(本記事は、秋田谷紘平氏の著書『月10万円副業!』ぱる出版、2019年1月7日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
パターン別・未来予想図
副業をするにあたり、一つの前提を例として挙げ取り得る行動パターンをいくつか挙げていきたいと思います。
【前提】
大手企業で働くサラリーマンの福木 陽(ふくぎ よう=仮名)さん。
その会社では、現在は副業が禁止されている。
ただし、大手企業だけに、世の中の流れ次第で副業は解禁されそうな気がしている。
年収は600万、既婚で専業主婦の妻と、子供が2人。
そのような環境で、趣味の一環でネットオークションをやっていたところから、偶然安く買ったものを他に向けて高く売れることに気付き、繰り返すようになっていった。
(1)何も手続きをしないでいたら…
趣味がちょっと副業のようになっただけなので、特に会社に手続きをするでもなく、確定申告をするでもなく。
なんとなく、売買を繰り返していた福木さん。
稼ぎはまぁまぁ得られるようになってきちゃったけど、ネット上での取引だけだし、別に会社にバレることもないし、まぁ良いだろう…そんな福木さんのもとに、3年ほどして税務署からお手紙が届きます。
「あなたの収入について、確認したいことがあります。つきましては、○月○日に、○○税務署までお越しください」
あれ、ヤバい? と思いつつ、指定された預金通帳を持って税務署に行くと…
「この、○○からの入金ですが、どのようなものですか?」
「利益があるのであれば確定申告をしなくてはいけないので、これまでの分3年間遡って確定申告をしてください」
「無申告加算税というものと、延滞税というものが加算されますので、ご了承ください」
3年間で結構な副業になっていたので、トータルでウン十万円の税金を納めることになってしまいました。
さらにさらに、追い打ちで会社の上司から呼び出しをくらいます。
「福木さん副業やってるの? 今月から住民税が妙に高くなってるけど…」
こうなると、嘘はつけません。
えぇ、まぁ…と答えるのが精いっぱいです。
「就業規則、見たことある?一応、違反になっちゃうから、今後は副業を辞めてもらわないと困るなぁ…そういう風に約束する言い回しで始末書出してね」
きちんとやるべきことをやらなかった結果、税金はごっそり持っていかれ、会社にはバレて副業を辞めさせられるという最悪の結末となってしまいました。
こんなことにならないよう、やはり一定の手続きは必要です。
ここで、少し時間を遡ってみましょう。
福木さんが、自力でなんとかしようとしたケースで解説します。
(2)ネットで情報を調べて、自分で手を打つ
副業を始めて1年。
それなりに稼げるようになってきたので、さすがに放置するのはマズい気がする…と考えた福木さん。
とりあえず、ネットで調べてみると、どうやら確定申告はさすがにした方が良さそうだ、ということがわかりました。
しかし、すでにある程度ここまで副業をやっているのに、申告はしていない状況…どうすれば良いのだろう?
色々調べてみますが、様々なことが書いてあり、どのように申告をするべきなのか、明確な答えは出ません。
仕方がないので有給休暇を取って税務署へ行き、相談してみます。
「わかりました、それではこれまでの分は、このように申告してください。今後はこれをこうして申告してください」
案内の通りに申告をすると、思ったより税金は高くつくことがわかりました。
でもこれまでの分はもう税務署にこうしてって言われてしまったしなぁ…仕方なく指示に従います。
そして2年目の申告を済ませ、これまた高かった税金を納め「高い税金も支払ってることだし、もう特に問題は起きないだろう」と思っていると…
「福木さん副業やってるの?」
あとはご想像の通りです。
始末書を書かされ、副業を辞めることを約束させられてしまうのでした…独学で上手くやれることももちろんあると思いますが、うっかり確定申告だけに気を取られてしまうと、こういうことも起こり得ます。
では、より万全にするためにまたまた遡って、福木さんが他の人に相談するケースを見てみましょう。
(3)税理士に相談して対策する
副業を始めて1年経った福木さん。
稼げるようになってきて、心配になります。
「これって就業規則に違反している状況になってきているよな?」
「税金は大丈夫なんだろうか…本当は納めないといけない気がする」
福木さんは、ふと個人事業主として活動している友人の阿夫利栄斗(あふりえいと=仮名)さんのことを思い出しました。
「そうだ、阿夫利なら確定申告のこととか知ってるかも?」
そう考え、思い切って連絡してみることにしました。
「やぁ久しぶり…実は最近副業をやってて、軌道に乗りつつあるんだけど、確定申告とか、そのへんはどういうものかと思って電話したんだ。阿夫利は個人事業主としてやってると思うんだけど、どうしてるの?」
阿夫利さんはこう答えました。
「いや、俺は事業に専念したいからさ、確定申告とか税金のこととか面倒くさいことは税理士に任せてるよ。紹介しようか?」
福木さんは、阿夫利さんの紹介で税理士に会ってみることにしました。
税理士は、福木さんの現状を一通り聞きだすと、次のように提案をしてきました。
・副業禁止の会社に勤めているのに、自分の名義で副業を続けるのは良くないので、奥さんの名義に切り替えていく
・青色申告をして、節税する
福木さんは、税理士の提案の通りにして、妻の名義で青色申告をすることを選択しました。
税理士に確定申告を依頼することになったので、確かにその分の料金はかかるようになりました。
しかし、妻名義の青色申告で節税できる金額を考慮すると、いってこいでほぼ負担はないと考えることもできます。
ということは、手続きが税理士任せで楽になった分だけお得、と考えることもできますね。
このように、何も手続きせずになんとなく続けてしまう場合と、きちんと手続きのことを考えていく場合とでは、天と地ほども違ってくる可能性があります。
ここまで説明した事例は表現的にやや極端ではあるかも知れません。
しかし、最悪そのようになってしまうことは十分に考えられます。
すべてのケースで税理士に相談して、申告もやってもらえば良いというわけではありませんが、税理士に相談しない場合でも、できる範囲で色々な人に相談するべきでしょう。
その上で得た情報を基にして、最終的には自分で申告する、というのも良いと思います。
自分で青色申告を行うということは、とても勉強になります。
帳簿をつけることで、一年分の事業の流れを振り返ることもできます。
ただし、それ相応に勉強や事務作業のための時間を取られることになるため、その時間が確保できるか、またそもそも申告に興味を持てるかが鍵となるでしょう。