(本記事は、オラヴ・シーヴェ氏の著書『ノルウェー出身のスーパーエリートが世界で学んで選び抜いた王道の勉強法』=TAC出版、2018年5月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
プレゼンテーションとスピーチ
人前で話すのがうまい人が全員、生まれつきその能力を持っているとは限りません。
バラク・オバマ、ウィンストン・チャーチル、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアなどはみな、スピーチの名手になろうと練習に励んだのです。
彼らのように世界的に評価される話し手になるのはなかなか難しいかもしれません。でも少し練習すれば、だれでもトップの成績をとれるくらいには上手に話せるようになります。
・すぐれたプレゼンテーションやスピーチの法則
プレゼンテーションやスピーチを準備するとき、どんなふうに時間を使いますか。
話す内容のリサーチと原稿を書くことばかりに時間を使って、話し方そのものについてはほとんど、あるいはまったく練習しないのではありませんか。
それではたいてい一本調子で退屈なものとなってしまい、よい発表にはなりません。
どれだけ多くの情報を知っていたとしても、その情報をうまく伝えることができなければまったく意味がないのです。
私自身の経験をお話ししましょう。高校時代、ある著者についてスピーチをすることになりました。私は以前、同じ著者に関して話したことがあったので、きっとうまくいくだろうと考えていました。
そしてノートをしっかり読み直し、特に練習はせずに当日を迎えました。
しかし、いざクラス全員の前に立つと、どうやって話を始めていいか、頭が真っ白になってしまったのです。
なんとか気の利いたことを言い、ホワイトボードに書き始めましたが、要領をえない話にしかなりませんでした。私はますます焦り、手は汗をかき、胃がぎゅっと痛くなりました。結局、ほんの数分でギブアップすることになったのです。
プレゼンテーションやスピーチを確実に成功させるにはどうしたらいいか、そして私はどうすべきだったのか。
答えはやはり、練習です。
だれか知っている人の前で、あるいはひとりでも、声に出してみましょう。少なくとも5回は繰り返してください。声に出して練習してみると、改善点に気づいてもっと上手に話せるようになることがよくあります。
原稿を棒読みしないためにも練習は欠かせません。
しっかり声に出して練習してから本番に臨むと安心して話せますし、聞き手にとってもわかりやすくなります。練習するときは、次のような点をしっかり念頭に置いておきましょう。
・聞き手に向かって話す
初心者によくある失敗は、聞き手用のスクリーンを自分のノート代わりに使ってしまうことです。これでは話し手は聞き手に背を向けて話すことになります。
聞き手に見せるものと同内容の自分用ノートやタブレットなどがない場合は、スクリーンを見ざるをえませんが、話す際には聞き手のほうを向くように注意しましょう。
・原稿を見ない
すぐれた話し手は内容がしっかり頭に入っていますので、原稿を読む必要がありません。
何度も練習するうちに覚えてしまっているのです。原稿はポイントを思い出すメモとして持っているだけです。5~15分程度なら、それほど苦労することなく原稿を見ずに話せるようになります。
・聞き手の目を見る
人は、話し手から見られるとうれしく感じるものです。
人前で話をするときは、ひとりでも多くの人を見るようにしたり、聞き手とアイコンタクトをとるようにしましょう。
他の人と目を合わせるのは怖いですか?
では、大人数の前で話すときは、後列の聞き手の頭の少し上あたりを見るとよいでしょう。こうすると、聞き手は自分たちを見ているように感じます。
もしなかなか原稿から目を離せなかったとしても、ときどきは顔を上げて聞き手に向かって話をするようにしましょう。
・適切な声の大きさと速度で、間をおきながら話す
人前で話すときに声が小さいと、すべての人にはあなたの言葉が届かないかもしれません。部屋の後ろのほうに座っている人にも聞こえるように、思いきって大きな声で話しましょう。
重要なポイントの後や新しい話題に移るときは、少し間をおきましょう。そうすると聞き手は余裕をもって情報を消化することができます。
内容がとても複雑でくわしい情報が多いときは、ほどよい速度で話すことも大切です。
反対に、じっくり考える必要のない話をするときにゆっくり話すと、聞き手を飽きさせてしまうでしょう。
・熱意をもって
まったく関心がない話題のときは、熱意をもって話すのは難しいかもしれません。しかし聞き手にしてみれば、熱く語ってくれる人の話のほうが無関心な人の話よりも興味が持てるものです。
・ボディーランゲージを意識
話している間、手で何かをいじらないように注意しましょう。内容よりも手の動きのほうに注意が向いてしまうからです。意識的なボディーランゲージ以外は、手は動かさないでおきましょう。
・「えー、あー」と発しない
人前で話すとき話のあいだに「えー」「あー」と言ってしまう癖のある人は多いです。話題を変えるときや言葉を探しているときは、黙って少し間をおくほうがよいでしょう。
・裏技
質疑応答の時間に静まってしまうのを避けるため、知っている人にあらかじめ用意した質問をしてもらうように頼んでおくのもよいでしょう。