も雑になり、買い増す銘柄も値下がりしている株を適当に買ってみたり、あるいは勢いのある将来有望の銘柄を割高であるにも関わらず投資してみたりと、気づいたら特定の銘柄や特定のセクターに偏ったポートフォリオでグチャグチャになっているなんてことに陥るわけです。

そのため、ほとんどの個人投資家は8~16銘柄に絞って、堅実に運用・管理できる範囲に留めたほうが賢明と言えます。

バフェット太郎(ばふぇっとたろう)
日本一アンチの多い米国株ブログ「バフェット太郎の秘密のポートフォリオ」(月間70万PV)の管理人。23歳の時に300万円から日本の中小型株で投資を開始。ジェレミー・シーゲル著『株式投資の未来』の影響を受けて、2015年夏頃より米国株にシフト。現在の運用資産は5000万円で、コカ・コーラ株やジョンソン・エンド・ジョンソン株など米国の超大型連続増配高配当株10社に均等分散投資している。また、毎月米国企業から受け取っている10万円超の配当金は、組入れ比率最低銘柄に再投資することで均等を維持させ、資産の最大化を目指している。過去二年間のトータルリターンは30%弱。

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