大手企業がインターネット広告を利用する動きが加速しつつある。伸び代の大きい動画配信のほか、市場拡大が期待されるデジタルサイネージ(電子看板)の関連企業に注目が集まる。
広告代理店の博報堂DYホールディングス(2433)の単月売上の中で、主力の博報堂のネット向けは昨年12月に前年同月比15.6%増、今年1月は同17.4%増に拡大し、直近2月は同25.2%増とさらに勢いを増した。電通(4324)の見通しによれば、日本国内の昨年のインターネット広告費は前年比で17%伸び、市場全体をけん引した。
スマートフォンを通じたインターネットの利用が進む中、大手企業の出稿先もネットが主戦場となりつつある。5G(次世代高速通信システム)による高速通信の導入も間近に迫り、こうした流れは今後一段と強まりそうだ。
1月にはネット広告大手のサイバーエージェント(4751)が業績予想を減額し警戒感が広がった。しかし、杞憂(きゆう)となる公算。この日は博報堂DYの売上拡大を受け、サイバーの株価は大幅に上昇。CARTA HOLDINGS(3688)やオプトホールディング(2389)、セプテーニ・ホールディングス(4293・JQ)、ベクトル(6058)といった関連株も強含んだ。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の浸透を背景に、「インスタグラム」「TikTok」に代表される動画や写真の投稿アプリもネット広告の拡大に一役買っている。特に女性がインスタを通じて商品を購入する傾向があり、企業側もマーケティングを積極化している。
インスタ特化型のマーケティングを手掛けるUUUM(3990・M)は、主力の「ユーチューバ―」のマネジメントとも併せて今後の広告業界の主流に乗る。調整からもみ合いに入った株価は仕込み時だ。動画広告ソリューションが企業に相次いで採用されているCRI・ミドルウェア(=CRIMW、3698・M)もマークしたい。
一方、ネット広告市場の拡大とともに利用価値が高まるのが、デジタルサイネージだ。トランザス(6696・M)がこの分野の次世代技術を手掛かりにこの日急騰するなど、物色機運も高まっている。2020年の東京五輪に向けた電子看板設置の動きも追い風だ。
注目銘柄はアイドママーケティングコミュニケーション(=アイドマMC、9466)。子会社の手掛けるサイネージ向けサービスが東京メトロに採用され、拡大が期待される。株価は昨年7月の高値1080円から4割超を下げ、調整は十分だ。このほか、メディアフラッグ(=メディアF、6067・M)や、自然な色調を表現できる偏光板を手掛けるポラテクノ(4239・JQ)などを狙いたい。(3月13日株式新聞掲載記事)
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