前日の海外時間では、米CNNがトランプ大統領が進めるメキシコ国境での壁建設の費用について、共和党と民主党による合意案を受け入れ、署名する方針だと伝えました。12日に記者団に与野党合意による13.75億ドルの内容について不満だと漏らしていたものの、CNNによるとトランプ大統領は合意案に署名し、政府機関閉鎖を回避する方針との報道により、ドル円は上値を拡大しました。

また、政府機関閉鎖により延期されていた米・1月消費者物価指数については、前年比で市場予想を上回ったことでドル買いが強まりました。前月比については、市場予想よりも悪化したものの、エネルギー価格(-3.8%)の影響が大きく、影響は限定的との見方もあり、さほど問題視されませんでした。1月のFOMCでFEDが利上げペースの鈍化を公表しましたが、それ以降主要各国(英国、豪州、カナダ、欧州)の中央銀行が経済見通しを下方修正しており、相対的にドル買いに繋がっていると考えられます。これらを受け、ドル円は111円台を回復し、一時111.054円を示現しています。

また、トランプ大統領は米中通商協議について「極めて順調に進行していると思う」との見方を示し、明日には習近平国家主席が米代表団トップメンバーと会談する事が報じられているため、リスク選好イベントに波乱なしとの見方からドルは底堅い動きになっています。パウエルFRB議長に続き、ハーカーフィラデルフィア連銀総裁、ボスティックアトランタ連銀総裁なども比較的ポジティブな見解を示していることも、ドル円にとってはプラス材料になっています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

メイ英首相は、議会に対してバックストップ案の修正を検討していることを表明しました。内容としては、バックストップから一方的に離脱できる条項、バックストップの期限設定、またはバックストップの排除などになっているものの、目新しい材料が出てきていないこともあり、市場はやや疑心暗鬼になっています。延期となった離脱修正案については、27日に行われる予定になっています。

11日から13日まで米中次官級通商協議は順調に消化され、本日14日から明日にかけて米中閣僚級通商協議が開催されます。米国側はライトハイザーUSTR代表とムニューシン財務長官、中国側は劉鶴中国副首相が出席予定です。また、15日には習中国国家主席とライトハイザーUSTR代表とムニューシン財務長官が会談予定とのことで、米中通商協議が極めて順調に進んでいることを示唆しています。

基本的には、このまま順調に通商協議を消化していくと考えられ、ドル円、クロス円についても底堅い動きとなる見通しですが、米中通商協議が合意に至らずに決裂した場合、トランプ大統領が暫定予算案の署名を拒否した場合、可能性としては非常に低いものの、これらのケースがあった時はドルは急落する可能性が非常に高いです。

ポンドドル、1.2950ドルのショートメイク成功

スペイン議会が2019年予算案を否決との報道によりユーロポンドが下落したこと、英国議会での質疑応答中にポンド買いがやや強まったことなどを背景に、ポンドドルは1.2950ドルショートメイク成功です。1.2830ドル付近が目先のサポートラインとなるため、利食いポイントを1.2830ドル台に設定し、カットレベルは利食いの逆指値となる1.2910ドルに設定します。

海外時間からの流れ

中国・1月貿易収支については、2,450.0億元の黒字に対して2,711.6億元の黒字となり、ほぼ予想通りの内容になりました。米中通商協議の支障にならないとの見方もあり、ドル円、クロス円は引き続き堅調に推移しています。 また、米国が対中関税期限を60日間延長検討とのヘッドラインもリスク選好に寄与しています。

今日の予定

本日は、独・第4四半期GDP、トルコ・12月経常収支、ユーロ圏・第4四半期GDP、米・1月生産者物価指数、米・12月小売売上高、米・新規失業保険申請件数などの経済指標が予定されています。また、ブリハ・MPC委員、ケント・RBA総裁補佐の講演が予定されており、注目されそうです。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。