3.加入後の現状と問題点とは

現在ある少額短期保険の多くは「家財 •賠償」保険です。これらの多くは従来の損害保険会社の子会社として存在しており、補償金額も少ないかわりに掛け金も少ない、という損害補償のミニマム化を狙ったものです。従来の損保では、火災保険は「家の外壁や屋根」「家の内部」「家財道具」などを補償していました。ですが、少額短期の場合は「部屋の中、家財一式」といった限定補償という合理的なものです。加入に関しては、インターネット契約が前提であり、現在順調に契約者を増やしている会社はごくわずかです。これは契約形態が「1年更新」か「2年更新」という短期契約を繰り返していくものが多いことに依ります。

つまり、商品によっては毎年値上がりをするものもあるため、お得感が薄れると感じる契約者も存在します。また、保険会社のイメージとして「宣伝費を掛けている」「社員数が数万人」というような「巨大資本こそ安心」という固定観念がある消費者が多いこともあります。また、商品が掛け捨てであること、リスクの小さな少額保険であっても「会社の知名度が低い」ことから、加入者が伸び悩んでいる、と考えられます。

契約者の動向に注意

長期デフレ傾向が脱却しつつある中、保険会社の体力も徐々に回復しています。その中、少額短期保険業はなかなか「正当な評価」を受けているとはいえません。まず、保険業そのものが「黒字」になるには、最低でも20年はかかることが常識、ということを考え、資本増強を目指すことが必須でしょう。

そして、契約者の動向が非常に大事、といえます。少額短期保険を巡る相談には「担当者がいない」「保険金が少ない」「保険金が支払われない」などという、従来の保険会社でのトラブルと同様です。ネット生保や損保が「的を絞って」保障内容を設定しているように、簡素化した商品で勝負しなければ、契約者は「安かろう...」と感じてしまうでしょう。少額短期保険市場はまだまだ始まったばかり、なのです。