100年働く仕事の哲学
(画像=Minerva Studio/Shutterstock.com)

火災・死亡・病気等の偶然の事故による損害を補償するため、多数者が一定の資金を出し合い、実際に事故があった時、その者に一定金額を与える制度が保険だ。契約者死後に支給される生命保険、器物損害が発生時支給される損害保険など、その種類は豊富であり、また組み合わせることによって商品数は更に多様になる。しかし、技術発展によって近い将来は既存の保険がすべて変わってしまう可能性を述べてみよう。

自動車業界に到来している「CASE」の波、伴って変化する自動車保険

「CASE」はConnected(ネット接続)、Autonomous(自動運転)、Shared(カーシェアリング)、Electric(電動)の略字で、2016年のパリモーターショーで独ダイムラーのディーター・ツェッチェCEOが発表した中長期戦略の造語だ。

まず損害保険会社のビジネスに不可欠な自動車保険だが、上記の技術を踏まえ、既に大半が自動運転になっており、ガソリンや軽油などの化石燃料車はEVや水素燃料などに移行。またスマート・トラフィック化で交通渋滞もなくなり、人間は「運転する」のではなく、自動運転車に「乗せてもらう」ようになる。

このように、4つの分野は既に2020年第後半から普及される見込みであり、これらの技術によって人為的・機械的事故はより減少する。その場合、既存の自動車保険は保険内容等の変化も必要ではないだろうか。

IoT技術発展により、火災保険、医療保険も変化する可能性も

「スマートホーム化」が進み、IoTやセンサー技術が向上すれば、AIで災害を予知、未然に防止することも可能になり、今までのような風水害や火災は減少するだろう。被害が出てから査定に行くのではなく、顧客のリスクに対処していくというのが役目になっていくかもしれない。また、火災が起こったから保険金の話になるのではなく、センサーが大量に存在する時代にはそのセンサー自体が違う意味の「保険」になる可能性もある。

更に、医療技術が進んで、三大疾病の治療に対するハードルが下がり、手術ではなく薬の服用のみで治るのであれば、治療に必要な保険金の需要もなくなってしまう。その場合の医療保険も変化を加える必要性もあると思う。

保険は万が一のため、自分もしくは家族のために備えるものであるが、この認識も技術発展によって近い将来、まったく別物に代わってしまう可能性もあるのではないか。(提供:SBJ銀行