プライベートカンパニー
(画像=ZUU online編集部)
プライベートカンパニー
石川 貴康(いしかわ・たかやす)
本業は企業改革のコンサルタントで、不動産投資家としての顔も。現在、個人事業、複数の法人あわせて15棟のマンション・アパート、10戸建て、8借地を持つ。本業についての著作も多数。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい!』『サラリーマンは自宅を買うな』 (ともに東洋経済新報社)、『サラリーマン「ダブル収入」実現法』『100円ちゃりんちゃりん投資』(ともにプレジデント社)などがある。

前回プライベートカンパニー設立とは何かは、プライベートカンパニーのメリットとデメリットに触れました。今回は、主にその基本的な活用方法を述べて行きます。

経費の付け替えによる課税後の支払いを課税前の支払に変える

プライベートカンパニーで事業を営んでいる場合、個人では税引き後に買っているモノやサービスが税前で買うことで、節税ができ、手残りが増えるという例を、前回100円ノートを買う例で示しました。もちろん、このメリットはこのノートを事業に供しているという前提がつきますが、その効果は大きなものです。

ノート以外で考えてみましょう。例えば、取引先と食事をしたとしましょう。それが、単なる飲み会ではなく、きちんと商談を伴うビジネス上の行為であれば、会議費または交際費に計上できます。会議費であれば、せいぜい一人千円とか2千円です。しかし、これが経費になると「ちりもつもれば」です。結局、1食は1食、この1食分の食事が経費化できるわけですから、お得です。

あまり過度の経費化や、私的な経費の流用は御法度ですが、きちんとプライベートカンパニーの事業の推進に使われ、その説明がつくのであれば、堂々と使えばいいのです。

こうした経費化の対象はたくさんあります。電話や切手、宅配などの通信費、パソコンやペン、のり、ホチキスなどの事務用品費、紙やプリンターのインクなどの消耗品費、事業に関係がある本や新聞などの新聞図書費など、いくらでもあります。特に、本や新聞は個人で読んでも、プライベートカンパニーとして買って経営者や社員に読ませても、ビジネスに関係した費用であれば問題ありません。

また、社員旅行やスポーツクラブ費用も福利厚生費にできます。もちろん、条件があり、社員全員が区別なく恩恵に浴せる、一人当たりの金額が常識の範囲内であるとかいったものです。

この福利厚生費は微妙な費用です。例えば、私はビジネスで本やコラムを書いています。本業の企業改革コンサルタントも、かなりの時間ドキュメントを書く仕事です。机に座っている時間が長く、肩コリがひどいのですが、どうやらマッサージ代は費用化できないようです。仕事をした結果のひどい肩こりで、仕事に支障が出ます。すっきりしていれば仕事もはかどるのです。自分自身を生産設備に例えれば、機械のメンテナンスをすることと同義に見えるのですが、どうもそうでもないらしいです。

また、講演や人前で話すのが仕事なので、スーツ代やクリーニング代なども経費化したいのです。しかし、それも微妙らしいのでしていません。社会通念としてスーツやクリーニングは自腹らしいのですが、実際スーツやワイシャツは仕事以外に着ないので、どう考えても事業に供しているのですが、税理士いわくNGだそうです。仕事の制服や工場作業着は経費化できるのに、変な話です。ということで、経費化できる費用に関しては、税理士に相談しましょう。何でもかんでも経費化せず、保守的な方が良いようです。  

私的利用では経費化不能な費用も、プライベートカンパニーに供したならできる

個人が私的に使用する場合は決して経費にならないものがあります。その代表が減価償却費です。減価償却費は、建物や自動車といった資産が、使用期間に応じて価値が下がり、その分が費用化されるものです。

個人の自宅建物や車は減価償却の対象にはならず、したがって課税所得を下げることはありません。

一方、個人事業や法人の事業に供しているならば、減価償却資産を費用化できます。この効果は絶大です。前回書いたように、そもそも個人事業や法人で買う際は、税引き前で安く買えている上に、費用化できて課税所得を下げ、税金を少なくしてくれるのです。