スマートフォン一つでスムーズに買い物ができる米アマゾン・ドット・コムの次世代コンビニ「アマゾン・ゴー」の登場から1年たち、本格的な普及期に突入する無人店舗。日本でもJR東日本(9020)が無人決済システムを導入した実験店を東京・赤羽駅にオープン。30日からは千葉県で関連サービスを集めた展示会も開かれ、関連銘柄への物色機運が再燃する可能性がある。

店舗無人化
(画像=MariaX / Shutterstock.com)

人手不足が深刻な業種の一つが小売だ。求人情報大手のリクルートジョブズによれば、3大都市圏のアルバイト・パート平均時給(募集時)は直近の昨年12月まで3カ月連続で過去最高を更新。それでも思い通りに人材を確保できないケースは多く、コスト、オペレーションの両面から事業者を圧迫している。

こうした問題の解決を図るのが、人手を省く無人レジをはじめとするリテールテック(小売のIT化)機器だ。アマゾン・ゴーはAI(人工知能)搭載カメラで客の購入を判断するため、レジさえ備えていない。アマゾンでは2021年までに、最大3000店を出店する計画だと伝わっている。

日本でも、客が自らバーコードに商品を通して決済する無人レジがスーパーなどで浸透し始めている。こうした中、一歩進んだ機器で市場席巻を狙うのがサインポスト(3996・M)だ。

サインポストが手掛ける「ワンダーレジ」は、AIと画像認識技術によって商品を読み取る。台の上の複数の商品をまとめて処理し、客はバーコードにかざす必要もない。決済時間を短縮できる上、設置スペースが既存のレジの半分程度で済むため大幅な効率化につながる。

さらに、ワンダーレジを進化させたのが「スーパーワンダーレジ」=写真。店内に取り付けた小型カメラを通じて、客が商品を手にした段階で購入金額が加算され(戻せば引かれる)、最終的にゲートで決済する仕組み。昨年10~12月に赤羽駅で稼働したJR東日本の実験店では、このスーパーワンダーレジが採用された。

サインポストはコンビニやスーパーのほか、オフィス内店舗や空港内店舗など向けに、21年2月期までに計3万台相当のワンダーレジ、スーパーワンダーレジの導入を目指している。今期は同事業への先行投資の負担もあり営業利益(非連結)は4億円(前期比8%増)と小幅な伸びにとどまる見通しだが、来期にも高成長期に差し掛かることが期待される。

株価は直近の第3四半期累計決算(営業利益2億円、前年同期比3%増)がいまひとつだったこともあり、昨年11月の5620円をピークに下落トレンドを脱し切れない(29日終値は3425円)。しかし、無人レジがけん引する業績拡大局面は迫り、相場つきは変わりそうだ。

リテールテックをめぐっては、今年10月の消費税率引き上げに伴う政府の還元施策も普及の追い風だ。モバイル型電子決済端末を展開するフライトホールディングス(3753・(2))、バーコードリーダーのオプトエレクトロニクス(6664・JQ)、小売向けシステムのヴィンクス(3784)は「現実買い」のフェーズを迎える。

IoT(モノのインターネット)プラットフォームのオプティム(3694)は、AIを駆使した店舗管理支援サービスにも力を入れ、工場資材通販のMonotaRO(=MRO、3064)が運営する無人のリアル店舗にも技術を提供した。オプティムの株価は高値からの調整が一巡し、戻り歩調を強めつつある。(1月30日株式新聞掲載記事)

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