投資信託は売買成立までにある程度の日数がかかる。申込日・約定日・受渡日と3つのタイミングがあるが、銘柄によって異なるので、それぞれのタイミングは把握しておきたい。NISAを利用する人や分配金受取が目的の人は、特に売買スケジュールの確認が必要な場面もある。

投資信託は約定日の基準価額で買付される

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(画像=TZIDO SUN/Shutterstock.com)

投資信託は株式投資のように注文を出してすぐ買付できるわけではない。注文から売買成立、代金のやり取りまでに数日のズレが発生する。投資信託の基準価額はリアルタイムで変動せず、組み入れられている株式や債券などの時価を1日1回のペースで反映させているからだ。投資対象が国内の投資信託なら、取引所が終了する15時の資産価格を元に基準価額が算出される。

基準価額の公表は取引所が終了した後であるため、注文と売買のタイミングがズレるようになっている。投資信託は注文から決済までの間に価格が変動する可能性があるが、買付の際に適用されるのは、原則として売買が成立する「約定日」時点の基準価額となる。

投資信託の申込日・約定日・受渡日の違い

投資信託では取引にズレが発生するため、売買成立までに「申込日」、「約定日」、「受渡日」の3つの流れがある。タイミングによって基準価額や決済日が変わる可能性があるので、それぞれの違いを理解しておきたい。

投資信託の申込日とは売買注文を出した日のこと

申込日とは、投資信託の売買注文を出した日のことを指す。注文は締め切り時間が決まっており、通常は15時までに注文するとその日が申込日になる。15時を過ぎると翌営業日が申込日だ。締め切り時間までであれば、注文のキャンセルもできる。

商品によっては締め切り時間が違うものもあるため、実際の注文では個別に確認しておきたい。

投資信託の約定日は売買が成立した日

約定日とは、投資信託の売買が成立した日のことだ。商品にもよるが、投資対象が国内の場合は申込日の基準価額(取引所終了後に公表される基準価額)で約定する。海外が投資対象の場合は、原則として申込日の翌営業日が約定日だ。

投資信託の休業日や国内・海外市場の休日と重なると約定日が遅れることもある。気になる人はチェックしておくといいだろう。

投資信託の受渡日とは売買代金を精算する日

受渡日とは、申込から約定まで完了した後に売買代金を精算する日のことである。買付なら受渡日に代金が決済され、売却なら受渡日に代金を受け取ることになる。通常は約定日から2~5営業日後になることが多いが、個別の商品ごとに異なるため事前に確認しておきたい。

投資信託の約定日と受渡日に注意が必要なとき

取引内容によっては特にタイミングに注意すべきケースもあるので確認しておきたい。

投資信託をNISA口座で年末ギリギリに買付する時は受渡日に注意

NISA口座で年末近くに投資信託を買付する場合、受渡日が年をまたがないように注意したい。投資信託の受渡日は申込日の翌週以降になることもあり、年末近くに買付すると翌年の非課税枠を使用することにもなりかねないからだ。年内の非課税枠を利用したい人は、受渡日を意識する必要がある。

2018年を例に考えてみると、最終営業日が12月28日(金)となるので、4営業日後に受渡の投資信託なら12月25日(火)までに買付申込をしなければならない。5営業日後が受渡日なら12月21日(金)、6営業日後なら12月20日(木)となる。海外資産が投資対象の投資信託はクリスマス前後が取引できないものもあり、年末近くのNISA口座による買付は個別の銘柄ごとに確認が必要だ。

NISA口座では、約定日ではなく受渡日が基準になることを覚えておきたい。

投資信託の分配金受取は約定日が基準になる

投資信託の分配金を受け取る場合は、受渡日ではなく約定日が基準になる。分配金が支払われるのは投資信託の決算日であるが、その前営業日までに買付約定していれば分配金を受け取れる。

決算日が20日であった場合、申込日に約定する投資信託は原則として前日19日の15時までに申込をすれば分配金の受取は可能だ。申込日の翌営業日に約定する投資信託なら、18日に申込をする必要がある。約定のスケジュールや申込の締め切り時間は銘柄によって違うこともあるため、あらかじめ確認しておくほうがいいだろう。

投資信託の売買スケジュールは事前に確認しておく

投資信託は注文から代金の精算までにタイムラグが生じる。普段は気にする必要はないかもしれないが、NISAの非課税枠や分配金の受取といった特定のタイミングでは注意しなければならないときもある。慌てて注文することがないように、売買スケジュールは事前に確認しておきたい。

文・國村功志(資産形成FP)/MONEY TIMES

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