(本記事は、オラヴ・シーヴェ氏の著書『ノルウェー出身のスーパーエリートが世界で学んで選び抜いた王道の勉強法』=TAC出版、2018年5月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
読むテクニック
・本を読む
効果的な読み方、つまり読むテクニックを学んでも、本が速く読めるようになるわけではないということです。
読むテクニックとは、読んだ内容を理解し、大事なポイントをとり出して覚えられるようにすることです。それらは、本を読むスピードや読んだ回数ではありません。
もちろん速く読めるほうがよいのですが、理解することや記憶することがおろそかになってはいけないのです。
・効果的に読む
読むときは、次にあげる学習の法則が大切です。
・全体像を把握する
新しい教科書やテキストを読むときは、目次から読み始めましょう。全体の大まかな流れをつかむためです。また、目次を見るとそれぞれの内容がどう関係しているかがわかります。
本にどんな資料(用語集、付録資料など)が収録されているのかも確かめておくとよいでしょう。
・集中する
目や耳に入るものを遮断して、読み進むことだけに集中しましょう。何が大切なのか自分に問いかけ、答えを探しながら読みましょう。
・関連づける
全部を読み終えた後、すでに得ていた知識と関係するところがあったか考えてみましょう。
・関心を持つ
読んだ内容がよい成績をとるためだけに役立つとは限りません。自分自身の見識や能力を磨くために使えないか、考えてみましょう。
読んだ内容をより定着させるために、視覚化したり、暗唱したり、反復したりしましょう。また、直接本に蛍光ペンで線を引いたり、余白にメモを書いたりしましょう。
・SQ3Rストラテジーを使う
何かを読むときは読解ストラテジー(読解法)を使うと効果的です。
読解ストラテジーのなかでもいちばん古いのは、1964年に心理学者のフランシス・ロビンソンが著書で紹介したSQ3Rストラテジー(Survey, Question, Read, Recite and Review/概要をつかむ、自問する、読む、暗唱する、まとめる)と呼ばれるもので、これ以後に作られたものは、ほとんどがSQ3Rに基づいています。
・概要をつかむ
章ごとに全体をさっと読み通しましょう。導入部分、見出し、小見出し、太字の部分、まとめの部分で、作業にかける時間は5分までにします。
・自問する
この章を読む目的は何だろう?読んだ後、次にどんな知識を得るべきだろう?と自問しながら読んでください。
そうすることで、本を読む目的ができます。その章に課題がついているなら、問題を解いてみましょう。自分がすでに知っているところは?どんな関連づけができるのか?など、いつも考えるようにしましょう。
・読む
心地よいと感じるペースで読みましょう。理解することに重点をおいてください。
・暗唱する、まとめる
内容を自分の言葉で暗唱してみましょう。また、どんな内容が書かれていたか、まとめてみましょう。内容を記憶するために読むときは、時間の半分は内容をまとめることに使いましょう。
すべてを読む必要はない
本を最後まで読まなかったり、途中を飛ばして読んだりすることに罪悪感を感じる必要はありません。
自分で評価し、判断しましょう。他によい本やよい方法があるとわかったら、いま読んでいる本を中止して他に移ってもかまわないのです。
学習の成果とどれだけの量を読んだかは、ほとんど関係がありません。私はオックスフォード大学で、以前履修したのと同じ科目を2つとることになったのですが、それらには科目ごとのテキストがなく、全部で50ページにも満たない資料があるだけでした。
他大学の学士課程で800ページを超える分厚い本を何冊も読んだのとは正反対です。このことを教授に尋ねると、次のような答えが返ってきました。
「基本的な概念を勉強するのに800ページも読むなんて、時間の無駄でしかない。そんなことをしている時間はないんだよ」
・読む速度
本が速く読めることが勉強にも有効であるのは説明するまでもないでしょう。しかし、読む速度を上げると集中力も上がるというのは知ってましたか?
車で時速80キロで走るときは、時速40キロで走るときよりも集中しなければならないように、速く読むには集中が必要です。かなり集中していなければ、速読のレベルに達することはできません。
英語の場合、人が読む速度は1分間に平均250語といわれています。1分間に400語以上の速さで読める人は全体の1パーセント未満とされていますが、なかには超人的な速さで読む人もいます。
たとえば、イギリスのアン・ジョーンズは、『ハリー・ポッターと死の秘宝』を約47分で読んだそうですが、これは1分間に約4200語という驚異的な数字になります。
勉強するときは、目的に合わせて読む速度を調整することが重要です。
目標は必ずしも速く読むことではなく、あくまで適切なペースで読むことなのです。