(本記事は、川園樹氏の著書『未来を変える「外見戦略」』KADOKAWA、2018年5月25日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

外見戦略
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

【『未来を変える「外見戦略」』シリーズ】
(1)ジョブズも「ある場所」に行くときはスーツを着たーー外見戦略とは?
(2)大統領は「外見」で決まる ケネディの逆転勝利に学ぶ見た目の重要度
(3)外見を変えたければ最初に服を買ってはいけない、なぜ?
(4)服選びのときに意識したい「心の状態」とは
(5)なぜジョブズやザッカーバーグは「毎日同じ服」なのに記憶に残るのか?

心の状態が服選びに影響する

外見戦略
(画像=Syda Productions/Shutterstock.com)

意識するしないにかかわらず、選んだ服には心の状態が反映されます。

例えば、自分自身に価値がある、未来が明るいと思っている方は、高価な服を買うことに抵抗があまりありません。ですが自分自身に価値を感じていない、未来は明るいと思えない方は、高価な服を買うことに抵抗を感じる傾向があります。

以前、ショッピング施設のLUMINEの広告のコピーに「未来を信じてなきゃ服なんて買えない」というものがありました。

「服を買う」ということはある意味で「未来を買うこと」「未来に投資すること」ではないのかと思いました。

服と心の関係性で知っておくべきことは、自信がない状態で買った服を着ていると自信がなさそうな外見になるということです。たとえ自信があったとしても着ているうちに自信がなくなってきます。

気持ちが沈んでいる状態で選んだ服を着ると落ち込んだ外見になりますし、元気であっても着ているうちに気持ちが沈みます。

自信とやる気、希望に満ちあふれて気分がよい時と、失敗して自信をなくし、やる気や希望を持てない時では、入るお店や手に取るもの、店員さんとの会話など、全てがまったく違ってくるはずです。

そう考えてみると、たかが服選びではありません。服選びは人生の選択です。なぜなら心の状態は意思決定を左右するからです。

例えば、やる気に満ちあふれている時と、落ち込んでいる時では、以下の場面の意思決定も変わるでしょう。

●朝何時に起きようか?
やる気がある時→早く起きて勉強しよう。
落ち込んでいる時→もう少し寝ていよう。

●何時に出社しようか?
やる気がある時→早く行って会議の資料をまとめておこう。
落ち込んでいる時→始業ギリギリに行けばいいかな。

●上司に叱られた......
やる気がある時→成長するチャンスだ。さっそく修正しよう。
落ち込んでいる時→面倒くさいから、そのままやりすごそう。

●顧客とトラブルがあった......
やる気がある時→もっとお客様の立場で考えるべきだった。再提案しよう。
落ち込んでいる時→お客様が悪い、自分は悪くない。

このような決断の質こそが一日に成し遂げる仕事の質に直結しており、決断の量が一日に成し遂げる仕事の量に直結します。それくらい決断の質と量は大切です。

人は一日に大小含め約6万回の決断をすると言われています。

一つひとつは小さなことでも、決断が繰り返されていくうちに、人生や仕事の成果の差となっていきます。

その決断の差を生むのが心の状態であり、心の状態を作るのが外見です。ですから服を価格だけで選んだり、人任にしたりしてはいけません。

私のクライアントのある方は気分が重く働く気持ちが起きない時に、一緒にお選びしたスーツを着て、鏡を見た瞬間に、そこにはやる気に満ちあふれた自信満々の自分の姿が映っていて、「一瞬でやる気のスイッチが入った。よし、やろう!という気持ちになった。あれはパワースーツだ」と言っていました。

なりたい自分を意識して服を選ぶ

服を買いに行く時は、心の状態が良い時に行くのが良いと先ほどお話ししましたが、身だしなみ、髪型をきちんと整えてからにしましょう。

試着して鏡を見る時に、多くの方が鏡に映る自分の顔を見てから、服や全体を見ます。

最初に映る顔や髪型が「いまいち」だと感じると、服も「いまいち」だと感じます。

そうなると、服自体を冷静な判断で選択できなくなるので、私が買い物に同行する時は、クライアントの方のヘアスタイルをさっとセットし直したり、「今日は目力があって精悍な雰囲気ですね」などと、良いお顔になるようにしてからご試着をしていただくようにしています。

私はクライアントの方の買い物に同行する時には、何度も「なりたい自分」についてご質問し、イメージを膨らませて意識していただきます。

例えば、私がクライアントの方とやりとりをしている会話の一例をご紹介します。

「○○さんのお仕事は、これからどうなっていけば理想ですか?」
「○○さんは、起業家のプロデュースをされていますが、具体的にどのようなプロデューサーになりたいのですか?」

とお聞きします。もちろん知っていて、敢えて聞いています。

それに対してクライアントの方が、

「クリエイティブな視点を持ち、熱い想いのある若手起業家を育てる人になりたいです」

と答えたとします。

それに対して私は、

「それにはどのような要素が必要なのですか?」

とお聞きします。

するとクライアントの方の答えは、

「リーダーシップですね。と言っても自分がグイグイ引っ張るというより、懐深く支えるようなリーダーになりたいです。それには信頼されることが必要ですね。あとは自由な発想で常識に縛られずに現状打破していくような、そんなプロデューサーでありたいです」

であったとします。

そうすると、それに対して、私は、

「『愛情」『信頼』『クリエイティブ』がキーワードなんですね」

などのようにお答えし、「なりたい姿」を具体的にし、「キーワード」を見つけ、キーワードに合わせて服などを選んでいきます。

なりたい自分のキーワードは「外見戦略」に大きく関係します。

さらに「3年後にはどのようになっていたいですか?」「どのような方が周りにいると理想的ですか?」などと理想の未来を想像してもらうことで「キーワード」を見つけ、それに合わせて服を選んでいきます。

このようになりたい姿を確認し、「AかBのネクタイだったらどちらがキーワードに合うだろうか?」と考えていくと選びやすくなります。

ちなみに、例えば「愛情」「信頼」「クリエイティブさ」がキーワードだとすると、「愛情」を表現するためにはスーツは暖かみのある素材のものにして、「信頼」を表現するためには、紺色のスーツと薄い青のシャツで取り入れ、「クリエイティブさ」をネクタイの色柄を紺色に小さめのピンクのドットで取り入れる、などのように選んでいきます。

そうするとそのイメージに合った服を選ぶことができます。

また、服を選ぶ時は過去の延長線上で考えるのではなく、理想的な未来から逆算をしていくとより良いでしょう。

川園樹(かわぞのいつき)
国際イメージコンサルタント。静岡県生まれ。明治大学法学部卒業後、富士通株式会社で営業戦略を担当。退職後、Image Resource Center of New York認定スクールで国際基準のイメージコンサルティングの手法と実践を学ぶ。アメリカにてAICI(国際イメージコンサルタント協会)の国際イメージコンサルタント資格を取得。帰国後、海外の要人や政治家、上場企業経営者、文化人やスポーツ選手、起業家など3000人以上のイメージコンサルティングを担当。成果を出すコンサルティングに定評があり、個別コンサルティングはキャンセル待ちが続いている。