業績が良好で順調に成長を続けている“優良企業”を買ったのに、株価はなぜか値下がりしてしまった……。このような経験をしたことはないだろうか。

業績が好調で株価が上昇すれば値上がり益 (キャピタルゲイン) を狙うことができる。業績が好調であれば、株主還元の一環として配当金や株主優待といったインカムゲインを狙うこともできる。

しかし現実には冒頭のように業績が良好で順調に成長を続けている優良企業を探し出して購入するだけでは、株式投資で勝つことはできないのだ。では、どういった点に注目して投資先の企業を選び、投資すればよいのだろうか。ここでは3つのポイントをみていこう。

(1) 市場評価との乖離……どんなに良い企業でも高値圏で買ってはいけない

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(写真=PIXTA)

株価は常に変動している。当たり前のように聞こえるかもしれないが、安いときに買い、高くなったら売却して利益を得るのが投資の原則だ。

好業績を理由に株を買ったはいいが、好業績は株価に「織り込み済み」ということも。むしろ「織り込み済み」の材料は実現すると株価を下げる要因にもなりうる。「噂で買って事実で売る」という株式投資の格言があるように、噂が事実となった時点で、株価の上昇余力は限られてしまうわけだ。

高値圏で買ってしまっては値上がり幅は限られ、下落リスクの方が高くなる。購入を検討する銘柄の過去の株価水準はどうかなども合わせて確認し「市場評価」と企業業績の乖離に注意したい。

(2) 相場環境……全体の相場が悪ければ引きずられて株価が下落してしまう
「木を見て、森を見ず」になってはいないだろうか。どんなに業績が良くても日経平均株価やTOPIX、NYダウなどの指数が下落すればそれに引きずられる格好で保有銘柄にも影響を及ぼす。投資においては「木を見て、森も見る」の意識が大切だ。

極端な例を出せばリーマン・ショックなどは良い例だろう。どんなに良い企業でも株式相場の大暴落が起きてしまえば、ほとんどの場合、株価は下がってしまう。当然、大暴落を事前に予想することは難しいが、今の相場が短期的に過熱感があるかどうかは比較的判断しやすいだろう。

テクニカル指標の移動平均線や移動平均乖離率、一目均衡表といった指標で買いと売りのタイミングを気にしたい。

(3) 利益の源泉……これからも“優良企業”か ?
その好業績は継続するだろうか ? たまたま山が当たって商品がヒットした、では継続した業績成長は望めないだろう。利益構造はどうなっているのか、「儲けの仕組み」に目を向けてみよう。例えば売上高が10期連続で成長している企業のビジネスモデルを研究してみても良いだろう。

あるいはその好業績は“見せかけ”ではないだろうか。たとえば利益をテクニカルに出すこともできる。本業による利益と資産売却やリストラによる利益とでは意味合いも変わってくる。利益の源泉が何によってもたらされているのかに注目しよう。

投資判断は様々な視点で

株式投資で勝っている人を見ると、羨ましく思って適当に株を買ってしまう人もいるかもしれないが、株式投資で勝つためには単に業績が好調な銘柄を選び出すだけではなく様々な視点から判断することの重要性を分かっていただけただろうか。

もちろん投資の分析手法には様々なものがある。人により考え方や投資スタンスが異なるため投資アイデアも千差万別だろう。ここでは3つのポイントを紹介したが、あくまで一例だと思っていただきたい。

目ぼしい銘柄を見つけたときに、ひとつの側面だけから投資判断を決定するのではなく、他の視点からその企業を見たときにどうだろうかと一歩踏み込んだ調査をすることによって、投資の結果が変わってくるだろう。(提供:大和ネクスト銀行


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