「副業を始めたい」と希望する人は少なくありませんが、実際に行動に移すに当たって「本当に儲かるのか」「副業をしても問題ないのか」など、不安に思うことがいくつも出てくるはずです。今回は、そんな不安を払拭するためにも副業の実態を紹介します。特に、「どれくらいの人が副業を経験しているのか」「実際にどれくらいの収入を得ているのか」など、公的機関のデータを見ていきます。

政府の進める副業促進の流れ

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(写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)

長らく、日本では副業を禁止する就業規則を持つ企業が多数派でした。労働者の副業を禁止する規定に、何らかの法的な裏付けがあるわけではありません。これは、企業の就業規則の見本ともいうべき厚生労働省の「モデル就業規則」で、労働者が遵守すべき規定として「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」との文言があったためです。

その理由としては「本業がおろそかになること」「企業の情報を漏えいされるリスクがあると考えられていたこと」「利益相反のリスクがあること」などが挙げられています。2018年現在でも、副業を禁止する企業が大多数であると推測されます。4年ほど前のデータですが、中小企業庁の委託調査である「平成 26 年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書」によると、副業を認めていないと回答したのが全体の85.3%です。

しかし、2017年後半から副業を認める方向へ変化しつつあります。政府は、いわゆる「働き方改革」の一環として副業の存在に着目しており、2017年12月には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をまとめました。そこでは、「幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要である」「裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である」として、企業にも副業容認へ動くよう検討を求めています。

また、厚生労働省も2018年1月になってモデル就業規則を改訂しました。会社に届け出ることを条件としながらも、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と明記されています。これらの点を踏まえると、政府の動きに合わせて副業を認める企業は今後増えてくると考えられます。

副業している人の割合と収入の目安

前述の通り、副業を認めない企業が85.3%に上り、容認している企業は14.7%に過ぎません。さらに、副業や兼業を容認している企業の中でも、実際に従事しているのが「0人」と回答した企業が22.5%、「1~5人」が35.3%となっており、実態としては副業が浸透していないことをうかがわせます。

しかし、副業や兼業を希望している人は年々増加傾向にあります。2012年の段階で約367万8,000人(就業者全体の5.7%)に上り、1992年の約290万2,000人(4.4%)と比べると漸増となっています。収入増やスキルアップなど、副業にはさまざまなニーズがあると考えられます。

一方、気になるのは「副業による収入がどれくらいあるのか」ということではないでしょうか。2007年という古いデータなのですが、労働政策研究・研修機構の実施した「副業者の就労に関する調査」によれば、1ヵ月当たり「5万~10万円未満」が 27.2%で最も多く、次いで「10万~15万円未満」(13.7%)となっています。

稼ぎたいなら本腰を入れて取り組むこと

副業というと、本業の空き時間に片手間で取り組むようなカジュアルなイメージを持つ人がいるかもしれません。しかし、データによるとかなり本格的に取り組む人が少なくないという結果が出ています。先に紹介した労働政策研究・研修機構の調査によると、1ヵ月当たりの副業日数として「5~10日未満」が 28.6%で最も多いという結果でした。

次いで「5日未満」(25.2%)、「10~15日未満」(18.5%)となっており、月間15日未満の人が大半を占めています。しかし、土日のすべて、あるいはそれ以外の平日も含めて副業に時間を割いている可能性があります。このように考えると、副業で収入を上げたいなら片手間ではなく、本腰を入れて取り組む必要があるでしょう。

平日に会社勤めをしているなら、本業を効率化して残業を減らし、平日の空き時間の一部も含めて副業に充てることになりそうです。副業している人が増えると、競争激化にもつながります。これから副業開始を検討している人は、最初は肉体的に負担がかかる可能性も念頭に置くべきでしょう。(提供:Incomepress


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