一棟マンション投資のデメリット

一方で一棟マンションならではのデメリットもあります。例えば、場所が一ヶ所に集中してしまうということです。保有する部屋全てが同じ建物内にあるわけですから、投資エリアを間違えてしまうと空室を埋めるのに苦労するということにもなりかねません。当初好調でも、近くに同じようなマンションが建設されたり、近くにあった大学が移転したりして、賃貸需給が悪化した場合、影響は大きなものとなります。

もう1つが、ロットが大きくなりがちということです。区分所有物件であれば、ワンルームマンションの場合で1,000万円前後から2,000万円程度で購入できますが、一棟マンションともなると1億にも及ぶこともあります。

仮に1億円の物件の場合、頭金を2割用意するとしても2,000万円が必要であり、借入金も8,000万円にもなります。変動金利でローンを組んだ場合には、金利上昇の影響を大きく受けることになります。一棟マンションで不動産投資をする場合には区分所有物件で不動産投資をする際よりも慎重な検討が求められます。


まめな努力が必要

「不動産投資は楽をして副収入を得ることができる」というイメージがあるかもしれません。区分所有物件の場合はこのイメージがあながち外れているとも言えません。なぜならば、建物管理会社が日々の管理をしており、賃貸管理会社が空室になった場合の入居者の募集や日々の入居者の窓口となってくれるからです。

一棟マンション投資でも、建物管理会社を入れたり、賃貸管理会社任せにしたりと、区分所有物件と同様の手法を取ることができますが、せっかくのメリットである自己管理も同時に行いたいものです。隣同士にあるきれいなマンションと汚いマンションで家賃が同じとなれば、誰もがきれいなマンションを選ぶのではないでしょうか。

共用部の掃除、花壇の手入れなどまめな努力が保有物件を魅力的にします。一棟マンション投資の場合、買ってからが本当の不動産投資の始まりです。「マンションは管理が重要」とよく言われます。日々少しずつでも手を加えることで、管理が行き届いたものとなります。


融資を受けられるかどうかが最大のポイント

一棟マンションで不動産投資を始める際の最大のポイントは融資を受けることができるかどうかにかかっています。一棟マンションには資産価値があるため、金融機関が担保としてしっかり評価してくれるので、区分所有物件よりも融資を受けやすいのは確かですが、それもある一定のラインを超えていることが条件となります。

特に年収もそれほど高くない、頭金もほとんどない、という状況であれば一棟マンションで不動産投資をすることはほぼ不可能と言えます。もしも、一棟マンションで不動産投資をしようとするのであれば、ある程度の年収(少なくとも700万円以上)と十分な頭金(検討物件の2割程度)を用意しておきましょう。

但し、気を付けるべきことは借りられることがゴールではないということです。高い稼働率を維持し、返済を確実に進めていくことが重要です。金融機関が貸してくれるからと言って、安易に物件を購入することなく、投資シミュレーションをしっかりと立てて、検討したうえで実行に移すようにしましょう。

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