マーケターの知的生産メモ
マーケティングは、商品やサービスのコンセプトを考えて形にし、それを世に広める戦略を考える仕事。その成果を大きく左右するのは、日々の何気ないアイデアだ。マーケターの永井氏は、どのようにメモを取り活用しているのか。その中身を見せていただいた。
メモを探す時間をより短くする
マーケティング戦略の専門家として、執筆活動や講演などで幅広く活躍する永井孝尚氏。日々収集する膨大な情報やメモをベースに、質の高いコンテンツを生み出し成果につなげるのが永井流の仕事のやり方だ。
「とはいっても、たくさんの情報をただ眠らせているだけでは、アイデアは生まれてきません。断片的なメモや情報の中から、目に見えない関連性を見つけてこそ、アイデアは生まれてくるのです。
そこで必要なのが、『情報の一覧性』です。メモや参考資料をパラパラとめくりながら企画書を作成するのではなく、必要な情報を一カ所に集めて概観しています。そうすることで、情報が有機的なネットワークを持ち始めるのです。今まで気がつかなかった新事実を発見したり、新しい企画の切り口を思いつくことができます」
その点で役立つのが、「エバーノート」だ。テキストのみならず、写真や画像、音声など形式の異なるデータを一括管理できる。永井氏は、集めたメモや情報を「iPad」や大画面ディスプレイに映し出し、考えを整理するという。
「情報を箇条書きにしたメモや、参考資料のリンク先、写真など、『これは使える』と思った情報はすべてエバーノートに取り込んでいきます。そして、テーマごとに情報を一覧で表示したり、検索で欲しい情報を引き出したりしながら、アイデアを深めていきます」
検索性に優れているのも、永井氏がエバーノートを使う理由の一つだ。
「せっかく役立つ情報を集めても、『あの情報、どこにあったかな』といった具合に探す手間は非常に非効率です。探している間に思考が途切れ、アイデアの生産性が半減してしまいます。その点でも、エバーノートは検索性に優れており、欲しい情報がすぐに出てくるので便利です。
また、自分が使うすべてのIT機器と同期しているため、アイデアを思いついたその場で、端末を選ばず記録できるのも重宝しています。私は、音声を使ってアイデアをメモしています。
エバーノートの活用によって情報の検索性と一覧性が高まり、私の仕事のスピードと品質が格段に上がりました」
永井孝尚(ながい・たかひさ)マーケティング戦略コンサルタント
1984 年、慶應義塾大学工学部卒業後、日本IBM に入社。マーケティング戦略のプロとして事業戦略策定と実施を担当する他、人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当。2013 年に独立して現職。執筆のかたわら、幅広い企業や団体を対象に新規事業開発支援をなう一方、講演や研修を通じてマーケティング戦略の面白さを伝え続けている。シリーズ60 万部の『100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA/ 中経出版)など著書多数。(『THE21オンライン』2018年11月20日 公開)
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