「不動産を持っている人」というと、とても裕福な人をイメージするかもしれません。たしかに土地やマンションなど所有する不動産から収益が生まれることはよくあります。しかしそれと同時に、持っているだけでお金がかかる出費のタネでもあります。具体的にかかる費用を3つ挙げますので、不動産の購入や相続・贈与を検討している人は参考にしてください。

固定資産税と都市計画税

不動産,維持費用
(写真=photoviriya/Shutterstock.com)

不動産を持っていることで定期的にかかる費用の最たるものは、固定資産税です。加えて市街化区域内の土地や建物には都市計画税もかかります。毎年1月1日時点の所有者が納税しなければなりません。4月頃に市町村から納付書が届き、4回に分けて納付します。一括で支払っても構いません。

税率は市町村によって異なりますが、多くは固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%です。

納める税金は、この税率を課税標準額にかけて計算します。課税標準額は購入金額とは異なるもので、通常固定資産税評価額と一致し、市町村が査定するものです。評価替えといって3年に1回、時価を基準に変更されます。(ただし、課税標準の特例措置が適用される場合や、土地について税負担の調整措置が適用される場合は、課税標準額は評価額よりも低くなります。)

土地の固定資産税評価額は基準地価のおよそ7割です。基準地価は実勢価格にもとづいて決まるので、時価のおおよそ7割くらいと考えてください。

建物の固定資産税評価額は個別に計算されます。基本的に同じような建物を建てたときにどれくらいの費用がかかるか算出し、築年数が経って劣化した分を差し引きます。

購入したときの価格が低かったり、相続で受け継いだりしてお金をかけずに手に入れた不動産であっても、時価が高騰していれば高額な固定資産税がかかることもあるので注意が必要です。

住宅用の土地や新築の家は税額が少なくなる特例もあります。

建物や土地の維持管理費

建物を持つと管理費がかかります。わかりやすい例としては区分マンションの管理費と修繕積立金です。ローンの支払いがかさんでいたとしても、誰も住んでいない空室の状態になっていても、管理組合の決めた金額を毎月支払わなければなりません。相場は月1万円から3万円程度ですが、タワーマンションなどの高級住宅の場合はもっとかかることもあります。

一戸建てやアパートをまるごと持っている場合などは、毎月決まった金額を積み立てることが強制されているわけではありません。しかし定期的に修繕をしないと朽ち果ててしまいます。雨漏りの予防や外壁塗装、シロアリ対策などの費用が必要となるでしょう。ときには数十万円から数百万円かかることもあります。

建物だけではなく、土地も場合によっては手入れが必要です。放っておくと雑草が伸び放題になり、近所からクレームが来るかもしれません。自分で草刈りをする方法もありますが、相当な重労働になるでしょう。土地や建物の管理修繕費はかかるものだと考えておいたほうが無難です。

所有者に責任が問われることも

上記のように定期的にかかる費用だけではありません。トラブルが発生し、お金を支払わなければならなくなるリスクもあります。

例えば土地に不法投棄をされ、犯人が特定できない場合、その処理費用を持たざるを得なくなるかもしれません。

アパートを持って大家をしていると、事故の責任を追求されることがあります。例えば階段が崩れて入居者がケガをし、損害賠償責任を負うという状況が挙げられます。

土地に設置されているもの(工作物といいます)が元で誰かしらに損害を与えた場合、所有者のミスでなくても責任を問われることがあります。看板やフェンス、建物などが工作物にあたります。

例えば自分の土地に建てた看板が風で吹き飛ばされ、近くの車に当たって傷をつけてしまった場合、修理費を負担しなければならなくなることがあるのです。

このようなリスクには保険で対応できることがあります。例えば施設賠償責任保険は、土地や建物などの施設を管理していくうえで事故が起こったとき、損害賠償や応急措置の費用、弁護士費用などについて補償される保険です。

事前のシミュレーションをしっかりと

不動産を持つことでかかる費用は少なくありません。固定資産税や修繕費などの定期的にかかるお金の他、トラブル発生時の対応など、予想外のことも起こりえます。手に入れてから後悔しないように、購入や相続などの際には事前によくシミュレーションしておきましょう。 (提供:相続MEMO

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