集客のポイントは? 個人でカフェ開業をする場合は、宣伝費にあまり資金をかけられないことが多いので、無料のSNSを活用するのがいいだろう。インスタ、ツイッター、フェイスブックなどのSNSは若者を中心に利用者が非常に多く、その宣伝効果はあなどれない。お店側からのアピールだけでなく、来店した客が店内で写真を撮って拡散してくれるのもメリットだ。SNSでの人気獲得を意識して、写真映えするメニューや季節ごとのメニュー開発を行うようにしよう。
リピーターを強化するには、店舗のLINE@アカウントを作成し、月替わりメニューを配信するのがおすすめだ。「LINE限定割引クーポン」や「LINE限定スペシャルセット」などを作れば、反応が高まるだろう。LINEは開封率の高いツールなので、リピーター獲得を意識して、テーブルの上やレジ横にPOPを置いておくとよい。
また、地域の他業態と連携して互いにチラシを置き合ったり、名刺サイズの店舗紹介カードを作成したりするのも宣伝効果がある。カフェは様々な時間帯で集客ができる業態でもあるので、居酒屋やレストラン、ラーメン店とのコラボレーションもいいだろう。特に開業初期は自店だけの集客力では弱いので、近隣店との交流も含め、早めに計画を練っておこう。
利益を確保するためには? カフェはそもそも利益率が数%と低く、場合によっては赤字もあり得る業態だ。その理由は、ずばり客単価の低さ。例えば居酒屋では、飲み物はもちろん、おつまみ数品、〆の主食やデザートまで多くの注文が入るが、カフェはコーヒーのみというパターンも珍しくない。いくら客数が増えても一人あたりの単価が低ければ、なかなか売上にはつながらないのだ。そのため、大手コーヒーチェーン店でもサンドイッチやパスタを販売し、単価アップの努力をしている。
さらに、カフェには長居する客が多いというデメリットもある。客単価が低いうえに滞在時間が長いと回転率も悪く、利益が確保できない。すでに取り組んでいる店も多いが、おかわりドリンクやセットドリンクを導入するといった工夫が必要になるだろう。
また、店舗の定休日や空き時間を有効活用する方法もある。「コーヒーの淹れ方講座」や「お手軽スイーツの作り方講座」といった有料教室を開催したり、ワークショップなどの貸会場など、地域のコミュニティスペースとして活用するのもいいだろう。
人材はどうする?
カフェは個人や夫婦で経営している方も多いので、人を雇わずに定休日をしっかり取るのももちろんいい案だ。仮にスタッフを雇うとしても数名であることを考えると、少ない人員でどのように運営していくかを考える必要がある。
例えば、フルサービスにこだわらず、タッチパネル式のメニュー表を導入したり、電子マネーやスマホ決済を取り入れたりして、効率的なオペレーションを構築するのも重要。導入にはある程度のコストが掛かるが、長い目で見ると人件費削減につながるだろう。
また、スタッフを雇う場合はできるだけ地域の人を採用するようにしよう。カフェは、店員自身がお店を好きであることがとても大切なので、地元の方に働いてもらうのがベスト。地元に暮している人なら、客に対しても親しみをもって接客してくれるだろう。開業前の工事期間から張り紙で募集案内を掲示し、店の前を通りかかる人に見てもらうようにすると、低コストで人員を確保することが可能だ。
カフェはイメージがいい反面、意外とデメリットが多く、運営しづらい業態とも言える。しかし、カフェにはこれといった定義もなく、工夫次第では、他業種ではできない斬新な方法で、オリジナルメニューの開発や単価アップも可能だ。デメリットをしっかり踏まえた上で、近隣店の動向や地域客のニーズを見て事業計画を練ってほしい。(提供:Foodist Media)
執筆者:大槻洋次郎