「どんなときも平常心の人」を演じてなりきってみる
外資系コンサルティング会社やカルチュア・コンビニエンス・クラブなどで経営者として活躍し、現在は人材開発事業を手がけている柴田励司氏は、40歳くらいまでは感情的になることが多く、「瞬間湯沸かし器」と呼ばれたこともあったという。いったいどのように、メンタルをマネジメントしてきたのだろうか。
「瞬間湯沸かし器」から「平然とした人」に変身
ビジネスの世界でトップリーダーになる人は、いくつもの修羅場をくぐり抜けてきた、タフなメンタルの持ち主というイメージがある。柴田励司氏は、38歳で外資系コンサルティング会社の社長に就任して以来、様々な企業で経営者を務めてきた。きっとストレス耐性は相当に高いのではないかと予想したのだが……。
「いや、高くはないですね。むしろ、感受性が鋭いせいか、今でもちょっとしたことでよくへこみます。
また、40歳ぐらいまでは、周りから『瞬間湯沸かし器』と呼ばれていて、すぐに感情的になっていました。
でも、あるとき、『このままではまずい』と気がついて、それからはストレス耐性が高い自分を演じるようにしたのです。
仕事をしていると、『この人はどんなときでも平然としていてカッコ良いな』と思える人に何人か出会えるでしょう。そういう憧れの人を見つけて、その人になりきり、演じるのです。
そして、演じている自分を、もう一人の自分が客観的に見るようにします。強いストレスを感じる場面では、『ここが踏ん張りどころだぞ。ここを乗りきったら道が開けてくるぞ』というように、もう一人の自分が、演じている自分を冷静に見ながら、応援してくれます。すると、本当に乗りきれます。
演じるというのは、誰かと初めてデートをするときのことをイメージするとわかりやすいでしょう。自分を相手に魅力的に見せるために、ちょっと演じますよね。あれとまったく同じです」