近年、手数料の安さから身近になりつつあるネット証券。どこに開設しようか迷っている人もいるのでは?今回はシェアトップのSBI証券を含め、ネット証券会社のシェア率についてランキング形式で紹介しよう。

証券会社の売上高 ネット証券の「営業収益」トップ5は?

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(画像=Phongphan/Shutterstock.com)

証券会社の売上高に相当する営業収益は、株式売買などの仲介などで得た「委託手数料」、証券会社自身が株式売買することで得られる「トレーディング損益」、信用取引などで顧客に資金を貸し付ける際の利息である「金融収益」、IPO引受業務による「引受・募集・売出手数料」などが挙げられる。つまり証券会社の本業で得られた利益から成るというわけだ。営業収益が大きいネット証券会社は、本業が順調に推移しており安心して取り引きできると判断できるだろう。

以下に、株式売買等を主力業務としている国内のインターネット専業証券会社のうち、開示情報をホームページ上で公開している7社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券・カブドットコム証券・GMOクリック証券・岡三オンライン証券)を対象に、各社の営業収益とシェアを調べ、上位5社を一覧表示する。

ネット証券「営業収益」トップ5(2017年4月1日~2018年3月31日)
  ネット証券会社名 営業収益 シェア
1 SBI証券(連結) 116,716百万円 38.50%
2 楽天証券(連結) 55,884百万円 18.43%
3 マネックス証券(IFRS/連結) 53,635百万円 17.69%
4 松井証券 32,210百万円 10.63%
5 カブドットコム証券 24,476百万円 8.07%
ネット証券7社 合計 309,693百万円 100.00%

※上記一覧表は、対象のネット証券7社の開示情報をもとに執筆者が作成したもの ※GMOクリック証券の営業収益は、決算期変更のため2017年4月1日~2017年12月31日の9カ月決算の数値。単純に12カ月換算すると、営業収益は23,511百万円、シェアは7.59%になる。

ネット証券の営業収益第1位はSBI証券である。第2位の楽天証券の約2倍もの営業収益を上げている。第1位と第2位以下の間にこれほど営業収益の開きがある理由の一端は、SBI証券ホームページのトップページを見るだけでも推測できる。各種手数料の安さはいうまでもなく、SBI証券が取り扱う金融商品の豊富さや、情報量の多さ、展開中のキャンペーンの多さ、各種セミナーの実施件数の多さなど、投資初心者からデイトレーダ―に至る幅広い顧客を惹きつける仕掛けが多く用意されている。

また、投資信託取扱本数がネット証券会社の中で一番多いことや、夜間取引やCFDも可能なことなど、さまざまな金融商品を取り扱っているSBI証券の裾野の広さも営業収益が堅調な一因だろう。

ネット証券の「売買代金」トップ5は?4位以下は流動的

証券会社の国内株式売買代金は、株式を顧客に売買した金額の総額であり、証券会社間で取り引きのボリュームを直感的に比較できる指標になる。上述の「営業収益」と同様に、対象となるネット証券7社のうち、国内株式等売買代金上位5社を以下に一覧表示する。

ネット証券「国内株式等売買代金」トップ5(2017年4月1日~2018年3月31日)
  ネット証券会社名 株式等売買代金 シェア
1 SBI証券 111,228十億円 41.39%
2 楽天証券  51,943十億円 19.33%
3 松井証券  35,423十億円 13.18%
4 カブドットコム証券 27,872十億円 10.37%
5 GMOクリック証券  22,091十億円 8.22%
ネット証券7社 合計 270,123十億円 100.00%

※上記一覧表は、対象のネット証券7社の開示情報をもとに執筆者が作成したもの

営業収益のランキングと比較すると第3位以下の順位が入れ替わっている。第5位には、主要ネット証券5社に数えられるマネックスに代わってGMOクリック証券が入っている。GMOクリック証券は、業界最安値水準の手数料や株式・先物両方に使用できる高機能トレーディングツール「スーパーはっちゅう君」など充実した金融商品のラインナップで、主要ネット証券5社を追随している。第4位以下は売買代金に大きな開きがなく、入れ替わる可能性があるので、今後も注目しておきたいところだ。

