前週末発表された米雇用統計については、米・1月非農業部門雇用者数が市場予想16.5万人増に対して30.4万人増と非常に強い内容になりました。前月の数値が下方修正されたことや失業率の悪化、平均時給が前月比で予想を下回ったことを背景に、一時ドル円は108.90円付近まで伸び悩む場面がありましたが、政府機関閉鎖問題が雇用に与える悪影響は限定的であるとの見方が強まり、その後はじりじりと上値を拡大する動きとなりました。

雇用統計後に発表された米・1月ISM製造業景況指数が市場予想54.0に対して56.6、米・12月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)が90.7に対して91.2と共に強い内容だったこともあり、米国の景気の底堅さを再認識した動きが強まりました。ドル円は一時109.578円まで上値を拡大し、本日も109円半ばでの動きが中心となっています。110円では上値の重さが意識されていることもあり、再度110円にて上値が抑えられるかどうかが目先の最重要ポイントになりそうです。

今週に関しては、明日から中国の春節(旧正月)が始まります。本日は中国市場が休場、香港とシンガポール市場の休場は明日からになるものの、市場参加者が少なく、アジア時間の動意は限定的になりそうです。また、本日は米国中が注目するスーパーボールが行われることもあり、NY時間においても動意は限定的になることが想定されるため、ドル円は109円台半ばでの動きが中心になりそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

今週は、トランプ大統領の一般教書演説(5日(米東部時間午後9時、日本時間6日午前11時予定))が予定されています。来週に米国暫定予算が失効する事を踏まえ、トランプ大統領と民主党の対立・動向に引き続き注意が必要になりそうです。一般教書演説において、国境の壁関連で再び強硬な演説をすれば、暫定予算が切れた後、再び米政府機関が閉鎖されるとの思惑から、ドル売りに繋がる可能性があるため、110円レジスタンスがより意識されるかもしれません。

本日については、上記材料から基本的に様子見姿勢が強まる可能性が高いため、109円半ばを中心とした動きになりそうです。ただ、株高の影響によりドル円が109.80円付近まで上昇するようであれば、110円での上値の重さを考えると、ショート戦略が機能しそうです。

英国のEU離脱案については、メイ英首相がEUと再交渉する意向を固めているものの、EU側が再交渉する意思が薄く、引き続き難航しそうです。焦点としては、アイルランド国境問題を中心としたバックストップについて妥協するかどうかですが、EUの主席交渉官であるバルニエ氏は再交渉の余地がないとしており、「バックストップは現状のままでしかあり得ない」と強調しています。メイ英首相がバックストップで大幅な譲歩を得ることは考えにくく、「合意なき離脱」回避が第一課題であることを踏まえると、条件付きのソフト・ブレグジットに傾斜する方向に向かいそうです。条件にもよりますが、ポンドについては、「合意なき離脱」以外の状況であれば買われやすい動きになっています。

ユーロドル、テクニカル的に1.15ドルショートは機能すると思料

1.15ドルがテクニカル的にレジスタンスとなっていることもあり、この水準は意識されていると考えられます。ファンダメンタルズ的にも米国の雇用統計が強い内容だったこともあり、ユーロドルが大きく上昇するイメージはありません。引き続き、利食いは1.1410ドルとし、逆指値を持ち値と同じ1.15ドルに引き下げます。

海外時間からの流れ

市場コンセンサスを大きく上回る米雇用統計の内容を受け、ドル円に買い安心感が広がっています。気になる点としては、あれだけ強い非農業部門雇用者数の内容であっても急速なドル買いには繋がらなかったことです。本格的なドル買いは、寧ろISM製造業景況指数後になっており、雇用以外の景況感の数字の方が意識されている可能性があります。ただ、政府機関閉鎖による雇用への悪影響が限定的であったことは、109円前半の底堅さをより明確にするかもしれません。

今日の予定

本日は、トルコ・1月消費者物価指数、英・1月建設業PMI、ユーロ圏・12月生産者物価指数などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。