前週末については、海外時間にトランプ大統領が「政府閉鎖を解除し、連邦政府を再開する合意に達した」と発表しました。ただ、あくまで暫定的な処置であり、2月15日までに国境の壁建設が了承されない場合は、再度政府機関を閉鎖することを示唆していることからも、まだまだ懸念材料として意識される可能性がありそうです。また、ドル売りの材料としてトランプ米大統領の盟友であるロジャー・ストーン氏が起訴されたことも意識されています。
米政府機関再開のアナウンス期待で一時109.90円付近までドル円は上昇しましたが、実際に発表されると材料出尽くし感に加え、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、「FRBは量的金融緩和で買い入れた米国債などの保有資産の縮小の終了を議論している」との記事を掲載したことを受け、ドルの上値は重くなっています。利上げ路線の後退は既に織り込んではいるものの、バランスシート縮小については、まだまだ織り込まれていない部分が多く、ドル売りの材料となっています。
不明確な材料が多く存在しているドルに対し、ポンドはシンプルに買い戻されています。英紙サンが「メイ英首相は合意なきブレグジットを排除する予定であると閣僚に伝えた」との報道をしており、ポンド円は144円後半、ポンドドルは1.32ドル前半まで買い戻されています。北アイルランドを巡るバックストップ措置について、再交渉するためブリュッセルに赴くメイ英首相に対し、ボリス・ジョンソン元英外相が「もし仮に交渉が成功すれば、全国民が支持するだろう」と述べており、「合意なき離脱」を回避できる道筋ができれば、ポンドは大きく買い戻される可能性が高そうです。
今後の見通し
今週は、29日の英国議会採決からスタートし、30-31日にて開催される米中通商協議に加え、FOMC・米雇用統計とビックイベントが目白押しになっています。FOMCについては、今回は利上げがないというシンプルな見解から、バランスシートがどうなるのかという点に注目が移っており、一転注目度の高いイベントになっています。FRBのバランスシートは、4.5兆ドルをピークとし、現在は4.0兆ドルまで縮小しています。現在も毎月500億ドルの縮小を行っているものの、縮小の休止が議論の対象になるのであれば、明確にドル売りイベントになってきそうです。
30-31日の米中通商協議では、知的財産権問題の進展、解決という動きは難しそうではありますが、貿易関連については、中国が対米輸入を約1兆ドル以上拡大して2024年までに対米貿易黒字の解消を目指す案を提示すると報じされており、この点においてはムニューシン米財務長官の対中関税の引き下げ検討は大きくプラスに作用しそうです。ただ、本来今月下旬から元々は開催予定だった日米通商協議が、一旦は先送りと報じされたものの、米政府機関の閉鎖が3週間解除されたことで、開催される可能性がでてきたことはリスク要因として意識されるかもしれません。
基本的には、3月の交渉期限までまだ時間があることもあり、今回の通商協議にて最終的合意などが出てくることはないでしょう。ただ、今回の協議にて物別れにならず協議継続というスタンスが出るのであれば、マーケットはポジティブに捉えると考えています。可能性としては非常に低いものの、何かしらの合意が出てくれば、これはポジティブサプライズとしてドル円は110円を上抜ける動きになりそうです。
ポンド円はテクニカル分析通りの動きになっている
ポンド円143.50円での買い戦略、想定していた利食い水準である144.50円で利食い、手仕舞です。押し目買いレベル、上値が抑えられるレベルがテクニカル分析が指し示す水準と合致していることから、引き続きテクニカル分析を背景としたトレードを想定します。多少のスパイクがあったもものの、ポンド円は144円半ばから後半にかけては上値の重さが確認できます。143.80円付近まで引き付けての押し目買いを、今回の戦略とします。損切りは143.30円下抜け、利食いは144.80円付近を想定します。
海外時間からの流れ
「噂で買って事実で売り」米政府機関閉鎖問題は、まさにこの格言通りの動きとなりました。ただ、ファンダメンタルズ要素を抜くと、引き続きドル円は109-110円のレンジ内での動きに終始しています。このレンジを抜ける材料としては、今週予定されているビックイベントのどこかのタイミングがポイントになりそうです。
今日の予定
本日は、主要な経済指標は予定されておりません。
(提供:FXプライムbyGMO)
FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。