中国のアリババグループが2015年に開始した信用スコア「芝麻信用」はたった数年で中国国内に普及し、国の枠を超えて世界へ展開を始めています。これは中国が2014年に社会信用システム構築計画綱要を発表したことを受けたものです。自社グループのAlipayとデータ連携を行ない、支払い履歴などの決済情報をもとに利用者の与信管理も行っており、導き出されたスコアは進学、就職、結婚などにも影響を与えるといいます。中国の信用スコアはどのようにして頭角を現し、利用者を伸ばしているのでしょうか。
信用スコアとクレジットスコアはなぜ数値化されるのか
一般的にクレジットスコアといえば、住宅ローンやクレジットカードなど金融機関などで融資を受ける時の審査基準として使われます。アメリカではFICOが有名ですが、年齢、性別、勤務先や勤続年数、年収などが総合的に判断されるので、勤続年数と年収が高い人のほうが優遇されがちです。また、クレジットスコアは審査をするための申請の時にしか使用されません。数値化されるとはいうものの、自分で開示請求をしなければクレジットスコアを知ることができないのが特徴です。
中国の芝麻信用やテンセントの騰訊信用もクレジットスコア同様に与信の審査に使われるのですが、信用スコアの利用範囲はそれだけではありません。政府主導で組織的に社会信用システムの構築をするために民間企業とともに政策を進めています。信用スコアは人々の行動をビックデータに集め、AIによって解析されたその人の信用度が簡単に算出される仕組みです。人々の信用度が可視化されることで、これまで中国で問題視されていた犯罪や不正の抑制にもつながる可能性を持ってます。
クレジットスコアにはない中国の信用スコアのメリット
また、アメリカやイギリスではクレジットスコアが高い人に対してカードの種類のランクアップ、金利やポイントが優遇されるといった各種サービスが受けられます。
しかし、中国では一定のスコア持っていると金融だけではなくさまざまなサービスにおいて優遇されます。例えば、医療、結婚、進学、ホテルなどでは優先的に扱われますし、時間がかかる出国手続きも簡単にできるようになります。それに加えてシェアリングサービスのデポジットが免除されるので、メリットが多いといえます。
アメリカやイギリスのクレジットスコアが金融機関の融資周りでしか活用されないのに対し、中国の信用スコアは社会全体を巻き込んだ新しい概念を生み出そうとしている点が大きく異なると言えます。
信用スコアが下がると制限が入る?
アメリカやイギリスのクレジットスコアが下がれば、与信限度額がさがり、これまで借入れできた金額を借入れできなくなる点がデメリットです。もしもブラックリストに乗れば、決められた期間は与信サービスを受けられない可能性があるので支払日には注意が必要です。
中国では犯罪などを犯すと一気に信用スコアが下がり、それまで受けられていたサービスに制限が入ります。公共交通機関での移動にも制限が加わり、結婚、就職などにも不利になります。さらに、公的機関の裁判所が下した罰金の支払い漏れがあれば、芝麻信用他、アリババのサイト系のサイトでの利用制限がかかるなど、一度の失敗で不便益を被る可能性もあります。
日本にも信用スコアの波が訪れている
2017年より日本でも信用スコアの波が訪れています。みずほ銀行とソフトバンクがはじめたJ.Score、参入を発表したNTTドコモ、ヤフー、LINEなど、続々と新しい事業にチャレンジしようとする企業が増えています。これによって、日本にも信用スコアによる新たなプラットフォームが形成されようとしています。今後、日本の信用スコアは利用者向けにさまざまなサービス提供を行うはずです。どのようなサービスになっていくか、引き続き注目していきたいところです。(提供:J.Score Style)
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