前日に関しては、前週金曜日に米・1月非農業部門雇用者数、米・1月ISM製造業景況指数が好調な内容だったこともあり、ドル円は前年12/31振りの110円台を示現しました。ただ、一時110.159円まで上値を拡大したものの、110円台では売り意欲も強く、滞空時間は非常に短い動きとなりました。本格的に110円上抜けを考えるのであれば、本日のNYクローズにて110円台を維持することが重要になってくるでしょう。ただ、本日より中国が春節(旧正月)に入り、中国市場だけでなく香港とシンガポール市場も休場になるため、動意は限定的になりそうです。

英国のEU離脱案については、英保守党・強硬離脱派であるモグ議員が「北アイルランドを巡るバックストップなしの離脱案に合意する可能性」「合意なき離脱は合理的な意思決定」、バルニエ英EU離脱・欧州委員会首席交渉官が「離脱協定案について再交渉せず」「バックストップ案は今のところアイルランド国境問題への唯一の解決策」、コーヴェニー・アイルランド外相が「英議会によるバックストップの代替案要求は不合理な希望的観測」などと発言しており、メイ英首相は再び袋小路に立たされています。3/29までは多少時間的猶予はあるものの、余裕を持てるほどの時間ではありません。「合意なき離脱」回避へ向けた発言がポンド買いの状況になっていましたが、今後は「離脱期間延長」などの内容が組み込まれないと、徐々にポンド売りに傾斜するかもしれません。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日の注目ポイントとしては、豪大手銀行のナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が住宅ローン金利を引き上げた豪ドルの動きになりそうです。豪中銀(RBA) 政策金利については1.50%の据え置き予想になっていますが、住宅関連が豪経済に与える影響が甚大になるようであれば、声明にて利下げを示唆するのではないかとの思惑が強まっています。実際に、前日発表された豪・12月住宅建設許可件数は市場予想+2.0%に対して-8.4%になっており、既に市場が完全にこの状況を織り込まない限りは、豪ドル売りイベントになる可能性が高そうです。

ドル円が110円付近での動きになっていますが、110円では心理的に戻り売りポイントであることに加え、12月日銀短観で示された大企業製造業の2018年度下期想定為替レート(109.26円)から実勢レートが大きく上振れしていることにより、実需のドル売りも入りやすい状況になっています。ドル円のコアレンジ109-110円をようやく抜けそうな水準ではありますが、110円を本格的に上抜けるにはまだまだ課題は山積みだと考えられます。

米中通商協議では具体的な進展はなかったものの、2月の首脳会談への期待は依然として継続しています。ただ、ここにきてハセット米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長が「中国との通商交渉では依然としてやることが多々ある」と発言しており、楽観視されているイベントが多少なりとも懸念材料になるようであれば、ドル売りに傾斜する可能性は排除できないでしょう。

ユーロドル、テクニカル的に1.15ドルショートは機能すると思料

1.15ドルでのショートは、非常に有効なポジションになっていますが、1/30の安値である1.14066ドルが目先のサポートとして捉えられています。本格的な1.14ドル下抜けまでは多少時間を要する可能性があるため、引き続き利食いは1.1410ドルとし、逆指値を持ち値と同じ1.15ドルとします。

海外時間からの流れ

豪・12月小売売上高は市場予想±0.0%に対して-0.4%、豪・12月貿易収支は市場予想22.25豪ドルの黒字に対して36.81豪ドルの黒字となりましたが、小売売上高の悪化が意識されており、豪ドルは上値が重くなっています。豪中銀(RBA)からの声明が厳しい内容になるのであれば、豪ドルは素直に下落の動きに傾くのではないでしょうか。

今日の予定

本日は、豪中銀(RBA) 政策金利、英・1月サービス業PMI、米・1月ISM非製造業景況指数などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。