人生は一度きり。それなら好きな仕事でお金を稼いで、何不自由なく幸せな人生を送りたい。そう考える人は多いはず。しかし、方法がわからなかったり、失敗への不安があったりして、何となく二の足を踏んでしまっていないだろうか? そんな疑問にこたえるべく、迷える人々を「幸せなお金持ち」に導くコンサルティングの第一人者であり、ベストセラー『ユダヤ人大富豪の教え』をはじめ、累計700万部超の著者でもある本田健さんに3回にわたって幸せなお金持ちになるために必要な要素を、ご自身の体験を交えて語っていただいた。

お金を稼げる力はあっても「不幸な人」にならないために、「幸せなお金持ち」がどういう人で、どのようなマインドをもっているのかを知ることが大事。第1回では、幸せなお金持ちの仕事に対する考え方やお金との付き合い方について聞いた。(取材・押田裕太 ZUU online編集部)

本田健氏
本田 健(ほんだ けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタントを経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。「お金と幸せ」をテーマに講演会を全国で開催。無料インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は3800万ダウンロードを記録。著書は『ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣』『大富豪からの手紙』など130冊以上、累計発行部数は700万部を突破。2019年6月にはSimon & Schuster社より初の英語での書き下ろし著書『Happy Money』を出版、世界25ヵ国以上の国で順次発売予定。本田健公式HP

目次

  1. 「幸せなお金持ち」と「不幸せなお金持ち」は、何が違うのか?
  2. 自分がやりたいことの見つけ方
  3. 「自分がやりたいことかどうか」は、全力で3ヶ月やればわかる
  4. お金との健康的な付き合い方「お金は使ったら入ってくる」
  5. 日本一の個人投資家・故竹田和平氏から教わったこと
  6. 幸せなお金持ちは、相手も自分も幸せになるお金の使い方をする
  7. コスパが高いのは「自分の好きなことをやって、そこそこの小金持ちになること」

「幸せなお金持ち」と「不幸せなお金持ち」は、何が違うのか?

本田健氏
(画像=ZUU online)

──本田さんの著書を読むと「幸せなお金持ち」ということがキーワードとして挙げられると思います。まずは、「幸せな」という定義についてお考えを聞かせてください。

ある意味、私のキャリアのスタートは8歳〜9歳。税理士の父をアシスタントするような形で、顧問先の社長さんにお茶出しからスタートしました。その経験から感じたことは、世の中には「お金持ちの人」と「お金持ちではない人」がいるということでした。たとえば、お金持ちの人はピカピカの車に運転手がいて、そうでない人はバスを乗り継いで来ているとか。手土産の感じからも、お金持ちかそうでないかというのを子どもながらに見分けていたのだと思います。

そして20代前半、お金持ちの方とビジネスをするようになって、お金持ちにも「すごく幸せな人」と「幸せそうではない人」がいることに気がつきました。幸せなお金持ちの人はずっとニコニコしています。反対に同じお金持ちでも、常に不機嫌そうに怒鳴っていて、あまり幸せそうではない人もいて、その違いが何なのかずっと気になっていました。

ある時、そのことを幸せなお金持ちの人に聞いてみると、次のように言われました。

「幸せなお金持ちは自分の好きなことをやってお金持ちになったから幸せで、不幸なお金持ちというのは、自分の楽しくないこと、嫌いなことをやってお金持ちになったから不幸なんだ」

それからずっとお金持ちを観察するようになりました。自分の好きなこと、たとえば10店舗のラーメン屋を経営して、お客さんの喜ぶ姿をニコニコしながら見ているオーナーもいれば、本当はやりたくないアパレルの経営者として、原価率や売上の数値が悪いことに常にイライラしていたり、あるいはスタッフの人に怒鳴り散らしたりする人がいます。

そういった人たちを、5年、10年という時間軸で見ていると、うまくいかなくなる人は、やはり後者でした。不幸な人は時流に乗ってお金持ちになることもありますが、永続は難しいということです。

その後も、いろんな人たちと付き合うようになりましたが、やはり幸せなお金持ちと不幸なお金持ちがいて、自分の好きなことをやって生きている人と、そうではない人の違いを目の当たりにしました。そして同じお金持ちになる道があるなら、好きなことをやってお金持ちになるほうが楽しそうだと思ったのが、この道に入るキッカケです。

自分がやりたいことの見つけ方

──幸せなお金持ちになるには、自分の人生にフォーカスすることが大事なんですね。しかし、自分のやりたいことがわからないという人も世の中には結構いますよね。自分のやりたいことは、どうしたら見つかるのでしょうか?

