日商簿記2級以上は覚悟を決めて挑戦を
3級を取得したあとは、その先に挑戦したくなりますが、2級からはかなり難しくなるので、本腰を入れて勉強する必要があります。合格できなければ、時間をムダにすることになりかねません。
1級ともなると、2級までトントンと合格した人にも、軽々しくはお勧めできません。独学というわけにはいかず、通信や通学の学校の授業を受けることも必須になります。
とはいえ、日商簿記1級、あるいは税理士、公認会計士といった難関資格も、以前に比べれば、働きながら合格しやすくなったといわれています。本気で独立開業を目指す志があるなら、挑戦してみる価値はあるでしょう。
年金、税金、資産運用……。身近で役立つFPの資格
簿記とは別ジャンルでお勧めなのが、FP(ファイナンシャル・プランナー)の資格です。
こちらは「3級FP技能検定」を受験するか、「AFP認定研修(基本課程)」を受けるのが入り口です。
簿記の勉強が「複式簿記」という考え方を一から新たに学ぶものなのに対して、FPの勉強ではもっと身近な知識――年金、税金、不動産、相続、資産運用、保険といった、仕事や生活に密着したことを学んでいきます。
当然、「勉強したことが実際に役に立つ」という楽しさがありますし、出題の傾向も、「1ページ勉強したら、1問問題が解けるようになる」という感じなので、手応えを得やすい。この辺りも、基本的な考え方を身につけるまでに少し時間がかかる簿記とは対象的です。
こうした意味で、FPはとっつきやすい資格だといえるでしょう。「ちょっと時間があるので、何か勉強してみたい」「学生時代以来の試験勉強だから、カンを取り戻したい」という人の第一歩に最適です。簿記の勉強を始めたものの、向いていないと感じた人にもお勧めできます。
記述式試験対策は「自分の手で書く」こと
どの資格に挑戦するにしても、勉強法に関して忘れてはいけないのは、きちんと問題を解く練習をすること。
テキストを読んでなんとなくわかった気になったけれど、実際の試験では通用しなかった、ということはよくあります。とくに、簿記の試験はマークシートではなく記述式ですから、自分の手で書く勉強が重要です。
テキストは、書店で何種類かを手に取ってみて、自分に合ったものを選びましょう。イラストを多用した説明がわかりやすい人もいれば、言葉で論理的に説明されるほうがわかりやすい人もいます。
また、日商簿記3級のように独学で合格する人が多い試験でも、独学に向いていない人は学校を利用するべきです。行き詰まったときには無理をせず、「わからないことを質問できる環境」に移ることを検討してください。
よせだあつこ(よせだ・あつこ)公認会計士
監査法人トーマツを経て、willsi〔株〕を設立。同社取締役。著書に『簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 第3版』(翔泳社)、『会計資格 最短・最速 攻略法』(中央経済社)などがある。簿記ブログ「パブロフくんが日商簿記2級、3級を目指すブログ」が月間80万プレビュー超、簿記学習アプリ「パブロフ簿記」がシリーズ累計30万ダウンロードの大ヒットとなるなど、簿記受験生から絶大な支持を得ている。《取材・構成:川端隆人》(『THE21オンライン』2018年7月号より)
【関連記事 THE21オンラインより】
・つみたてNISAが日本人の「お金の常識」を変える!
・「数字」に落とし込めば、判断も指示も速くなる!
・現役大学教授が教える「お金持ちになれる投資戦略」とは?
・今からでも遅くない! 40代からみるみる結果が出る「勉強のコツ」
・40代からでも取っておきたい「資格」