ピーター・リンチは、一般投資家が手軽に実行できる手法でとくに1980年代に巨万のリターンを実現した人物です。投資家の間で評価の高い「リンチの法則」を改めて確認してみましょう。

日常生活の中に儲かる株のヒントはある

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(写真=PIXTA)

同じ“伝説の投資家”でも、かのウォーレン・バフェットは「孤高」のイメージが強いのに対し、ピーター・リンチは「親近感」を抱かせます。バフェットの孤高のイメージは、富豪になっても田舎で禁欲的な生活をおくる独特なライフスタイルの影響が大きいでしょう。一方、リンチの親近感は「日常生活の中に儲かる株のヒントはある」という彼の哲学から生まれているのかもしれません。

リンチは、専門的な情報を収集しつつ、家族と一緒に街へ繰り出し妻や娘の行動を観察しました。そして、「その観察を通して運用のヒントを見出した」というエピソードは有名です。「日常生活に儲かる株のヒントがある」というリンチの考え方は、今では株投資のセオリーとして広がっています。

リンチの法則の一例:急増したチェーン店をチェックする

株式市場全体が低迷・下落している局面でも、儲かる株は必ず多数存在します。そして、不安定な相場のときこそ、テクニカルではなくファンダメンタルズの重要性がフォーカスされる傾向です。逆境市場に負けない株を見出すには、「高い専門性を持っている分野で次の動向を的確に予測する」「リンチの法則である消費者のリアルな行動を観察する」といったことが有効でしょう。

後者の一番わかりやすい例は、街を歩いていて店舗数が増えてきたチェーン店です。少し前までめったに見かけなかったのに、主要駅の駅前などで頻繁に見かけるようになった……このようなチェーン店の株式を調べると、急騰中、急騰直前ということはよくあります。例えば、数年前に株価が急騰したあるチェーン店は、2017年途中まで2,000円以下の株価でした。

それが2017年末には6,000円前後まで急騰。このチェーン店の当時の店舗数推移を見ると、2014年11月期67店舗、2015年11月期に94店舗だった店舗数が2017年11月期には166店舗まで躍進しています。こういったチェーン店の出店状況を観察することは、意識さえすれば通勤時や客先まわりの途中でもできるのではないでしょうか。

もし時間があれば店舗の雰囲気やサービス、混み具合を確かめるとさらに伸びる可能性があるかを見極めやすくなります。

リンチの法則の一例:世代が違う身近な人の話を聞く

ピーター・リンチは、妻や娘の行動観察に加え彼女たちが興味のあることの話もよく聞いたようです。このように自身と違う性別・世代の人たちの話に耳を傾けることで、対象とする株式の領域が広がってきます。「身近な人の話を参考にする」という例では、年配のビジネスパーソンがゲームマニアの息子から近日中にリリースされる話題作の話を聞いて、開発会社の株式をチェックするといった具合です。

もしそのゲームが大ヒットすればリターンにつながる可能性は高いでしょう。その他、ファッションやエンタメ施設、アプリなどトレンドネタはいくらでもあります。チェックする対象は、トレンドに限りません。派手さのないサービスにもチャンスは転がっているのです。例えば、親が入居している介護施設を訪ねたとき、そこで提供されているサービスが充実していることを実感し、提供企業のファンダメンタルズをチェックするといった行動も考えられます。

自分が使っている商品やサービスにヒントがあることも

「街にあまり出かけない」「家族とのコミュニケーションが希薄」といった方でも、身近なところから儲かる株のヒントを探ることは可能です。投資家の中には、自分が使っている商品やサービスを提供する企業の株価が高騰した経験のある方も多いかもしれません。自分自身がユーザーのため、その商品の強みや弱み、これから伸びるかも感覚的にわかります。

いずれにせよ、リターンのヒントは私たちの目の前にあります。それに気づくか否かで私たちの未来は大きく変わってくるのです。(提供:Wealth Lounge

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