人はそれぞれ好きなものが全然違います。日常的に人と会うのが好きな人と嫌いな人、パソコンで仕事するのが好きな人と嫌いな人、街が好きな人と自然が好きな人、日本が好きな人と海外が好きな人など、いろんなタイプの人がいます。

自分のやりたいことを見つけるためには、普段から自分が何にテンションが高くなるのかを見つめるようにアドバイスをしています。たとえば、プレゼンをやっているときはテンションが上がるけど、経理処理の時間はテンションが大きく下がってしまうという人が周りにいませんか? もちろん逆もあると思います。もし自分でわからない場合は、友人に聞けばきっと教えてくれるはずです。

「自分がやりたいことかどうか」は、全力で3ヶ月やればわかる

──「自分が何をやりたいのかを知る」ということがファーストステップですね。一方、決断したあとは、「(本当にやりたいことかどうかまだわかっていない)目の前のことに全力を尽くす」とことも大事ですよね。そのバランスのとり方、どのように判断をして、次のステップに進めばいいでしょうか。

「石の上にも三年」と言いますが、やりたいことを見つけるには、今の時代、3ヶ月もあれば十分だというのが私の考えです。3ヶ月何かを本気になってすれば、たとえば、「セールスは合わないな」とか、「研究は合わないな」というのがわかってくるはずです。逆に、ちょっと我慢してでも3ヶ月やったことで、苦手意識があったことが好きになることもあります。ですから、しばらくやっても好きにならない、合わないと思うのであれば見切りをつけることも大切です。

──その目安が3ヶ月と。

3日では短すぎるし、3年では気が遠くなりますが、たったの90日と思えばハードルは下がると思います。世の中には、いっぱいできることがありますから。3ヶ月やってだめなら、次のステップに進んだほうがいいというのが私の感覚です。

お金との健康的な付き合い方「お金は使ったら入ってくる」

──ところで、本田さんの著書『ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣』の中で登場する「豊かさ意識」とは具体的にどういった意識なのでしょうか?

豊かさ意識とは、「お金が入ってきて、出ていったとしてもまたお金が入ってくる」というお金の流れを信頼している感覚です。反対に、貧困意識というのは、「このお金を使ってしまったら、何も残らない」というある意味、欠乏感に近い感覚です。

会社員や公務員の人たちが辛いのは、お金は基本的に出したら減るものではないですか。だから、いかにしてお金を出さないようにするかということを考えてしまいがちです。しかし健康を考えたときに、食べ物を食べた後、体から排泄物を出さなかったら不健康だと思いませんか?

それはお金も同じです。お金が適度に入って、お金が流れていくというのが健康な状態になります。自分がどれだけお金を使っても、また入ってくるという感覚を「豊かさ意識」と呼んでいます。

──「豊かさ意識」を高めるために、本田さんが実践されていることはありますか?

そのために私がおすすめしているのが、お金が入ってきたときにも「ありがとう」、お金を使うときにも「ありがとう」、お金を払ってくれた人にも「ありがとう」と感謝の気持ちを持つことです。他にもたくさんの業者さんや社員さんがいるのに、自分にお金を払ってくれたわけです。お店をやっている人だと、たくさんの店のなかから自分の店を選んでくれたから、感謝をするということです。

そして自分がお金を払うときは、何かしらのサービスを受けているわけですよね。ご飯を作ってくれたのかもしれないし、旅行に連れていってくれたのかもしれません。いずれにせよ、それに対して「ありがとう」と感謝の気持ちを持つということです。

「ありがとう」で受け取って、「ありがとう」で渡すという循環に入ると、自分自身が生かされているということを感じます。自分のことを選んでくれて、お金を与えてくれた人がいる。そして自分のために何かサービスを提供してくれた人がいる。だから自分は豊かさの流れのなかにいるんだと、深いところで感じることができたら、その人は「豊かさ意識のなかに生きる」ことになると思っています。

具体的には請求書をもらったらすぐ払う。あるいはちょっと余分に払ってあげる。プレゼントをする。とにかく自分が常に「与える」という気持ちでいるかどうかということだと思います。自分の楽しさや豊かさは、誰かお金を払ってくれたから成り立っているわけです。そして自分がお金を払って何かをあげるたびに、「このお金があってよかったな」と、心からしみじみ思うということです。そういった一つひとつの感覚が、「豊かさ意識」を醸成していきます。

日本一の個人投資家・故竹田和平氏から教わったこと

──豊かさ意識をもつ人のお金の考え方について詳しく教えてください。

豊かさ意識は、いくら渡しても減らない。この考えは、個人投資家で有名な竹田和平さんから教わりました。竹田和平さんに、「お金ってなんですか?」と尋ねたら、「お金は泉のようなもので、夜どれだけ水をくんでも、次の日の朝には水位がいっぱいになっている」と。だから「お金をあげても、あげても、水位がいっぱいになっているというのが豊かさなんだよ」ということを教わりました。

