長く続く低金利。手元の資金の運用先に悩むこともあるだろう。株式、投資信託、不動産投資といったややリスクが高い金融商品のほかに、利回りがいい外貨による運用を検討することもあるはずだ。今回は外貨商品にスポットを当て、あらためてそのメリットや活用方法などについてお伝えしよう。

金融機関別の代表的な商品

外貨資産,持つべき,引き出せるタイプ
(写真=Aleksandar Grozdanovski / Shutterstock.com)

外貨商品を取り扱う主な金融機関には銀行や証券会社、保険会社があり、様々な商品が販売されている。まずは金融機関ごとに代表的な外貨商品を1つずつ紹介したい。

<銀行:外貨普通預金・外貨定期預金>
取扱通貨は金融機関によって異なるが、米ドル・ユーロ・英ポンド・豪ドルといった主要な通貨のほか、ニュージーランド (NZ) ドルやカナダドル、南アフリカランド・メキシコペソ・トルコリラなどの新興国通貨を取り扱う金融機関もある。

それぞれの通貨によって金利は変わるが、同じ期間のものなら基本的に日本円の預金よりも金利が高い。定期預金については、最短1ヶ月から6ヶ月、1年、3年といった期間で預けることができる。そのため、当面使う予定のないお金を一定の期間だけ高金利の通貨に預けておくには便利だ。なお定期預金については、1,000米ドル以上のように通貨によって預け入れる最低額が決まっている。

金融機関や通貨によって円を外貨に、あるいは外貨を円に換える場合の為替手数料が異なる。また、個人の場合、利息については源泉分離課税 (20.315%) 、為替差益は雑所得の対象となるので、得られた金額によっては確定申告が必要になる場合もあるので注意しておきたい。

<証券会社:外貨MMF、外貨建て債券>
MMFはマネー・マネジメント・ファンドの略で、安定性・安全性の高い債券で運用している投資信託の一種。外貨預金と同様、外貨MMFについても米ドルなど主要通貨のほかに、ニュージーランド (NZ) ドルや、南アフリカランドといった新興国通貨の取り扱いもある。

外貨MMFによって得られた譲渡益や為替差益、分配金は申告分離課税 (20.315%) の対象になる。以前は外貨MMFの為替差益は非課税だったが、2016年の税制改正で譲渡所得の対象になった。為替差益による税制メリットはなくなったが、代わりに株式の譲渡益との損益通算が可能になったのは嬉しいところだ。外貨MMFも、外貨預金と同様に売買には為替手数料がかかる。

一方、外貨建て債券は外貨で決済する商品と、円で決済できる商品がある。外貨で決済する商品については、証券口座に外貨を所有していれば為替手数料を気にせず購入することが可能だ。こちらは、譲渡益や為替差益などは譲渡所得として申告分離課税が、利金は利子所得として20.315%が源泉徴収される。

外貨預金や外貨建てMMFといった外貨建ての金融商品は、円預金よりも基本的に金利が高い。また、商品を購入した時点よりその通貨に対して円安に動けば「為替差益」を得られるのが魅力だ。その半面、円高が進むと「為替差損」が発生し、元本を割り込むリスクもある。長期的な円安トレンドが発生している時は外貨建ての商品には投資するメリットが大きいので、外貨建て商品を購入する際は為替相場の長期トレンドを意識しておくといいだろう。

<保険会社:外貨建て一時払終身保険、外貨建て一時払個人年金>
契約時に一時金を支払い、一定期間の運用ののちに外貨で償還される商品。主に外貨建ての債券で運用する商品が多く、契約時に一定期間経過後の受取金額が確定しているものや、契約時に支払った金額の一部に投資信託を組み入れることで、運用の成果次第で将来受け取る金額が変わる商品もある。保険や年金という名前がついているが、運用商品の一種と考えたほうがいいだろう。円換算で100~200万円程度から始めることができる。

一定期間内に解約をした場合には「解約控除」などが発生し、契約時に支払った金額よりも受け取る額が少なくなってしまう場合もあるので注意。当然、日本円で受け取る際に為替相場の影響を受ける。また、一時金で受け取る場合には一時所得、年金で受け取る場合には雑所得の対象になる。

外貨のまま活用するメリットも

知っておきたいのは、証券会社や保険会社、銀行の口座間で外貨の送金 (入出金) を行うと、「外貨送金手数料」「外貨取扱手数料」などの手数料がかかることだ。ただ、提携金融機関の間の送金や、一定金額以上の送金の場合には手数料が無料になる金融機関もある。グループ会社に証券会社がある銀行については、銀行・証券会社間での送金手数料は基本的に無料だ。さらに証券口座にある外貨資金を銀行口座の外貨預金で自動的に運用できるなど、銀行・証券会社間の垣根を超えたサービスを展開している金融機関もある。外貨資産を運用するなら、活用しない手はないだろう。

頻繁に送金する人の場合は手数料がかさむことになるため、こうしたサービスを事前にチェックしたうえで、外貨商品を購入する金融機関を選ぶといいかもしれない。ただし、外貨商品以外の金融商品の手数料や商品のラインアップといった要素も大切なので、手数料の安さだけにとらわれないように注意したいところだ。

ここまでは、「外貨を日本円に戻す」ことを前提に述べてきたが、資産を「外貨のまま保有する」という手もある。日本の口座で運用した外貨を海外で使えるサービスを展開している銀行は少なくないが、中には外貨預金の口座からチャージできるプリペイド方式のカードを扱う金融機関もある。よく海外旅行に行く人なら、どこで両替すればいいか、また両替のタイミングなどに頭を悩ませた経験があるだろう。こうしたサービスを利用することで、為替相場を気にせず海外旅行を楽しむことができそうだ。

外貨預金には、円預金よりも利回りが良いというだけでなく、インフレリスクへの対応や分散投資の効果も期待できる。それ以外に、そのまま海外で活用できるという利便性にも注目してみてはいかがだろうか。(提供:大和ネクスト銀行

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