昨年2018年も株式相場は波乱の展開でした。年明けに高値をつけたかと思えば、1月末から急落し、3月26日まで下落を続けました。これで「2018年はダメかな」と思っていたものの、9月には一転、2万4,000円台をつけ、「年末は2万5,000円か!?」という声も聞こえてきました。ところが、10月より再度急落し、まさかの2万1,000円台。このような変動幅の大きすぎる相場では、ほとんどの人が利益を出せず「2万4,000円台の時に売っておけばよかった」などと考えるものです。

しかし、実は相場が急落する前にマーケットはサインを出しています。これに気付けたかどうかで、結果は大きく違ってくるのです。

相場には変調の兆しを測るシンプルな体温計がある

筆者の考える最も重要な指標の一つが「新高値銘柄数」です。株を売買されている方なら一度は聞いたことがありませんか。

「新高値」とは、比較期間の中で更新した最高値のことで、「新高値銘柄数」は同期間内で新高値となった銘柄数を表す、シンプルな指標です。ここでは52週(だいたい1年)新高値を用います。

高値更新をしている銘柄が多いことは、相場が強いことの裏付けです。筆者はこの新高値銘柄数を「相場の体温計」として利用しています。

図1
(画像=トウシル)

図1は比較チャートと言います。日経平均株価(赤)と東証1部新高値更新銘柄数(緑)の推移を合わせて表示したものです。

 グラフの中の①、②、③が注目ポイントです。それぞれ解説していきます。

①2015年の急落時

日経平均株価の上昇とともに、新高値銘柄数も増えていましたが、2015年半ばくらいから日経平均は上昇しているものの、新高値銘柄数は減少しています。これは、相場全体は強くなっていないのに、日経平均だけが買われている証拠で、日経平均は上がっても相場は弱いという状況です(図2)。

図2
(画像=トウシル)

②2018年年初の急落時

2015年の急落を経て、2016年末の米大統領選の日から上昇を始めました。およそ1年にわたって上昇し、高値を付けるたびに新高値も増えています。しかし、年明けに急騰。日経平均が20数年ぶりの高値をつけたときは、新高値銘柄数は減少していることが分かります。やはり、その後急落しました(図3)。

図3
(画像=トウシル)

③2018年10月の急落時

2018年年初の20数年ぶりの高値を抜けましたが、新高値銘柄数は急減しています。このような状態では、とても2万5,000円方面に抜けるような力はありません。その後急落しています。

図4
(画像=トウシル)