一方、第1位のSBI証券と第2位の楽天証券は営業収益の順位と変わりはない。こちらでもSBI証券と楽天証券の株式等売買代金には2倍以上の差があり、当面はSBI証券の売買代金圧倒的第1位という状況は変わることはないだろう。

株式等の売買代金におけるSBI証券の優位性は、SBI証券の「顧客中心主義」に基づいた恒常的な取り組みの効果だといえるだろう。株式等の売買代金が前年同期比20パーセント増であった大きな要因としては、国内の株価が好調に推移していることが挙げられる。それにも増して、幅広いレベルの投資家が株式に投資しやすくなるような環境整備と商品開発が活発に行われていることも、売買代金の大幅アップに大きく貢献していると考えられる。1日の約定代金合計額に対して段階的に手数料が設定されている「国内株式アクティブプラン」において、約定代金10万円以下の手数料を完全無料化。独自の少額テーマ投資サービス「S株Now!」の買付手数料全額キャッシュバックキャンペーンを開始するなどの取り組みはその一例だ。

ネット証券の人気度とも言える「新規口座開設数」トップ5

新規口座開設数は、文字通り証券会社の新規顧客数を表すものであり、現在の人気度を定量的に評価できる分かりやすい指標だ。今現在、多くの投資家から注目を集めているネット証券上位5社を以下に紹介する。

ネット証券「新規口座開設数」トップ5(2017年4月1日~2018年3月31日)
  ネット証券会社名 新規口座開設数 シェア
1 SBI証券 421,527口座 42.27%
2 楽天証券 360,511口座 36.15%
3 マネックス証券 64,682口座 6.49%
4 岡三オンライン証券 41,919口座 4.20%
5 松井証券 41,778口座 4.19%
ネット証券7社 合計 997,266口座 100.00%

※上記一覧表は、対象のネット証券7社の開示情報をもとに執筆者が作成したもの

第1位はSBI証券、第2位は楽天証券という結果になっており、SBI証券と楽天証券の2社は新規顧客の獲得でも第3位以下を大きく引き離し、今最も人気のあるネット証券であることが見てとれる。

SBI証券サイトの「はじめての方へ」ページにもあるように、ネット証券口座開設数・ネット証券NISA口座数・国内株式売買代金シェア、いずれも第1位という絶対的安心感が、安定的な新規顧客獲得につながっているのではないだろうか。こうした実績にとらわれず、手数料の安さはもちろんのこと、外国株取扱数が主要ネット証券では第1位、IPO取扱件数は業界第1位、インターネット専業証券会社でありながら、電話や対面でも資産運用の相談ができるサポート体制など、SBI証券独自のメリットを求める顧客が後を絶たないのだろう。

注目したいのは、営業収益と株式等売買代金に比べて、新規口座開設数のシェアで楽天証券がSBI証券を追い上げている点だ。投資初心者向けの積極的なキャンペーン展開や、楽天スーパーポイントとの連携で、楽天証券が投資初心者にとって口座開設の敷居が比較的低くなっていると推測される。さらには、高機能なトレーディングツール「マーケットスピード」や、トレーディングツール利用者は「日経テレコン」を無料で購読できるサービスなどが投資中上級者の呼び込みにもつながっていると考えられる。

シェア数でネット証券を見る意義は?

これから株式投資を始めようとしている人は、手数料はもちろん、上記のようにネット証券のシェア数を見てみるのもいいだろう。各社の業務内容、営業収益や株式売買代金、新規口座開設数といった切り口を確認することで、ネット証券の安全性や人気度をある程度把握することができ、自分に合った証券会社選びのヒントになるはずだ。

文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES

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