国土交通省が電線地中化に向けた運用ルール案の取りまとめに入る中、今後は幹線道路以外の生活道路でも工事が進む方向だ。地中の構造探査技術を持つ応用地質(9755)など、関連銘柄の注目度は高まる。

株式新聞,無電柱化
(画像=PIXTA)

国交省の「無電柱化推進のあり方を検討する委員会」が今月、まだ手薄な歩道や生活道路での電線地中化のルール案を提言した。年度内にも自治体向けに無電柱化のためのガイドラインが示される。今年4月に策定した「無電柱化推進計画」の導入を後押しする構えだ。

同計画では、2018~20年度の3年間に約1400キロメートルの道路における無電柱化を目指している。これまで2200キロメートル分で電線の埋設が済んでいるが、費用面の問題もあって近年では工事のペースが鈍化していた。ただ、今回決まった指針に沿って、再び加速する見通し。幅2メートル未満の歩道のほか、民間の宅地開発なども新たに対象に加わる。

地中に電線の通る共同溝を設置するには、電柱を使う場合の10倍の費用が生じると言われている。ここで注目されるのが、道路の下の状況を事前に3次元で正確に把握し、できるだけ試掘を減らす技術だ。コスト削減につながる上、地中が複雑な都市部での工事のスピードアップにも寄与する。

応用地質は、AI(人工知能)による路面下空洞探査の技術を持つ。また、地中に埋まった管などを探査するレーダーも手掛け、無電柱化向けの展開を強化中。今秋開く展示会でも積極的にアピールするといい、株式市場でも関心が高まる。株価は5月の高値1599円から2割近い調整を挟み、値ごろ妙味を強めている。

18~20日には、都内で「無電柱化推進展」も開催される。昨年は無電柱化を推進する小池百合子東京都知事が出席して話題になったが、今年も出展者が脚光を浴びそうだ。

その中の1社がイトーヨーギョー(5287・(2))。狭い生活道路などでの無電柱化を見据え、安価に導入するための製品を拡充させている。道路の側溝の下に電線を通す小型ボックスのほか、自転車用の縁石の下部に電線を格納する資材などを展示する。

未来工業(7931・名(2))は、より浅い地中に電線を埋め込むための樹脂製ボックスを取り扱う。出展企業以外でもゼニス羽田ホールディングス(5289・(2))や日本ヒューム(5262)、虹技(5603)、タイガースポリマー(4231)、地中探査の川崎地質(4673・JQ)などをマークしたい。さらに、電設工事は大盛工業(1844・(2))やETSホールディングス(1789・JQ)が有力だ。(7月18日株式新聞掲載記事)

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