(本記事は、オラヴ・シーヴェ氏の著書『ノルウェー出身のスーパーエリートが世界で学んで選び抜いた王道の勉強法』=TAC出版、2018年5月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

イメージ記憶法

ノルウェー出身のスーパーエリートが世界で学んで選び抜いた王道の勉強法
(画像=Roman Samborskyi/Shutterstock.com)

スペイン語を勉強していたとき、同級生が〝西〟 と〝東〟を表す〝oeste〟 と〝este〟という非常に似ている言葉の区別を先生に質問したことがありました。

すると先生は、次のように答えました。

「西部劇で銃を構えたカウボーイを想像してごらんなさい。銃の先を正面から見ると〝O〟のように見えるでしょう。

だから〝O〟がつくのは西部劇、つまり西と覚えられます」。先生の話を聞いてクラス全員が大笑いしましたが、おかげでこの区別の仕方はずっと記憶に残っています。

イメージ記憶法を使うと記憶に長く定着します。脳は文字よりも絵などのイメージをよく覚えるからです。

イメージ記憶法とは

イメージ記憶法とは、覚えたいことがらのイメージを頭の中で描く方法です。

・イメージ記憶法のやり方

まず記憶する対象を決めます。必要なら、キーワードや短い文章を作りましょう。次にこれらと似ている言葉や記号を考えましょう。最後に頭の中でイメージしてみましょう。

たとえば、1911年にアムンゼンがスキーで南極に到達したことを覚えるとします。この年号をきちんと覚えるにはどうすればよいでしょうか。

こういう場合、アムンゼンのイメージとしてスキーヤーを思い浮かべ、数字の11を表すものとしてスキーのストックを使うとよいと思います。つまりあなたが描くイメージは、南極でストックを持つスキーヤーということになります。

・効果的なイメージとは

効果的なイメージを思い浮かべるには、自分自身がイメージに入り込むことが大切です。必ず実際に想像しましょう。必要ならば目を閉じて集中するとよいでしょう。

一般に、相互作用するもの、動きがあるもの、ばかばかしいものがより記憶に残りやすいと思います。

・相互作用するもの

登場するものを相互に作用させましょう。ただ並んで静止しているだけではイメージの効果が薄くなってしまいます。

・動きがあるもの

生き生きした動きをつけ、短い動画にして記憶しましょう。

・ばかばかしいもの

ばかばかしい要素が強いほど特徴が出て覚えやすくなります。

たとえば、スペイン語でベッドという意味の〝cama〟という単語を覚えるとします。

イメージとしてベッドと、cama とつづりが似たラクダ(camel)を思い浮かべます。ただベッドのそばにラクダが立っているところを考えただけでは、効果的ではありません。

たとえば、ラクダが小さな子のようにベッドの上でぴょんぴょん飛びはねているところを想像してみたらどうでしょう。

イメージが結びつけられて動きも出たうえ、ばかばかしさも加わって、3つの要素がしっかりと活かされたと思いませんか。

・他の選択肢があったら?

覚えたいキーワードのイメージがいくつも浮かんだときはどうすればよいでしょうか?

原則として、他の人に教えてもらったものよりも、自分で思いついたもののほうが効果が高くなります。さらに、最初に思いついたイメージを使うほうがよいと思います。

後で記憶の中からとり出すとき、自分が初めに描いたイメージを思い出すことが多いからです。

・伝統的な記憶術との組み合わせ

イメージ記憶法は、伝統的な記憶術と組み合わせて使うこともできます。たとえばアメリカの五大湖の名前を覚えるのに、ヒューロン(Huron)、オンタリオ(Ontario)、ミシガン(Michigan)、エリー(Erie)、スペリオル(Superior)の頭文字をとったHOMES という頭字語がよく使われます。

この言葉を覚えるためには、たとえば水の上に浮かぶ家をイメージするといいのではないでしょうか。

イメージ記憶法の限界

・一語一語の暗記には向かない

イメージ記憶法は、キーワードや概念を学ぶときは効果的ですが、文章や単語をひとつひとつ暗記することには向いていません。

・時間がかかる

覚えやすいイメージを思い浮かべるには少なくとも4秒から8秒かかります。したがって授業中のように覚える内容が次々と出てくる場面には、あまり向かないでしょう。

・抽象的な言葉には使いにくい

〝共感する〟〝分析する〟などの抽象的な言葉は、覚えやすいイメージが描きにくくなります。思いつくのに時間がかかるうえ、後でうまく思い出せないというリスクもあります。

こういうときは、関連づける、パターンを探すなど、伝統的な記憶術を使うほうがよいでしょう。

・想像力がないと難しい

人によっては、うまくイメージを思い浮かべられないかもしれません。もちろん練習すればだれでもできるようになりますが、頭の中で想像することが苦手な人はイメージ記憶法は活用しにくいでしょう。

目の前に絵を思い浮かべるイメージ記憶法は、非常に効果的な記憶術です。

上手に利用するには、思い描くイメージに相互作用、動き、ばかばかしさの要素を取り入れましょう。

ノルウェー出身のスーパーエリートが世界で学んで選び抜いた王道の勉強法
オラヴ・シーヴェ
もともとは平均的な学生であったが、効果的な勉強法に興味を持ち、実践したおかげで高校では好成績を収める。その後、ノルウェー経済大学、カリフォルニア大学バークレー校に進み、オックスフォード大学で経営学修士号を取得。ノルウェーでは多くの大学や高校で勉強法について講演し、テレビやラジオにも出演している。

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