資産の積み増しを図るべく資産運用を考え始める40代のビジネスパーソンは多い。しかし、株式投資、国債、投資信託に不動産と、投資対象の選択肢が多すぎて先に進めない人もまた多いはず。各金融商品の特徴を整理し、40代に合った投資対象を探っていく。
株式投資
投資で真っ先に思い浮かぶのが株式投資だ。上場している会社の株式を保有・売買することで、配当金や売却益を得ることができる。
株式投資の特徴
株式投資は、投資したい企業を個別に選ぶことが可能だ。今後、成長が期待できる企業や自分が気に入っている商品・サービスを提供している企業を選び投資する。企業の業績や成長期待から株価が上がれば売却益を狙うことができるし、株主優待制度を実施している企業であれば、その企業の商品や優待券、金券などが貰える場合もある。
デメリットは価格変動がやや大きい点だ。企業単体の業績、業界動向や経済動向によっては価格が大きく変動し、含み損や売却損が出る恐れもある。また、配当金が減ってしまう(減配)のリスクや、企業の倒産により最悪の場合、株価がゼロになってしまうリスクもある。
国債
国債は、国が借り入れを行うために市場で投資家に発行するもので、発行時において満期日や利息があらかじめ決められている。保有することで利子を受け取ることができ、換金したい場合は売却することも可能だ。
国債の特徴
国債は文字通り国(政府)が発行しているのでほかの投資対象と比較して安全性が高いといえる。ただし、現在、日本は低金利下にあるため収益性は低くなっている(平成30年11月発行の個人向け国債・変動10年の適用利率は0.09%となっている)。また、満期日まで保有する場合、期間が長いと流動性も低くなってしまう。途中で売却する場合、金利動向(購入時より売却時の金利の方が上昇している場合)によっては売却損が出る可能性がある点にも注意が必要だ。
投資信託
投資信託とは、投資の専門家が、複数の投資家から集めた資金を管理・運用し、そこからの利益を投資家に分配・還元する金融商品だ。
投資信託の特徴
投資信託は専門家が運用してくれるため、自分で情報収集・運用を行う手間が省けるといったメリットがある。一方で、購入の際にかかる購入時手数料、保有時にかかる運用管理費用(信託報酬)、解約時にかかる信託財産留保額などといった各種手数料がかかるファンドが多い。そのため、せっかく収益が出ても手元に残るお金が少なくなってしまうデメリットもある。また、専門家が運用するといっても損失が出る可能性はあるので留意しておく必要がある。
不動産投資
マンションやアパートなどの不動産を購入し、家賃収入を得る投資だ。家賃収入のほかに、取得価格より高い値段で売却することで売却益を得られる可能性もある。最近ではシェアハウスの不正融資問題で話題にもなったが、昔から現在まで人気の高い投資先である。
不動産投資の特徴
不動産投資は家賃収入という形で継続的な収入が入ってくるのが特徴だ。ローンの支払いが終われば自身の資産にもなる。また、不動産価格が上昇していれば売却して利益が出る可能性もある。
デメリットは、頭金や諸費用といった資金が必要になることや、ローンを組む必要があるためハードルが高い点だ。さらに、最も怖いのが空室リスクだ。購入したマンションやアパートに借り手が付かなければ、家賃収入が入らず銀行へのローン返済すら困難となってしまう。
REIT
REIT(不動産投資信託)は投資信託の一種で、投資家から集めた資金でマンションや商業ビルなどを購入し、管理・運用する仕組みだ。投資家は家賃収入や売却益を分配金という形で受け取ることができる。
REITの特徴
REITは、投資信託の少額からでも購入できる利点と、不動産投資のような高い利回りが期待できる利点を併せ持っている。一方で、値動きが大きい点に注意が必要だ。不動産賃貸市場の影響などにより空室が増加すると、分配金やREIT自体の価格が下落する。また、REITは投資家以外に金融機関からも資金調達を行っているため、金利が上昇すると収益を圧迫してしまうので金利動向にも注意を要する。
40代のビジネスパーソンに向いている投資は?
40代のビジネスパーソンは仕事も家庭も忙しく、相場を逐一確認したり、頻繁に売買取引したりするのは難しい。そこで検討したいのが、配当金収入や株主優待などを狙った投資だ。売却益を狙った取引はタイミングが非常に難しく、普段多忙なビジネスパーソンにとっては至難の業だ。その点、配当金や株主優待狙いの投資は、減配や株主優待廃止のリスクはあるものの、1度購入してしまえば基本的にはほったらかしにしておくことができる。また、初心者は運用をプロに任せられる投資信託やREITなどを検討するのも手だ。投資信託でどうしても手数料が気になる場合は、購入時手数料がかからないノーロード投信や、比較的手数料の安い「つみたてNISA」の対象となっている投資信託の中から選ぶといった方法も考えられるだろう。
文・春美 悠(ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES
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