会食を制する者はビジネスを制す!

接待のマナー
(画像=THE21オンライン)

ビジネスパーソンにとって重要な「食のシーン」といえば、接待(会食)を思い浮かべる人も多いだろう。取引先との関係を緊密にする絶好の機会である半面、接待で相手を不快にしてしまったら、そのダメージは計り知れない。そうならないために、押さえておくべき接待のマナーの基本を、マナーコンサルタントの西出氏に教えていただいた。

今の40代は接待に慣れていない!?

40代のビジネスパーソンには、部下がいて、接待の仕方も教えなければならない立場の方が多いでしょう。

しかし、教えようにも、正しいマナーを知らない。そもそも、自分が入社したのはバブル崩壊後の不景気な時期で、接待をした経験自体があまりない、という方が少なくありません。

マナーというものは、相手との関係性によって変わってきますから、何が絶対的に正しいというものではありません。とはいえ、最低限、押さえておかなければならないことはあります。

まず、大前提として、五つの基本原則があります。

(1)表情
(2)態度・姿勢
(3)挨拶
(4)身だしなみ
(5)言葉遣い・言い回し・話し方

例えば、お酌をするときに、表情が無愛想だったり、無言だったりすると、いくら注ぎ方が正しくても、マナーとして正しいとは言えません。

笑顔で、相手が目上の方なら「恐れ多いですが」「注がせていただいて光栄です」などのひと言を添えて、お酌をしましょう。

姿勢については、口を皿に近づけて前かがみになったり、酔って背もたれに寄りかかったりする方をよく見かけます。これも、相手にとって快いものではありません。

マナーとは、相手に良い気持ちになってもらうためのコミュニケーション。そのことを常に意識してください。

接待は相手に見られる場でもある

接待は、相手にこちらを見られる場でもあります。

例えば、若手が何か失礼なことをしてしまったとき、上司が怒鳴りつけるのか、「私の指導不足で申し訳ありません」と謝るのかでは、相手が持つ印象がずいぶん違うでしょう。

上司のリカバーの仕方によっては、若手が失敗をしたおかげで、かえって好感を持ってもらえることもあります。

お酌を女性がする会社は、実際のところ、まだ多くありますが、それが当然だという態度を取っていると、「古い体質の会社なのかな」と相手に思われる可能性もあります。

かといって、「女性だからといって、注ぎませんよ」という態度を取るのもよくありません。

上司は相手との話に気を使いますから、お酒については、男女の別なく、若手が気を配る。お酌をする若手に、上司は「ありがとう」などとひと言かける、というのがスマートではないでしょうか。

同席した相手側の若手に、「あの会社の○○さんは素敵な方ですね」と憧れられる存在にまでなれれば理想的ですね。

社内の飲み会は接待の練習になる

社内の飲み会は、接待よりも、ずっと気楽なものでしょう。

ただし、気楽だからといって、部下に対して、ついパワハラめいたことを口にしないように注意すること。部下の側も、上司への気遣いは忘れないようにしましょう。

社内の飲み会で、目上にも目下にも喜んでもらえるように意識することは、接待の練習にもなります。

また、部下に接待のマナーを教える良い機会としても使えます。教えるときには、決して高圧的にならず、「俺にはいいけど」などのひと言とともに、あくまで楽しい雰囲気の中で教えてあげましょう。

西出ひろ子(にしで・ひろこ)マナーコンサルタント
美道家。ヒロコマナーグループ代表。ウイズ〔株〕代表取締役会長。HIROKO ROSE〔株〕代表取締役社長。(一社)マナー教育推進協会代表理事。大妻女子大学卒業。国会議員などの秘書職を経て、マナー講師として独立し、31歳で単身渡英。マナーの本場での経験を活かし、帰国後、企業のマナーコンサルティングやマナー研修を行なう。『かつてない結果を導く 超「接待」術』(青春出版社)など著書多数。(『THE21オンライン』2018年8月号より)

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