ほとんどの人たちは、「お金は使ったらなくなる」と思っています。反対に豊かな人は、「お金は使ったら入ってくる」と思っています。これが大きな違いです。お金を楽しく気持ちよく使うという技術が、豊かさのカギになるわけですが、ほとんどの人たちはこの秘訣を知りません。だからそれを私はみなさんに本やセミナーを通じてお伝えしています。

幸せなお金持ちは、相手も自分も幸せになるお金の使い方をする

──お金の「使い方」もカギになってきますね。

誰かにご馳走する、援助する、何かプレゼントすると、その人に対する感謝が増えていきます。つまり「生き金を使う」ということです。たとえば私はボールペンを1万本作り、いろんな人たちにプレゼントしていますが、1本あたり数千円もかかります。でもこれをもらった人はなんだか得した気分になりますよね。ペンを1本あげるか、あげないかという選択なら、あげるほうがいい人間関係を築くことができます。

でもそういったことも、簡単には出来るけど多くの人はやりません。今、自分が食費で困っていたら別ですが、もし困ってないのであれば、私はあげたほうが豊かさにつながると思います。楽しいと思いませんか? 狙ってやるとだめですが、絶えずご縁のある方に与えるというのも、大事なことだと思っています。

──反対に「悪いお金の使い方」もありますよね。違いは何でしょうか?

自分も気持ちがいいし、貰ったほうも気持ちがいいというのは「いいお金の使い方」です。反対に「悪いお金の使い方」というのは、自分が欲しくないものを何も考えずに買ってしまうことです。ギャンブルに費やしてしまうのはあまり楽しくないお金の使い方です。「悪い」というよりは、「楽しくない」と言ったほうがいいかもしれません。

──例えば、健康を害するとか。

そうですね。本当は飲みたくないのに、ストレス発散のために度を越してお酒をいっぱい飲んでしまうとかが、そのいい例だと思います。

コスパが高いのは「自分の好きなことをやって、そこそこの小金持ちになること」

──では、「幸せなお金持ち」について聞いていきます。本田さんもお金持ちだと思いますが、本田さんが考える「お金持ち」とは、どのような人を指すのでしょうか?

世間的には、私はお金持ちの部類に入るかもしれませんが、自分をあまりお金持ちだと思ったことはありません。なぜなら、周りには私よりお金持ちの人たちばかりだからです。たとえば上場企業のオーナーやプライベートジェットを持っている人がいることを考えると、お金持ちにもレベルがあることがわかります。

例を挙げると、世の中には孫正義さんのように資産を何百億円、何千億円と持っている本当のお金持ちがいます。でも、大きな家に住んでいたり、ホテルのスイートルームに泊まる程度では、お金持ちに入らない可能性があります。

お金に困ってないということと、本当のお金持ちは違います。ある程度のお金持ちというのは、「お金を使っても使っても減らない」というのがひとつの定義ではないでしょうか。お金を使ってすぐなくなってしまうようだと、本当のお金持ちではないと思います。

──具体的に資産額でいくら以上がお金持ちという基準はあるのでしょうか? 世間的には「1億円」という基準があるように思います。

お金持ちの人をたくさん知っている立場から見ると、資産が1億円ある人は小金持ちではありますが、お金持ちとはいえません。年収3000万円、資産1億円は小金持ち。これがお金持ちの入り口だと思います。本当の資産家になるためには、年収3億円、資産5億円〜10億円ぐらいは必要ではないでしょうか。

でも多くの人たちは、そんなにお金は必要ありません。おそらく年間3000万円くらい稼いで、1億円くらいの資産があれば豊かな生活が送れます。これは常々思っていることですが、あまりお金持ちを目指さないほうが、幸せになれるのではないかと思います。というのも、お金持ちになるには、いろいろとやらなくてはいけないことが多いのです。

人生の一番楽しい時期は、25歳くらいから55歳くらいまでだと考えています。その時期に仕事を一生懸命やれば、たしかにお金持ちにはなれます。でも、今65歳以上のお金持ちの方に今後悔していることについて聞くと、「若いときに仕事をしすぎた」と多くの人がいいます。

「世界一周することだってできたし、2~3年遊ぶお金だってあったのに、結局仕事ばっかりしてしまったことを後悔している」と。そういう意味では、お金持ちを目指すよりも、自分の好きなことをやって、そこそこ小金持ちのほうが、コストパフォーマンスが高いのではないかと、個人的には思っています。

人生を成功に導く大富豪の教え
  1. 【上】「やりたいことをやって、そこそこの小金持ちへ」コスパが高い生き方
  2. 【中】人との信頼関係が「お金を貯める時間を短縮する」
  3. 【下】パーティーでの立ち話「10秒」でチャンスを掴む