マンション投資を始めたいと思っている方が物件を選ぶ際、まずは「利回り(りまわり)」に目が行くのではないでしょうか。マンション投資の利回りの相場と、利回りに隠れた不動産投資の注意点について解説します。

マンション投資の「利回り」

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(画像=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

どれくらいのコストでどれくらいの利益が見込めるのか、その割合を表したのが「利回り」です。ひとくちに「利回り」といっても、その中には「表面利回り」「実質利回り」「想定利回り」などがあり、それぞれ計算方法が違います。混同してしまわないように注意しましょう。

表面利回り(グロス利回り)

「年間の家賃収入÷物件価格×100」で計算できます。物件情報サイトやオーナー募集の資料などに大きく記載されている利回りは、この「表面利回り」であることが多いでしょう。また、所有物件が満室の状態を想定して計算する表面利回りを「想定利回り」と呼ぶこともあります。

実質利回り(ネット利回り)

「(年間の家賃収入-所有コスト)÷(物件価格-購入コスト)×100」で計算できます。マンションを買って運営していくためには、物件価格だけでなく税金や手数料、管理費や修繕費用などさまざまなコストがかかります。実質利回りはそれらも想定に入れて計算するので、表面利回りよりも実態に近い数字になります。

マンション投資の利回り相場は?

マンションの利回りは、都内なのか地方なのか、新築なのか中古なのか、その物件のカテゴリーによって大きく異なります。

一般財団法人日本不動産研究所の「不動産投資家調査(2019年)」によると、実際に取引された価格に基づく利回りは、東京都内の比較的アクセスがよく新しい物件で4%台前半でした。その他の地域で同等条件の物件だと5%~6%という結果になっています。

一方、地方の築年数が経っている(築古)物件だと、10%を超えるものも珍しくありません。なかには20%、30%といった物件もあります。ただ、高利回りのものを狙えばうまくいくというわけではないので注意が必要です。詳しく見ていきましょう。

高利回り物件には裏がある?チェックするべきポイント

交通アクセスや築年数をチェック

残念ながら「利回りが高い=お得」とは限りません。得られるリターンが大きいということは、それだけリスクも大きいということです。高利回り物件は、たとえば地方だったり駅から遠かったりアクセスが良くないものや、築年数が古くてボロボロになりつつあるものなど、借りてくれる人を見つけるのが簡単ではないケースも多いのです。

その他のチェックポイントは?

アクセスや築年数などわかりやすい理由だけとは限りませんので、よく分析することが大切です。たとえば古い物件だと、今の基準を満たさない旧耐震基準で建てられているとか、公道との関係で「再建築不可」とされていたり、管理が行き届いていないために同年代のマンションより見た目がボロボロだったり、などといったケースがあります。

そのほかにも、表面上の利回りを高く見せるために、現状の周りの相場より高めの家賃を想定して計算していたり、物件価格を安く設定する代わりに管理費や修繕積立金などの維持コストは高めに設定されていたりすることもあります。

「利回りにつられて購入したら、とんだ不良物件だった……。」ということになったら大変です。なぜ高利回りになっているのか、他のマンションと比べて何か不利な要件があるのか、その要件をクリアして利益を出すための方法はあるのか考えましょう。

失敗しない不動産投資のコツ

どういう投資手法を取れば勝てそうか、自分の資金力や経験や考え方などに照らして作戦を練りましょう。誰も手を出さないような物件でも、たとえば格安で工事してくれる腕の良い業者を知っているとか、DIYで修復できるとか、募集の仕方を工夫して空室率を下げられるとか、戦略的な方策のもと利益を上げている方もいます。

逆に、利回りが相場より低いように見える物件でも、都内の便利な立地で新しくて入居希望者が絶えないような物件であれば、空室や修繕のリスクを低く抑えてリターンを取ることもできるでしょう。

利回りへの理解は不動産投資の第一歩

利回りは目を引く投資指標ですが、それだけに目を奪われてしまうのはよくありません。あくまで目安程度と捉えておきましょう。不動産投資では、まったく同じ物件は2つとありませんので、物件ごとに異なる状況をきちんと理解して判断することが大切です。

文・馬場愛梨(「貧困女子」脱出アドバイザー/ばばえりFP事務所 代表)/fuelle

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