ステップ4 取引の前に、もう一度リスクを確認する

実際に投資信託やETFを購入する前に、投資対象を改めて確かめて、リスクを知っておくことは欠かせません。海外に投資するものなら、為替変動リスクもあります。場合によっては、投資対象に対して取っているリスクよりも、為替変動リスクのほうが大きくなっていることもあります。

投資を始めた途端に、リーマンショック級の経済危機が起こる可能性もあります。もしそうなったら資産はどうなるのかも、把握しておくといいでしょう。

ステップ5 積立を設定する

働く世代が資産運用をするときには、毎月の収入の中から余裕資金を積み立てることをお勧めします。ノルウェー政府年金基金も北海油田から得る利益を積み立てています。

ウェブ上に無料でシミュレーションができるサイトがいくつもあるので、実際に使ってみて確認していただければと思いますが、ここでは『ウェルスナビ』のサイトで、「30年後に3,000万円以上」という目標を達成できる確率を計算してみましょう(リスク許容度を5段階の「3」に設定)。

最初に投資する金額を100万円に設定すると、

・毎月3万円の積立だと32%
・毎月4万円の積立だと52%
・毎月5万円の積立だと69%

の確率で、「30年後に3,000万円以上」になります。毎月の積立額が3万円と5万円では、達成確率が2倍以上も違うのです。余裕があるなら、毎月の積立額を少しでも増やすことを考えてみましょう。

ステップ6 リバランスを着実に行なう

最適なポートフォリオを作っても、時間が経つと、バランスが崩れてきます。多くの場合は、株価が上がって、ポートフォリオに占める株式の比率が高くなってしまいます。株式は、リターンも大きい半面、リスクも大きいですから、そのままにしているのは危険です。株式を売って、他のものを買う必要があります。

このように、ポートフォリオの中で、比率が高くなりすぎたものを売り、低くなったものを買って、最適なバランスを取り戻すのが「リバランス」です。

リバランスを頻繁にすると、売買にかかるコストが高くなるので、半年~1年に1度にするのがいいでしょう。

以上が、世界の富裕層や機関投資家と同じ資産運用をするための考え方です。日本の書店で「投資」のコーナーに行くと、こうしたことが書かれている本はほとんど見当たりませんが、英国で働いていたときに書店の「investment」のコーナーに行くと、たくさん見かけました。日本の資産運用は、ガラパゴス化しているのです。私は、その状況を打破したいという想いで、『ウェルスナビ』の運営に、日々、邁進しています。

資産運用,柴山和久
(画像=THE21オンライン)

柴山和久(しばやま・かずひさ)ウェルスナビ〔株〕代表取締役CEO
1977年、群馬県生まれ。東京大学法学部卒業後、2000年に大蔵省(現・財務省)に入省。ハーバード大学で金融取引法を学び、ニューヨーク州弁護士登録。英国財務省への出向を経て、09年に財務省を退職。フランスのビジネススクールINSEADで金融工学を学び、10年にマッキンゼーに入社。ニューヨークに拠点を置く10兆円規模の機関投資家向けのリスク管理・資産運用プロジェクトに携わる。15年にウェルスナビ〔株〕を設立。16年にサービスを開始した。(『THE21オンライン』2018年12月17日 公開)

【関連記事THE21オンラインより】
ウェルスナビ「富裕層並みの資産運用を、働く世代のすべての人に」
複利&節税効果で老後資金を稼ぐ「投資信託」入門
「投資レジェンド」が教える、株を買うべき会社の見分け方
今、あなたがすべき「資産運用」とは?
マネーリテラシーの低い日本人が最初に学ぶべき「あること」とは?