ウォーレン・バフェット氏は過去数年にわたりバークシャー・ハサウェイの株を慈善団体に寄付し続けてきた。

その結果、ビル・ゲイツ夫妻が運営する慈善基金団体ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の持ち分が5%を超え、バークシャー最大の株主の一つとなっていることがCNN2018年7月23日付けの報道から明らかになった。

全財産を慈善団体に寄付する計画のバフェット氏

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(画像=Thinkstock/Getty Images)

長年にわたり良き友人であるゲイツ氏とバフェット氏。2018年8月7日のフォーブスのデータによると、ゲイツ氏は953億ドル、バフェット氏は856億ドルの純資産を所有しており、ジェフ・ベゾス氏に次ぐ世界2・3位の大富豪である。

最初に顔を合わせるまではお互いのことに全く興味がなかった両者だが、出会った瞬間意気投合。それ以来、友人関係は27年も続いている(ビジネス・インサイダー2018年7月9日付記事)。

バフェット氏は2006年、ゲイツ財団を含む慈善団体にバークシャー株や現金を寄付し始めた。 2018年7月には34 億ドル相当ものバークシャーのクラスB株を、ゲイツ財団と身内が運営する合計5つの団体に寄付。2017年に寄付した32億ドル相当を上回る、過去最大の額となった。同氏は既に309億ドルを慈善団体に寄付しており、最終的には全財産を寄付する意向を示している(ロイター2018年7月16日付記事)。

所有していたMicrosoft株のほとんどを寄付したゲイツ氏

ゲイツ氏は2000年にメリンダ夫人とゲイツ財団を設立した。慈善活動に専念するため2008年、MicrosoftのCEOの座から退任いている。

米国証券取引委員会(SEC)への申請によると、2020年6月30日までに6000万株 を売却し、売却金を慈善団体に寄付する計画だ。2017年6月には同氏の寄付額としては最大の46億ドル (Microsoft6400万株)を「匿名の受取人」に贈与したことが、SECへの提出書類から分かっている。この「匿名の受取人」とは、恐らくゲイツ財団であるとの見方が強い。

「46億ドル」と聞くと庶民にはとてつもない金額に思えるが、ゲイツ氏の当時の資産900億ドルのわずか5%にしか満たない。 しかしこの贈与により、1996 年には24%を占めていたゲイツ氏のMicrosoft株の保有率は1.3%まで減った。

ゲイツ氏は自身の財団を通し、1999年には160億ドル相当、2000年には51億ドル相当のMicrosoft株を贈与するなど、1994年から総額350億ドルを慈善活動に寄付している(ガーディアン2017年8月15日付記事)。

富裕層が資産の半分以上を寄付する「Giving Pledge」

ゲイツ氏とバフェット氏は2006年、「Giving Pledge(寄付誓約宣言)」 という寄付啓蒙活動を共同で始めた。これは資産家が「生前あるいは死後、資産の半分以上を慈善団体に寄付する」ことを誓うもので、富裕層が資産を慈善活動に役立てるよう促進する意図だ。

多くの参加者は「慈善活動に深く公然と関与する」という自らの意思決定、あるいはその動機などを書簡で公表する。

米国で始まった「Giving Pledge」は 2013年2月以降、英国、ドイツ、オーストラリア、インド、南アフリカなどにも広がり、現時点では世界22カ国・地域で183人ものビリオネアが参加している。

ゲイツ氏は活動の目的を、「世界をより良い場所へと作り変えることに貢献する、素晴らしい慈善活動の伝統を築くため」 と述べている。

著名人ではTesla のCEOイーロン・マスク氏、ブルームバーグ設立者マイケル・ブルームバーグ氏、Facebook のCEOマーク・ザッカーバーグ夫妻などが、参加者リストに名を並べている。

ベゾス氏の「目の前の問題を重視する」アプローチ

慈善活動に対するビリオネアの見解はそれぞれ異なる。世界一のお金持ちであるジェフ・ベゾス氏は「Giving Pledge」に参加しておらず、「長期的なアプローチより、今目の前にある問題に関心がある」 と発言している。

1530億ドルもの資産は、慈善活動よりも宇宙旅行やワシントンポストの買収に費やされているため、「ベゾス氏はお金を儲けることにしか興味がない」ように見えるが、これは社会還元への仕方が従来の慈善活動と異なるだけかもしれない。

「Global Philanthropy Forum」のジェーン・ウェールズ氏 はこうしたベゾス氏の行動を「事業投資を社会的変化を促す機会ととらえているのではないか」と推測している。ベゾス氏のアプローチは、「システム全体に要因があると捉えられがちな短期的な問題」に対する取り組みを促進する機会となり得る(ビジネス・インサイダー2018年3月6日付記事)。

2017年の寄付金トップ3、全て自分たちの財団に寄付

2017年、世界最高額の寄付をしたゲイツ夫妻を筆頭に、自らあるいは家族が運営する財団や慈善団体に多額の寄付をするビリオネアも少なくない。

ザッカーバーグ氏もプリシラ・チャン夫人が運営するチャン・ザッカーバーグ・イニシアティブに19億ドル、Dellの設立者マイケル・デル氏は夫人と立ち上げたマイケル・アンド・スーザン財団に10億ドルを寄付している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)