在宅勤務などのテレワークの導入を後押しする政府のキャンペーン「テレワーク・デイズ」が、昨年よりもスケールアップして始まった。期間は27日までの5日(昨年は1日)、参加団体は昨年の950から2000に増える見通しで、「働き方改革」の普及を映している。これらを支えるサービス、製品の需要も高まりつつあるようだ。
6月に成立した「働き方改革関連法」は来年4月に施行される。残業時間に初の罰則付きの上限を設けた点や、労働時間規制をなくす「高度プロフェッショナル制度」が大きな話題となったが、政府が目指す働き方改革のすそ野は広い。今後も非正規雇用の処遇改善、賃金引き上げ、柔軟な働き方をしやすい環境づくりなどを視野にさまざまな施策を拡充していく。
そのうちの一つが、従業員が職場に出勤せず、自宅や外部のオフィスで仕事を行うテレワークだ。今回のキャンペーンでは民間企業だけではなく、総務省でも8月末までに職員の半分のテレワーク活用を目指す。2020年の東京五輪における交通機関の混雑緩和の狙いもあり、急速に導入が進んでいる。
テレワークで重視されるのがインターネットやセキュリティーといったITインフラや、働きやすいオフィス環境だ。業務効率を上げるモバイルワークのほかにも、人材確保や出勤などの時間のロスを考慮した郊外型の外部オフィスを設置する企業も多い。こうした流れを受け、コクヨ(7984)やオカムラ(7994)といったオフィス家具大手が積極的な提案営業で攻勢を掛けている。
オフィス環境の充実に伴い、設備更新の機会も増える。こうした需要を取り込むのが、オフィス間仕切り大手の小松ウオール工業(7949)だ。今3月期は、本来なら閑散期に当たる第1四半期(1Q)の営業利益(非連結)が1.3億円(前年同期は300万円)に達した。
働き方改革を背景に、間仕切りの商機が急拡大している。また、インバウンド(訪日外国人観光客)の増加に伴いホテル向けのパーテーション(仕切り)も活躍する。通期の営業利益は26億円(前期比12.9%増)を見込むが、1Qは計画上ブレを期待させる好スタートだ。IoT(モノのインターネット)を活用した生産管理も見逃せない。
小松ウオールの株価は決算発表を受けて急騰したものの、PBR(株価純資産倍率)はまだ0.7倍にとどまる。国策に乗る銘柄として、バリュエーションが切り上がる余地は大きい。
また、テレワークの導入とともに企業がスペースを効率化する動きもある。貸会議室のティーケーピー(=TKP、3479・M)は、会議室などのオフィス機能を外部化する潮流を受け業績が拡大中だ。今年から20年にかけて東京都心部でオフィスの大量供給が見込まれる中、こうした傾向は一段と強くなる見通し。テレワーク拡大と両面で、同社の存在感は高まる。
今2月期のTKPの連結営業利益は、1Qが前年同期比25%増の18億円。通期では40億円(前期比16%増)を計画する。株価は上昇一服で押し目を形成している。
TKPも商機増す
このほか、小松ウオールと同じく間仕切りを手掛けるコマニー(7945・(2))や、稲葉製作所(3421)もテレワークの関連銘柄として注目したい。また、中古オフィスレンタルに進出したコスモスイニシア(8844・JQ)や、レンタルオフィス提供のインキュベーション事業を手掛けるソーシャルワイヤー(=Sワイヤー、3929・M)なども関心を集めそうだ。(7月25日株式新聞掲載記事)
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