前日については、米中次官級通商協議の内容待ちの動きが強まったことから、ドルの動きが一段落しましたが、一方で、ユーロの軟調さが目立つ展開になりました。欧州時間に発表された独・11月鉱工業生産、ユーロ圏・12月業況判断指数が共に市場予想を下回る結果となり、欧州経済の景気減速が改めて意識されたことがユーロ売りに繋がったものと思われます。ユーロドルは1.1420ドル台まで下落しているものの、1.1420-1.1500ドルのユーロドルの直近コアレンジを下抜けるには至りませんでした。
ポンドについても、ユーロ同様に上値の重い展開になりました。英議会が、政府が離脱に際して税法に関連した権限を行使する際、議会承認を必要とする動議を賛成多数で可決しました。これで、再びメイ英首相が敗北した形となるため、メイ英首相の基盤の弱さが強調されました。離脱協定案の議会採決が来週行われる予定ですが、年を跨いでも同首相への逆風は収まりそうもありません。議会休暇の時には比較的落ち着いた動きを見せていたポンドですが、議会再開となると改めてポンド売りが強まり、ポンドドルでは1.2700ドル付近まで下値を拡大しています。
7日に開始された米中通商協議は本日も継続される予定であり、引き続きヘッドライン待ちのマーケットになりそうですが、トランプ大統領が「中国との交渉は非常にうまく進んでいる」とTweetしていることあり、状況としては楽観的な見方が強まっています。NYダウの強い動きが継続しており、本日の日経平均株価も堅調に推移していることからも、米中通商協議が物別れになるようなネガティブサプライズがない以上は、ドル円は108円台を中心とした動きになりそうです。
今後の見通し
本日は、FOMC議事要旨が公表されます。12月のFOMCでは、市場コンセンサス通り政策金利が引き上げられましたが、政策金利見通しの中央値(ドット・チャート)が引き下げられました。今後の金融政策については、データ次第である事が強調されたこともあり、今回の議事要旨にてより詳細な内容がマーケットにどのように受け入れられるのかに注目が集まりそうです。
ドル円については109円台を一時回復し、3日早朝のフラッシュクラッシュ前の水準まで回復しましたが、109円台では売り意欲が強く、そこからの上昇には至りませんでした。大きくドル売り、リスク回避に傾くような動きにはなっていないため、再度109円を目指す動きになりそうですが、109円手前が再度レジスタンスになるようであれば、108円台後半は絶好の戻り売りポイントであると考えることができそうです。本日、そして明日においても同様のラインで上値が抑えられるようであれば、ドル円の戻り売りは機能しそうです。
トルコリラについては、シリアの米軍撤退における米国側の条件に反発したエルドアン・トルコ大統領が、予定されていたボルトン米大統領補佐官との会談をキャンセルしました。トルコと米国の関係悪化が懸念され、トルコリラ円は20.10円付近から19.60円付近まで下落しました。影響は一時的なものになっていますが、今後の状況次第ではトルコリラ売りに繋がる可能性があるため、この点には注意が必要でしょう。
1.1420ドル台での利食いは成功、再び途転買い
ユーロドル、1.1420ドル台での利食い、そして途転買いは今のところ成功です。ユーロドルは1.1420-1.1490付近でのコアレンジの動きに終始していることから、明確に方向感がでるまでは、このままラリートレードを継続する方向で考えています。1.1420ドル台でのロング、1.1480ドル台での利食いを想定、その後は途転売り戦略です。
海外時間からの流れ
本日は、日本時間11時よりトランプ大統領はメキシコとの国境における壁の建設について演説を行う予定となっており、米国政府一部閉鎖状態の先行きに絡んで注目されます。あくまで国民へメキシコとの国境における壁の建設の必要性を説く演説になることから、それほどマーケットへ影響を与えるとは考えづらいですが、政府機関閉鎖がさらに長引くイメージを与えるようだと、若干ドル売りに傾斜しそうです。
今日の予定
本日は独・11月貿易収支/11月経常収支、ユーロ圏・11月失業率、ポーランド国立銀行政策金利発表、加中銀(BOC)政策金利発表、FOMC議事録などの経済指標が予定されています。また、要人発言としては、ボスティック・アトランタ連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁の講演に加え、カーニー・英中銀総裁の質疑応答が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。