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(画像=カラフルで彩豊かな「凍らせフルーツのカクテル」シリーズ)

メディアの動画取材に「できるかも」と感じた

フォトジェニックなメニューや店内装飾に力を入れ、客足を伸ばしてきた『吉祥寺SUN Tama Bar』。写真による集客は順調だったが、1年ほど前、これまで写真を撮っていた女性客の中で、動画を撮っている人が増えたことに気づいた。確かに1年ほど前といえば、インスタグラムの「ストーリーズ」という動画機能が流行り始めた時期だ。しかしその傾向に気付きつつも、その当時はまだ動画制作には至らなかったという。

「店内装飾やメニューをPRするために、デジタル一眼で撮影してインスタグラムなどのSNSに広告掲載したり、プレスリリースを作成したりしていました。写真にはこだわっていましたし、当時は動画ってハードルが高い気がして、やらなくてもいいだろうと考えていたんです」

そんな折、とあるメディアが取材時に動画の撮影を行った。いざ公開された動画を見てみると、1分程でテンポ良く紹介されており、写真よりわかりやすく感じたという。このことをきっかけに、動画での宣伝を検討するようになったそうだ。特別な機材を使っているように見えなかったことも、「自分も動画を作れるのではないか」と思える理由の一つになった。

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(フォトジェニックな青い色のリキュールを使った、青いカクテルシリーズ)

試行錯誤で動画制作を開始。ムービージェニックなメニューも開発

こうして長谷川さんは自らのiPhoneを使って動画制作をスタート。動画編集できるアプリを購入し、試しながら撮影や編集を始めた。また、撮影用にムービージェニックなメニューも開発。特にブランデーをたっぷり染み込ませたパンケーキに火をつける「炎のパンケーキ」は話題を呼び、若い女性たちがこぞってインスタグラムのストーリーズにアップしているそうだ。

現在は店の宣伝や集客に繋がっている動画だが、やったことのない動画制作という作業は、はじめは失敗も多かった。

「最初は内容を詰め込みすぎてしまい、散漫な印象の動画になったこともありました。インスタグラムで広告配信をしているのですが、アカウントで広告の効果を見てみると、1分だと長いため途中で離脱する人が多くなり、最後の店舗紹介の箇所まで見ている人が少ないことがわかりました」

試行錯誤の末、長さは15秒に抑える、絵コンテを描く、言いたいことは1つに絞る、などのポイントを踏まえて動画を改良。次第に視聴される回数が増えるようになった。しかし、これだけ十分に話題となっていても、まだまだ改良が必要だと長谷川さんは言う。

「7000回再生された炎のパンケーキの動画はすごいですねと言われますが、実際これくらいの視聴回数では、大きな集客に結びつきません。他のメディアの動画再生回数を見ていると、最低でも数万はないといけないなと感じます」

数万以上の再生回数の動画を作るべく、現在も長谷川さんは努力を続けている。

特別な機材は必要なし! スマホで制作できる動画のコツとは?

話題の動画を多く制作している長谷川さんに、実際の動画制作のコツを伺うと、「特別なものは何もいらない」と教えてくれた。

「動画撮影にはセンスが必要になることもありますが、撮影用の特別な機材は必要ありません。iPhoneでの撮影で十分クオリティの高いものが撮れますよ。ただ、編集ソフトは無料のものを使うとできることが限られてしまうので、そこに少しお金をかけているくらいですね」

さらに、現在長谷川さんが活用しているインスタグラムの広告配信は、1回あたり数百円程度でできるとのこと。個人でも費用をそれほどかけずに広告が打て、ターゲットの想定などの戦略を持てば集客も十分可能だという。

「インスタグラムにフェイスブックのビジネス用アカウントを連携させており、広告の効果もチェックできるようにしています。どちらかというと動画の再生回数よりも、その動画にどれだけの人がリーチしたかというインプレッションの数字の方を特に気にしていますね」

動画を作るだけでなく、その動画がどれだけ見られているかを把握して改良していくことが、効果的な集客戦略に繋がっているようだ。

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(美しい内装は外から見ても存在感たっぷり)

若い世代に「お酒の新しい楽しみ方」を知ってほしい

20代前半の女性にターゲットを絞ってから、店内装飾やムービージェニックなメニュー作り、動画作りなど新しいことに挑戦し続けている長谷川さん。今後はどんなことを仕掛けていくのか、その展望を伺った。

「この冬はタピオカを使うなど、20代の女性に受けそうな新しいメニュー作りを考えています。若い世代にはお酒を飲まない人も増えていますが、上司に誘われて無理やり飲みに行くというような古いコミュニケーションが否定されているだけで、お酒そのものを否定している訳ではないと思うんです。だからこそ、若い世代にはもっと、お酒の新しい楽しみ方を知ってほしいですね」

SNS隆盛期に合った動画配信という広告戦略で、『吉祥寺SUN Tama Bar』はこれからも、若い女性の心を掴んでいくだろう。SNSが宣伝手段となっている今、同店のように動画で新たな集客を狙ってみるのも良いのではないだろうか。

『吉祥寺SUN Tama Bar』
住所/武蔵野市吉祥寺北町1-1-19 魁第3ビル2F
電話番号/0422-21-6553
営業時間/18:00〜L.O.1:30
定休日/不定休

執筆者:西尾悠希

(提供:Foodist Media