東京ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオジャパンなど様々なテーマパークで人気を集めているのがVR(バーチャルリアリティ/仮想現実)技術を活用したアトラクションだ。一方、VRに似た言葉として「AR」や「MR」というものも注目されている。果たしてどう違うのだろうか?
人気を博すVR体験施設
アミューズメント機器の製造・開発・販売を手掛けるバンダイナムコアミューズメントでは東京都新宿区でVR体験を楽しめる施設「VR ZONE SHINJUKU」を営業中だ。
入場料800円の他に1アクティビティにつき1,200円と通常のゲームセンターに比べて高価格設定だが、様々なVRゲームやマリオカート、ドラゴンボール、ガンダム、エヴァンゲリオンといったマンガやアニメ、ゲームで人気のコンテンツなどもVRゲームとして体験できるとあって人気を集めている。新宿以外にも全国各地にVR体験のできる施設を次々に出店している。2018年9月13日には大阪にもVR体験施設「VR ZONE OSAKA」をオープンしている。
自宅でのVR体験も人気だ。スマホをもっている人ならばスマホ対応のVRゴーグルを購入するだけで手軽にVRを体験できる。 IT専門の調査会社であるIDC Japanの調査によると、世界のAR・VRのハードウェア、ソフトウェアおよび関連サービスを合計した支出額は2017年が140億ドル、2018年には270億ドルに達する見込みであると予測されており、市場も急成長を遂げている。
VR技術を活用した家庭用ゲーム機も人気だ。ソニー・インタラクティブエンタテインメントが2016年に発売したPlayStation VRでは本格的なVRゲームが家庭でできるとあって好評を博した。価格も2018年3月29日より34,980円(税抜)へと値下げが実施され、2018年7月には世界販売台数が300万台を突破した。
様々な分野でも活用
エンターテイメント分野以外でもVRの活用は進んでいる。例えば医療分野だ。医師の手術スキル向上のためには、実際の手術を数多くこなしていくしかなかったが、VR技術の進歩により実際の手術を行なわなくともVRを活用し手術のトレーニングができるようになった。パイロットの運転訓練などにもVRが活用され、安全かつ高度な訓練が可能となった。
不動産業界でもVR技術の活用が進んでいる。一部の住宅展示場では顧客にVRゴーグルを使ってもらい、顧客に住宅の間取りや、実際の分譲予定地で家の外観や庭の様子などを擬似的に体験できるサービスを提供している。
災害体験でもVRが活用されている。東京消防庁が開発した災害体験車「VR防災体験車」では、ゴーグルで見る映像を通して地震・火災・風水害の災害を疑似体験できる。座席が動き、水しぶき、熱、においなどの効果も加わるという。
ARとMRはどんなもの? それぞれの代表格はポケモンGOとホロレンズ
近年ではVR以外にもARやMRといった技術にも注目が集まっている。ARはAugmented Realityの略で日本語では拡張現実とも言われている。現実の風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することにより、目の前の世界を拡張するというものだ。VRでは仮想の世界のみであったのが、ARでは現実の中にデジタルの情報が表示される。
ARを利用した有名なスマホ用アプリに「ポケモンGO」がある。同アプリではAR技術によってスマホに映る現実の風景にポケモンが表示され、あたかも現実に存在するかのような感覚が味わえると世界的なブームとなった。
MRはMixed Realityの略で「複合現実」と日本語で訳される。VRと現実を融合する概念のことだ。ARと似ているがARは現実世界を主体に、そこに仮想のデータを表示する。一方MRは仮想の世界に現実のデータを反映する。
AR技術で映し出されたオブジェクトには近づいたり回り込んだりできなかったが、MR技術ではオブジェクトには近づいたり回り込んだりできるようになった。
マイクロソフト社からは「HoloLens」という商品が発売されている。同商品はMRが自宅で簡単に体験できるデバイスだ。MR技術によってデジタルコンテンツが現実のように視覚化されて操作できるのが特徴だ。
活用事例としては主に工事現場・工場のラインなどのファーストラインワーカー(現場の第一線)向けに活躍が期待されている。建設現場などでは図面・3Dモデルなどの現場で必要となる情報を同商品に投影しながら実際の現場を見るといった利用の仕方が可能となる。
一般向けにも同商品を活用したイベントとして、2018年5月に東京都日比谷でゴジラナイトという、まるで目の前にゴジラがいるかのような体験イベントも開催された。
今後さまざまな面で活躍が期待できる「HoloLens」だが価格が最低333,800円からと高価なのが今後の課題だ。
年々技術進歩が続いているVRやARそしてMR。今後私たちにどのような驚きをもたらしてくれるか楽しみだ。
文・右田創一朗(元証券マンのフリーライター)/MONEY TIMES
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