前日については、米国の年末商戦の小売売上高が6年ぶりの大幅な伸びとなったことが判明し、景気に対する懸念が一気に払拭されたこと、さらには、ハセット米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長が「パウエル氏のFRB議長のポストは100%安全」「トランプ大統領はムニューシン米財務長官にとても満足している」などと述べたことで、これまで先行き不透明感が懸念されていましたが、久々の明るいニュースだったこともあり、ドル円は一時111.408円まで上値を拡大しました。

ドル円の反発以上にインパクトを残したのは、NYダウの大幅反発でしょうか。もともと昨日のNY時間については、トランプ大統領が解任を目論んでいると一部で報道されていたパウエルFRB議長とムニューシン財務長官について、さらに否定的な発言が出てくるのではないかと言われていましたが、一転トランプ大統領の側近から真反対の発言が出てきたことは市場心理を安定させるのに十分な内容だったと考えられます。

NYダウの上昇幅は1,086ドルとなり、これは過去最大の上昇幅となります。この動き受け、本日の日経平均株価についても一時20,000円台回復するなど、欧州市場などにもプラスの影響を与える可能性が高そうです。ただ、年末という季節要因もあり111円台ではポジションクローズの動きが強まっていることもあり、上値は限定的になっています。本日より休場明けとなりますが、本来のマーケットより流動性が低く、大きな動きに発展するには難しいのかもしれません。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

ホワイトハウスとFRBの確執が徐々にクリアになるに連れ、徐々に本来のドルの動きへと回帰する可能性がありそうです。直近の最重要課題としては通商協議です。その中で、米通商代表部(USTR)次席代表率いる代表団は通商協議のため1月7日の週に中国・北京を訪問することが決まったとの報道があったことは、ドルにとってもリスクオンの動きにとってもプラスに作用するものと考えられます。

また、50ドルを割り込み、リスク回避の要因の一つとなっていた原油価格についても、前日は終値で3.69ドル高の1バレル=46.22ドルとなりました。実に4日ぶりの大幅反発となり、リスク資産である原油に資金が集中しているという意図を明確に反映させた格好になっています。リスクオンとドル買いがミックスしているようなマーケット状況であるため、ドル円のコアレンジは110.50-111.80円程度に切りあがった可能性がありそうです。

利食いの逆指値を引き下げてもう一段安待ち

ユーロドル、1.1340ドルまではユーロ売りドル買いが強まりましたが、1.1320ドル台には届きませんでした。ただ、前日のNYダウ大幅上昇があっても、リスク選好よりドル買いの動きの方が強まった経緯があったため、まだまだ下値追いの動きの方向にマーケットの目線は向いているものと考えられます。1.1440ドルのユーロドルショート、1.1410ドルに利食いの逆指値を設定し、利食いは引き続き1.1320ドルです。

海外時間からの流れ

直近の動きとしては、米中通商協議に始まり、米国政治への懸念、トランプ大統領を筆頭とするホワイトハウスとFRBとの確執、加えて米国経済指標の悪化がドル売りをサポートしていましたが、前日のNYダウの反発の動きはこれまでの不安材料を一蹴させるくらいのインパクトがあったように思います。マーケットの目線が、再度強いドルへと向かう可能性があるため、本日の海外時間の値動きは年末年始に向けて、試金石となりそうです。

今日の予定

本日は米・新規失業保険申請件数(前週分)、米・12月CB消費者信頼感指数、米・11月新築住宅販売件数などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。