プライベートカンパニー
(画像=ZUU online編集部)
プライベートカンパニー
石川 貴康(いしかわ・たかやす)
本業は企業改革のコンサルタントで、不動産投資家としての顔も。現在、個人事業、複数の法人あわせて15棟のマンション・アパート、10戸建て、8借地を持つ。本業についての著作も多数。著書に『いますぐプライベートカンパニーを作りなさい!』『サラリーマンは自宅を買うな』 (ともに東洋経済新報社)、『サラリーマン「ダブル収入」実現法』『100円ちゃりんちゃりん投資』(ともにプレジデント社)などがある。

前回プライベートカンパニーの活用方法①基本編では、プライベートカンパニーの基本的な活用方法を述べました。今回は応用編です。

退職給与積立や養老保険で費用とタックスコントロール

事業で稼ぐことを前提に、法にのっとった費用コントロールの中で節税し、タックスとキャッシュのコントロールをする手立てがプライベートカンパニーにはあります。

個人事業主としては、小規模企業共済等掛金控除や中小企業退職金共済制度(中退共)などです。この仕組みは素晴らしく、中小企業の退職金を積み立てておくことで、退職金が出せるようにすることと、掛け金は損金または必要経費として扱い全額非課税になること、さらに受け取り時は税制上の優遇がある退職所得として受け取れることです。

第一の利点は、掛金を支払った年度において、その支払額が所得控除に使えることです。例えば、月額5万円、年間で60万円を積み立てると、60万円がそのまま課税所得から控除できます。その分、税金が下がるわけです。

第二の利点は、廃業・解約時にもらえるお金が退職所得扱いになることです。退職所得は所得税上優遇されるのです。退職所得は以下のように計算します。

収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

なんと、退職所得控除後に所得をさらに半分にしてくれるのです。退職金は老後の資金なので優遇してくれるのでしょう。退職所得控除は、勤続年数により異なり、次のようになります。控除額は大きいです。

勤続年数(=A)とすると、
勤続年数:20年以下の場合 40万円 × A (80万円に満たない場合には80万円)

私の父の実例を書きましょう。父は個人事業主としてプライベートカンパニーを営み、毎年60万円を積み立てました。20年間の積立額は1,200万円。父の所得税率を20%とすると、12万円(60万円×20%)が毎年節税できたことになります。20年で240万円の節税です。さらに、この1,200万円は利息で1,600万円になっていました。

所得に区別がなければ1,600万円が合算され、とんでもない税額になりますが、退職所得で計算されるので、800万円(1,600万円-800万円で計算)×1/2=400万円が退職所得でした。

積立時の所得税の減額効果が20年で240万円、退職所得扱いにすることによる節税分が448万円となり、合計688万円も節税できたことになります。もちろん、大まかな計算なので誤差はありますが、効果が実感できるのではないでしょうか。小規模企業共済等掛金控除や中小企業退職金共済制度(中退共)は個人事業主や中小企業の経営者での節税方法です。一方、法人の節税方法には、法人による養老保険の費用負担という手があります。経営者の保険の保険金が経費になり、その分節税できるというわけです。