8月27日~9月8日、東京・大手町―六本木間で

自動運転タクシー,公道営業実証実験
ZMP社長・谷口恒氏(左)と日の丸交通社長・富田和孝氏(画像=THE21オンライン)

7月18日(水)、自動運転技術の開発を行なう〔株〕ZMPの社長・谷口恒氏と日の丸交通〔株〕社長・富田和孝氏らが登壇して、自動運転タクシーが公道で営業運転をする世界で初めての実証実験について、記者発表会が行なわれた。

実験は、8月27日(月)~9月8日(土)に、東京の大手町フィナンシャルシティグランキューブと六本木ヒルズの間の約5.3kmを、1日4往復(予定)する形で行なわれる。使用する車体は、ZMPがトヨタ・エスティマを改造した『RoboCar(R) MiniVan』。自動運転だが、日の丸交通のドライバーが運転席に、ZMPの技術担当オペレータが助手席に乗車する。乗客(申込者から抽選)は、予約から支払いまでをスマートフォンで行なう。

自動運転タクシーは、しばしばタクシードライバーの職を奪うと言われ、タクシー事業者の敵にように考えられているが、富田氏の認識は違う。

富田氏が強い危機感を持っているのは、ライドシェア解禁の動きだ。タクシードライバーの人手不足のため、利用者の需要に応え切れていない現状から、そうした声が上がっているが、タクシー事業者として「これは絶対に防がなければならない」と言う。

そして、タクシードライバーの人手不足を解消する方法として、富田氏は自動運転タクシーに期待を寄せる。単純な移動の需要には自動運転タクシーで応え、タクシードライバーは、高齢者や観光客への対応など、質の高いサービスを提供する、という住み分けを考えているのだ。

谷口氏も、ドライバー不足を補うためや、採算性の低い地域での営業や深夜・早朝などドライバーが体力的につらい時間帯での営業のために、自動運転タクシーを活用することを想定している。

日本も含めて、世界中で自動運転タクシーの開発が進んでいるが、タクシー事業者が関わっているプロジェクトは他にない。「タクシー事業者が自動運転タクシーを取り込むことが重要」と富田氏は話す。

ZMPが日の丸交通と手を結んだのは昨年6月。それから1年間、日の丸交通のベテランドライバーの運転技術やノウハウをZMPの自動運転のアルゴリズムに反映させたり、日の丸交通のベテランドライバーがZMPの車両の安全性や快適性を確認したりしてきた結果、今回の実証実験に至った。

THE21編集部。(『THE21オンライン』2018年07月18日 公開)

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