(本記事は、オラヴ・シーヴェ氏の著書『ノルウェー出身のスーパーエリートが世界で学んで選び抜いた王道の勉強法』=TAC出版、2018年5月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
ストレスや緊張に打ち勝つ
ストレスや緊張があると勉強が必要以上に難しくなり、成果も出にくくなります。
これらを最小限に抑える方法、あるいは打ち勝つ方法を知っておくとよいでしょう。
・ストレスとは
たとえば、やることが多いのに時間が足りないとき、ストレスを感じます。しかし、ほどよいストレスは心臓の鼓動を速めて、脳に送る血液の量を増やします。
また呼吸も速くなるので、脳に送られる酸素の量も増えます。ストレスによって人は用心深くなり、集中力が高まり、頭がフル回転するという長所もあるのです。
たとえば、バスに乗り遅れそうになって走る場面を考えてみてください。筋肉内にアドレナリンが分泌されるので、いつもより速く走れます。
テストの前あるいはテスト中も、少しストレスを感じているくらいのほうが、成果が上がりやすいのです。
ただ、いつもストレスを感じていたり、強すぎたりすると逆効果です。筋肉を休みなく酷使すると過労になるのと同じで、ストレスも体を過労状態にしてしまいます。
ストレスに打ち勝つ方法
・問題を根本から解決する
工夫してもっと時間が作れないか、やるべきことの量を減らせないかを考えてみましょう。
・締め切りをのばしてもらう、効率のよいやり方に変える
だれかに手伝ってもらったり、お互いに協力したりするのもよいでしょう。
・落ち着く
ストレスに影響されないように努力しましょう。他のことを考えてみるのもよいでしょう。瞑想、おなかから深呼吸する、短い昼寝などでリラックスしましょう。
前向きな姿勢でストレスに向き合いましょう。ストレスをポジティブにとらえると、自信のある状態を保つことができ、ストレスが体に与える悪影響がやわらぐという研究が発表されています。
アメリカ人3万人を対象とした8年間にわたる研究によると、ストレスを前向きにとらえた人は、否定的にとらえた人よりも健康で長生きしたそうです。
またハーバード大学で行われた興味深い実験があります。
学生にストレスがかかるような課題を与え、半分の学生にはストレスはよいものだと伝え、残り半分にはよくないと伝えたのです。
その結果、よいと聞かされた学生たちは自信に満ちて、複雑な課題から受ける影響も少なく、体には楽しい状態と同じ反応が現れ、逆によくないと聞かされた学生たちは体の血管が収縮し、心臓に危険がおよぶ状態になったのです。
緊張とは
緊張とは、成果が上がらないのではないかと心配するような気持ちです。簡単にいうと、先回りして悲しみを感じることです。
人はうまくいかない可能性があると思うとやる気をなくし、悲しくなります。しかしストレスと同じで、適度の緊張には利点もあるのです。
注意深くなり、うまくいくことに集中するようになるからです。
しかし、よい結果を得るには全力をつくさなければならず、緊張のしすぎは成果のじゃまになります。エネルギーが消耗され、集中の仕方を間違えてしまうのです。
緊張に打ち勝つ方法
・自分の考えをコントロールする
自分の考えをきちんとコントロールすれば、緊張をやわらげることができます。否定的な考えが頭に浮かんだら、ポジティブに考えると決めるのです。「私にはできる、私は全力をつくす」と自分にいい聞かせましょう。
・しっかり準備する
試験の内容を調べるなどの準備をしておくと失敗の確率が低くなります。
・わからないことを減らす
テスト形式、規則、評価の方法などを知っていると安心できるので、緊張も緩和されます。
・視覚化する
視覚化は、1960年代からアメリカのスポーツ心理学者がよく使っているテクニックです。この方法ではテストなど本番の様子をイメージします。じゃまの入らない場所に座って、目を閉じます。部屋に入って席につくところを想像しましょう。
他の人や試験官など、自分の周囲の人やものを頭に描きます。
最初から最後まで、すべて想像します。最高の成果が出せているところを思い浮かべましょう。これを1回10分ほどで行い、その後10回から15回繰り返しましょう。
また、あまりよく知らないことがテストに出た、持ち込んだ電卓が急に壊れたなど、トラブルがあったときに自分がどう行動するかも想像してみましょう。
こうしておくと、もし本当に困ったことが起きても、すでに経験したことがあるかのように行動できます。
・呼吸のテクニック
おなかから長く深く呼吸しましょう。深呼吸には筋肉をゆるませ、人をリラックスさせる効果があります。
・運動する
運動や体を使う活動をすると、緊張を忘れてそちらに集中できます。また脳内にエンドルフィンが分泌され、気分がよくなります。