フックとなるキーワードと連想を活用しよう
具体的な記憶術としては、「フック」を作ることが効果的です。
押さえておくべきキーワードさえしっかり覚えておけば、すべてを丸暗記しなくても、キーワードがフックとなって、関連する内容を思い出すことができます。
人には、視覚で覚えるのが得意か、聴覚で覚えるのが得意か、身体を動かして(身体感覚で)覚えるのが得意かの、三つのタイプがあります。ですから、キーワードを覚えるときは、自分がどのタイプなのかを意識して、自分に合った方法を選びましょう。
視覚派の人なら、漢字をビジュアル的なデザインとして捉える。聴覚派の人なら、声に出して読み、自分の声を耳で聴く。身体感覚派の人なら、自分の手で何度も書く、といった方法で覚えるわけです。
また、連想ゲームで記憶することも有効です。
たとえば、視覚派の人が「エビングハウスの忘却曲線」という言葉を覚えるなら、その言葉が載っているテキストのページに、大きなエビフライが家(ハウス)の上に乗っているイラストを描く。
聴覚派の人が日本の国土面積「377972.28平方キロ」という数字を覚えるなら、「みんな泣くなニン。ニヤ」と語呂合わせをして、口に出す。意味が通らなくても、自分がわかればいいのです。
身体感覚派の人なら、イラストを描く手の動きを空中で繰り返したり、語呂合わせを繰り返し口に出して、そのときの口の筋肉の動きを覚える――。
このように、感覚と結びついた連想を使って覚えると、テキストの文字を見ているだけよりも記憶しやすくなります。
完璧に覚えたいときは「白紙復元」が効果的
難易度の高い記述式の資格試験に挑戦する場合など、テキストの内容を完璧に記憶したい場合は、「白紙復元」という方法がお勧めです。
白紙復元とは、あることを覚えたら、記憶だけを頼りに、それを白紙の上に復元すること。これができれば、完璧に記憶していることになります。
テキストのあるページを覚えたと思ったら、そのページを隠して、そこに書かれているキーワードを思い出しながら紙に書き出してみましょう。
書けない箇所があれば、そこがまだ覚えられていないところです。
復元できない箇所がなくなるまで、何度でも繰り返すことで記憶が定着していきます。
聴覚派の人は、音声テキストを聴いている途中で止めて、その先を自分で話してみるのもいいでしょう。
最後に、もう一つ、重要なことをお伝えしたいと思います。
それは、記憶はすんなりとはできないものだということです。2回も3回も覚えても、すぐに忘れてしまうからといって、諦めないでください。
記憶が定着するには、最低でも6回、繰り返し覚えることが必要なのです。
山口佐貴子(やまぐち・さきこ)〔株〕尽力舎代表取締役
大手企業勤務後、パートナーと2つの会社を立ち上げる。2002年、ラーニング・ストラテジーズ社公認フォトリーディングインストラクター。17年、同シニアインストラクターに世界で初めて認定された。フォトリーディング講座を主催する他、「ライフリモデル理論」を提唱し、それを学ぶ塾も開催。2009年より、ラジオ番組『ベストセラーズチャンネル』のパーソナリティーも務める。著書に『勉強も仕事も時間をムダにしない記憶術』(大和書房)など。《取材・構成:前田はるみ》(『THE21オンライン』2018年7月号より)
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