手数料が安く便利なイメージがあるネット証券。しかし対面証券と具体的にどんな違いがあるのかわからないまま、ネット証券を選択している人も多いのでは?今回はネット証券と対面証券の違い、それぞれのメリットデメリットなどについて紹介する。
ネット証券と対面証券の違いとは
ネット証券は、インターネット上のサイトやアプリを利用して投資家自身が取引を行うのが特徴だ。それに対して対面証券では投資家一人ひとりに営業担当が付く。店頭または電話で営業担当者に連絡をすると、注文などを行ってくれる。
取引の間に人を介するという点から、一般的に対面証券のほうがネット証券よりも手数料が高くなる。野村證券や大和証券などでは、対面型とネット型、どちらの機能も備えている。ただし、口座開設時に対面型かネット型のどちらを選択するか決める必要がある。
ネット証券のメリットとデメリット
まずは、ネット証券のメリットとデメリットについて紹介していこう。
ネット証券のメリット 手数料の安さ
ネット証券最大のメリットは、対面型と比較して手数料などのコストが安いことだ。
【野村証券の対面型】
国内株式の取引手数料……約定代金20万円以下で2,808円、20万円以上50万円以下で1.4040%
【ネット証券大手のSBI証券】
国内株式の取引手数料……20万円以下で105円、50万円以下で250円
野村證券はSBI証券の約28倍もの取引手数料が必要だというわけだ。
さらに、SBI証券では5万円以下で50円、10万円以下で90円と少額投資を行う個人投資家に向けてより細かく約定代金を区切っており、手数料を抑えることができる。
また一日の約定代金合計額に対して手数料がかかるアクティブプランであれば、一日の約定代金合計額が10万円以下なら手数料が無料となっている。
こういった点から見ても、ネット証券は、個人投資家がより取引がしやすい環境を整えていると言えるだろう。
ネット証券のデメリット 自己判断での投資
個人投資家にとってメリットが多いように見えるネット証券だがデメリットもある。それはどの銘柄に投資を行うかという判断や実際の取引をすべて自分で行わなくてはならないということだ。
ネット証券では、電話注文ができないため、銘柄選びや注文などは、サイトやアプリを利用して自分で行う。そのため、インターネット環境が整っていなかったり、パソコンやスマートフォンを使いこなせなかったりする場合は利用が難しい。
ただし、ネット証券会社はツールの使いやすさや投資に関する情報提供など、個人投資家に向けたサービス開発に余念がない。ツールはパソコン、スマートフォン向けアプリ、タブレット用などさまざまなものがリリースされている。
直感的に操作ができるようアップデートも行われているため、仕事やプライベートなどでパソコンやスマートフォンを利用していれば問題なく使いこなせるだろう。使い方がわからない場合は電話で問い合わせができるサポートもある。
ネット証券のもう1つのデメリットは、対面証券と違い、営業担当がいないことにある。対面証券では営業担当が経済ニュースやチャートを元にして、さまざまなアドバイスをしてくれるが、ネット証券ではこうした情報も自分から求めて探さなくてはならない。
とはいえ、ネット証券でも情報提供には余念がない。営業担当がいないことをカバーするため、ニュース配信や独自の経済ニュースなど情報提供に力を入れている。AIを使った資産配分の提案などもあり、より充実した投資を可能とするサポートも用意されている。
対面証券のメリットとデメリット
対面證券のメリット プロのアドバイス、IPO当選確率
対面証券のメリットは、営業担当がつき、アドバイスをもらいながら投資ができる点だ。投資についてわからないことがあれば、電話一本で相談可能。注文も電話だけで行うことができるため、パソコンやスマートフォンの操作に不慣れな場合でも安心だ。
IPO当選の確率を高めることができるのも長所。対面証券は歴史のある大手証券会社が多く、IPOの主幹事を務めている場合も多い。さらに対面証券ではIPO銘柄の購入権利は平等抽選だけでなく、裁量配分といって営業担当者の裁量で配分するものもある。そのため大口の優良顧客は優先してIPO銘柄を配分してもらうこともあるようだ。
対面證券のデメリット 手数料の高さ
対面証券のデメリットは、手数料などのコストの高さにある。前述したように、野村證券とSBI證券の手数料を比べた場合、10倍以上の差がある。
大和証券の場合でも、最低手数料が2,700円、取引額が50万円の場合で6,210円、100万円の場合で12,420円。取引額50万円の場合、大和証券とSBI証券では差額が約5,000円となる。コストにこれだけの差があれば、トータルで見た時の利益率も大きく変わることになる。
コストで考えればネット証券、プロによるアドバイスがほしければ対面証券
ネット証券と対面証券にはそれぞれメリットとデメリットがある。コスト面ではネット証券に軍配が上がるが、営業マンによるアドバイスやIPOの割当など対面証券を選ぶメリットもある。自分の取引スタイルや資産、金融リテラシーによって自分に合った証券会社を選びたい。
文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES
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