数多くの投資信託のなかには、同じような運用がなされる商品が複数見つかることもある。どちらを選べばいいか判断に困ることもあるのではないだろうか。類似した投資信託を比較検討する際にチェックすべき5つのポイントを考えよう。

投資信託の比較ポイント1……購入時手数料がいくらかかるか

投資信託,比較
(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

投資信託は、より購入時手数料が安いものや手数料ゼロ(ノーロード)で購入できる商品を選んだほうが初期コスト面で有利になる。購入時手数料は、投資信託の購入時に販売会社(銀行や証券会社などの金融機関)に支払う手数料だ。金融機関によっては「買付手数料」や「販売手数料」などと呼ぶ場合もある。

購入時手数料は投資信託によって異なる。ゼロの場合もあれば、4%程度の手数料がかかるものまで様々だ。同じ投資信託であっても販売会社によって手数料が異なるケースもあるので注意したい。

例えば、購入時手数料が3%の投資信託を100万円分購入する場合、投資家は手数料込みで約103万円の資金を用意する必要がある。

投資信託の比較ポイント2……信託報酬が低いかどうか

投資信託の保有期間中に継続的にかかる「信託報酬(運用管理費用)」も投資信託を比較する際の重要ポイントだ。似通った運用をする投資信託があり、選択に迷うのであれば、信託報酬が低い投資信託を選ぶほうが賢明だろう。

信託報酬は購入時手数料のように投資家が直接金融機関に支払うのではなく、日割計算で信託財産から差し引かれていく。目論見書を見ることで「年率○○%」のように定められた信託報酬率を知ることができる。投資信託を保有している間は継続的に発生する費用なので、長期間保有するほど信託報酬が投資家に与える影響は大きくなるのだ。

投資信託の比較ポイント3……運用成績がいいかどうか

投資信託の運用成績も比較するうえで役立つ。運用報告書をみることで、投資信託がどのように運用され、その結果どうなったかなどを知ることができる。新規に設定された投資信託でない限り、投資信託の運用会社のウェブサイトなどで運用報告書を確認できる。

また、投資信託の比較サイトなどでは、複数の投資信託を選んで基準価額の推移をグラフで比較できるサービスなども活用して、視覚的に過去の成績を確認することもできる。

もちろん、過去の運用成績が良かったからといって、将来の運用成績が良くなるという保証はない。それでも、これまでどのような運用が行われてきてどのような成績であったのかは、その投資信託の運用能力を評価できる一面であると言えるだろう。

投資信託の比較ポイント4……信託期間が長いかどうか

信託期間とは投資信託が運用される期間である。短期間の運用を考えているのであれば、それほど気にする必要はないかもしれないが、長期間保有するなら要注意だ。

信託期間は投資信託の目論見書で確認できる。例えば、信託期間が「2019年12月31日まで」と定められていれば、2019年の年末で原則として当該投資信託の運用は終了し償還されることになる。信託期間が延長される可能性もあるが、運用が中断されるリスクを持った投資信託を長く保有し続けたいとは思わないはずだ。

投資信託の長期間の保有を目的としているならば、信託期間が十分に長く設定されたものや「無期限」となっているものを選びたい。

投資信託の比較ポイント5……純資産総額が小さすぎないか

投資信託の資産規模を示す「純資産総額」もチェックしたい。純資産総額が大きければ大きいほど良いというわけではないが、小さすぎる場合は注意が必要だ。

資産規模が小さいと運用の効率が悪くなり、運用会社の収益にマイナスの影響が出てくることがある。そのため、多くの投資信託では純資産総額が一定以下になった場合に、繰上償還(期日を待たずに運用を終了すること)されることが定められている。純資産総額が小さいと繰上償還のリスクが高いことを意味するのだ。投資信託を購入して間もなく繰上償還となっては意味がないため、純資産総額は確認しておきたい。

投資信託を比較する上では細かい点もチェックしたい

一見、同じように見える投資信託でも、注意深く分析していけばその違いが分かってくるはずだ。今回紹介した5つのポイントを参考にしながら投資信託を比較し、自身の目的に合った最適な投資信託を見つけてほしい。

文・潮見孝幸(金融ライター)/MONEY TIMES

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